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米国で体験した握手だけで始めたビジネス

  • 神谷 秀樹

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2007年6月12日(火)

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 米国は「契約社会で、何でも契約を交わさないとビジネスはできない」。これは1つの事実だ。

 一方で、何らかの事情で今は契約を取り交わすことができなくても、「相手を信頼し、握手一つでビジネスができる」という米国もいまだにある。

 世の中、約束を守らない人や企業は多いし、詐欺師のような人もいる。たとえ契約を交わしていても、「契約内容を変更してほしい」と後になって甘えてくる人もワンサカいる。自分の言葉に責任を持っている人は、実に少ない。それは米国に限った話ではない。私が日本企業とつき合ってきた経験からすると、日本企業の中にも約束を果たさず逃げてしまう輩は実に多い。

 そんな状況の中で、人との信頼感を確認する出来事があった。

バイオディーゼル会社を支える相手

 私が出資し、役員を務めているベンチャー企業にオービテック(旧バイオディーゼル・テクノロジー・インク)という会社がある。オクラホマのタルサにある会社で株主の中には日本のベンチャー・キャピタルもいる。創業者のクリス・フライシャーは元コ-ネル大学の研究者で、現時点では世界中のバイオディ-ゼル製造機の中で、最もエネルギー効率が高く、安くバイオディーゼルを製造できる装置を発明した。

 創業者は研究者で、自分で生産工場を作る資金はなく、また工場を経営し、生産管理する技術も持っていない。物を発明するということと、発明した物を大量生産する技術は全く似て非なるもので、多くのベンチャー企業はこの展開をしくじって失敗する。オービテックの場合は、商業用生産に関してはすべてOEM(相手先ブランドによる生産)で調達する、つまり別の企業に生産を委託することにした。

 OEMの相手には同じオクラホマのタルサにあるトータル・エナジー・リソーシスにお願いした。この会社はウエブコという大企業のオーナーであるビル・ウエバーが個人で所有し、娘のダナが経営している会社だ。タルサは「熱交換器の米国首都」と言われるくらいにエネルギー関係の機械工場が多く、現在ブームの代替エネルギー産業が経済発展を牽引している。バイオディーゼルのような新事業に関しても理解者、支援者が多い。

 ビルはもう80代の老練な経営者だが、実に先見性が豊かで、オービテックについては、すぐに強力な支援をしてくれることを約束してくれた。試験機を置くスペースを無料で貸し、生産技術者をすぐにあてがってくれた。試験機が性能を示すと、月産10台の工場スペースを取り、部品の仕入れなどの財政的な負担もしてくれた。これらのことを、委託生産契約の契約書に署名する前に行ってくれたのだ。

今でも忘れない「ビルは信用できるから」

 先日役員会が開催され、タルサに行った。役員会後のディナーは社長の自宅で行い、そこにビルとダナも招かれた。そこで私はダナに聞いた。「オービテックは皆様にたいへんお世話になっているし、今後ともお世話にならなければならない。まだ契約書の署名も終わっていないのに、貴社には格別のご支援を頂戴したことをとても感謝しています」と切り出した。

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