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日本のリーダーは“世界標準”にあらず
率先垂範から指導育成への転換が不可欠

高野 研一

2007年5月24日(木)

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かつて、日本型リーダーシップは社内の連携や部下の育成などを通じ、長期的な利益を生み出してきた。だが、短期的な成果が求められる中、最近では「指示命令型」が目立つ。これは欧米で進むリーダーシップの転換と逆行する。日本企業は人材基盤型経営に立ち返る必要がある。

 日本企業は全体的に見ると、2002年度から5期連続の増益を達成している。採用人数の増加や、賞与の増額なども話題に上るようになった。

 しかし、一方で企業の内側に目を向けると、様々な問題を抱えている組織が少なくない。人材の流出が止まらず、業務の運営に支障を来してもおかしくない企業や、社内の疲弊感、閉塞感が覆い隠せなくなっている企業から相談を受けるケースが急激に増えている。多くの場合が、相談を受けた段階で既に深刻な状態に陥っている。

 業績が良ければ、こうした組織の問題は放っておいても大丈夫なのか。結論は「ノー」である。なぜなら、今の日本企業が直面している組織の問題は、リーダーシップの欠如から生じているからだ。多くの日本企業で、リーダーシップを育む力が失われている。

 1980年代のバブル景気の頃までは、新入社員として会社に入ると、3年目ぐらいの先輩が面倒を見てくれて、会社のことをいろいろと学ぶ機会があった。そして自分が3年目になると、今度は新入社員の世話をするようになり、組織人としての意識が芽生えるようになる。30歳前後では、課の中でリーダー的な役割を担い、会社の方針を代弁する場面も出てくる。40歳手前で1つの課を任され、重要な会議に出席し、経営に関する情報に深く通じるようになる。こうした中で、多くの社員はリーダーシップを習得してきた。

 しかし、今はどうだろう。新入社員として入社しても、身近に先輩はいない。10歳以上も年の離れたベテランばかりの中に配属されることも珍しくない。何年経っても後輩が入ってこないために、雑用係としての役割から抜け出せない。40歳になっても、管理職のポジションは50歳以上の社員で占められており、プレーヤーとしての成果だけを求められる。会社の経営に参画する機会が極めて限られる中で、どうしてリーダーシップが育つだろうか。

風土は業績の30%を支配する

 米国のボストンにあるヘイグループの研究機関、マクレランド・センターでは、欧米のグローバル企業や大学と共同で、組織風土やリーダーシップに関する研究を進めている。デイビッド・マクレランド教授が創設したマクバー研究所が母体となっており、20年以上の歴史を持つ。

 ここでの研究成果から、企業業績に影響を与える要素として、「組織風土」「リーダーシップスタイル」「リーダーのコンピテンシー(行動特性やものの考え方)」の3つが浮かび上がってきた。

 我々の研究によると、組織風土は企業の業績に対して、約30%という高い割合で影響を及ぼしている(図1)。組織風土とは、現場の社員が働きやすさや当事者意識をどのように感じているかを意味する。実際に仕事をするのは現場の社員なのだから、組織風土が業績に影響を与えるというのは十分に理解できる。

真のリーダーシップは成功を加速する環境を生み出すこと 
図1 リーダーシップ開発のフレームワーク

 さらに、その組織風土に対して、50~70%という高い比率で影響を及ぼしているのがリーダーシップスタイルである。ということは、リーダーがどのように組織を統率しているかが、組織風土や、ひいては業績までを左右するわけだ。

 このリーダーシップスタイルは、リーダーのコンピテンシーによって決定される。つまり、リーダーのコンピテンシーを開発することで、優れたリーダーシップスタイルを習得させることが可能になる。

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コメント3件コメント/レビュー

興味深く有用な記事だと思います。日本人は「ほかの先進国はこうですよ」といわれないと自己を省みないので。今の日本で命令型や司令塔型が理想とされるのは、あまりにも多くの人がリーダーとしての基礎的素養のないままその地位にいることと、その人たちの適切でないがゆえに横暴となる命令や司令を出し続ける権利を正当化したい欲求とが反映されていると思います。年功序列の作った無能なリーダー層への非難と、そのリーダーの横暴を続けたいというエゴ、その両方を満足させるスローガンであり、強権と村的な閉塞社会の存続とガス抜きという効果を持つ玉虫色のスローガンです。命令型や司令塔型を尊ぶやり方は最近に始まったことではなく、正しい指示や判断のために準備をする人よりも、指示の内容や合法性は二の次で部下を強権的にコントロールして指示を徹底させる事に注力するのが好きな人を長い年月をかけて優遇し昇進させてきたし、逆らう者にかなりひどい嫌がらせをすることも雇用者側の当然の権利として行ってきたと思う。正しい指示を出そうとしても出し切れるものではないという共産主義と資本主義の戦いの結末から得た答えでリーダーシップ転換を図る国々と、そもそも正しい指示を出そうという意識と必要性自体が希薄な日本・・・。「改革なくして成長なし」はやはり正しいと思います。(2007/05/24)

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いただいたコメント

興味深く有用な記事だと思います。日本人は「ほかの先進国はこうですよ」といわれないと自己を省みないので。今の日本で命令型や司令塔型が理想とされるのは、あまりにも多くの人がリーダーとしての基礎的素養のないままその地位にいることと、その人たちの適切でないがゆえに横暴となる命令や司令を出し続ける権利を正当化したい欲求とが反映されていると思います。年功序列の作った無能なリーダー層への非難と、そのリーダーの横暴を続けたいというエゴ、その両方を満足させるスローガンであり、強権と村的な閉塞社会の存続とガス抜きという効果を持つ玉虫色のスローガンです。命令型や司令塔型を尊ぶやり方は最近に始まったことではなく、正しい指示や判断のために準備をする人よりも、指示の内容や合法性は二の次で部下を強権的にコントロールして指示を徹底させる事に注力するのが好きな人を長い年月をかけて優遇し昇進させてきたし、逆らう者にかなりひどい嫌がらせをすることも雇用者側の当然の権利として行ってきたと思う。正しい指示を出そうとしても出し切れるものではないという共産主義と資本主義の戦いの結末から得た答えでリーダーシップ転換を図る国々と、そもそも正しい指示を出そうという意識と必要性自体が希薄な日本・・・。「改革なくして成長なし」はやはり正しいと思います。(2007/05/24)

テレビのニュースショーなどでは相変わらずベースセッター型を欧米リーダーの基本像として示し、日本もそうならねばならぬと力みかえる評論家ばかりに見えます。
なんでなのでしょうか。何かの陰謀かと思えてしまいます。(2007/05/24)

電気メーカをリストラされ,自動車メーカに転職した者です。電気メーカに限らず,自動車メーカにおいても,コストダウンやマーケットの適した製品の開発が得意なメーカは,部門間の調整が巧みな企業であるように思えます。 その理由ですが,ある程度まで次のモデルで説明ができます。よく知られていますように,熱力学(および統計力学)には,以下の2つの有名な法則があります。? エネルギー保存の法則(熱力学の第1法則)? エントロピーの法則(熱力学の第2法則)いまや,社会科学にも,上記の2つの法則が成り立つことが知られています。 上記の観点を,本記事のトピックであるリーダ像に適用してみます。すると,自らのエネルギーを生み出す従来のペースセッター型のリーダは,”熱力学の第1法則”が支配的な環境で能力を発揮するみなすことができます。このような環境としては,社会全体が物不足で,経済が急速に伸びているときをあげることができます。この時代は「みんなが頑張れば全体もよくなる」というある意味幸せな時代でした。 ところが,社会が成熟し,物が市場に溢れ,製品の市場に対する質が要求されてくるようになると”熱力学の第2法則”が支配的になってきます。このような状況になると,みんなが頑張っても全体はよくなりません。これは,ここのエネルギーが空回りしているためです。熱力学的にいうと,エネルギーが動力ではなく,エントロピーの増大にしかつかわれないことになります。この状態になると,エネルギーを生み出すことよりも,エントロピーの増大を抑圧することに注力しなければなりません。このような状況で求められるのは,部門間の調整が巧みな,ビジョナリー型、調和型、民主型、指導育成型のリーダーシップです。このような,リーダーシップに対する要求も,状況の変化に応じて変えていく必要があると改めて考えさせられます。 なお,補足しますと,トヨタが誇る重量級の主査制度も,ビジョナリー型、調和型、民主型、指導育成型のリーダーシップを実現するためのしくみとしてとられることができるのではないかと考えています。(2007/05/24)

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