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僕の日本観の原点

2007年5月31日(木)

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 22年前、22歳の僕は鞄一つで北海道大学に留学するため、成田空港に降り立ちました。髪を短く刈り、人民服を着ていた僕がじろじろ見られていたのを今も覚えています。初めて国を出た僕は、「良い子には志が四方にあり(よい子は遠方を目指せとの意味)」と唱えながら、心の高まりを必死に抑えていました。

 中国大使館職員の世話でその日のうちに札幌行きの飛行機に乗り換えることができましたが、千歳空港で迎えてくれたのは中国と縁が深い日本のボランティアの方々でした。

 その晩はボランティアの方の家に泊まりました。ご馳走がいっぱい出されましたが、緊張していたうえ、初めての日本食なので味も何も分かりませんでした。

 翌日、ボランティアの方々が用意してくれていたアパートに行きました。旅館や各家庭から寄付された生活用品を既に部屋に入れてくれていました。贅沢ではありませんが、鞄一つで来ても生活できるようにしてくれたのです。

日本は面白かった

 僕が中国の大学で学んだのは英語でした。日本語は北海道大学大学院への留学が決まってから特訓を受けましたが、簡単な会話しかできませんでした。

 来日当初は、分からないことにいちいち「ワカリマセン」と言っていましたが、それではあまりにも会話が進まないのでそのうち「はい」とか、「そうです」とか言ってごまかしながら、相手についていこうとしました。

 しかし、これが相手にばれることが多いのです。そうすると相手も「本当に分かっているかな」と心配してくるのです。

 「お名前は何といいますか」と聞かれた時、僕は「ソウです」と答えます。すると相手はごまかされたと思って「違うの、あなたの、お名前を聞いているのですよ」と力を入れます。僕も「私の名前は、ソ、ウ、です」と頑張ります。向こうはようやく納得して「あぁ、そうですか」と言うと、僕も透かさず「そうですよ」と言いました。

 「そう」のやり取りで結構下手な日本語でもそれなりに笑いを取ったものです。

 ある日、新婚の先輩のうちに遊びに行きました。晩ごはんの後、「お風呂に入ってください」と奥さんに言われて入りました。

 出てきてからほかの人とお喋りしたりゲームをしたりしていると、奥さんが僕の近くに来て「宋さん、お湯をどうしたのですか」と聞くのです。

 どういう意味か分からないためにお風呂について行きましたが、奥さんはやっぱり浴槽を指差して「この中のお湯はどうしたの?」と言うのです。

 「捨てました」と答えると、「私が入るから捨てないでほしかったです」と言うのです。

 僕が入った直後のお湯に美人の奥さんが入ると思うと、僕は顔が真っ赤になりました。心臓の鼓動が早くなった自分に気づいて、ますます言葉が詰まってしまいました。

 日本のお風呂は体を洗う所ではなく体を温める所であることを知ったのはこの時でした。あれ以来僕はほかの外国人に日本の風呂はバスではなくヒーターです、と説明するようになりました。

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