「イノベーションで切り拓く新市場」

イノベーションで切り拓く新市場

2007年5月31日(木)

こんな材料が欲しかった!
新ステンレスに引き合い殺到

ものづくり力で実現、JFEスチールの「JFE443CT」

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この記事は、テキストと動画の組み合わせで多角的にお届けします。動画は、JFEスチールのキーパーソンへのインタビューや製鉄所の様子を収録した約8分間の「スペシャル番組」です。テキスト記事と併せて、ぜひ動画をご覧ください。

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 鉄鋼材料──。この一見地味とも思える世界に、目を見張るイノベーションが起きた。それを支えたのは、ベーシックな金属学の研究成果に加え、ノウハウのかたまりとも言える製鉄所の製造技術だった。まさに日本の「ものづくり」の底力がかいま見えるイノベーションである。

 「開発だけしておいて売らないとはどういうことか? お客様からこう言われて、ちょくちょく怒られるんです」

図版

出荷を待つ「JFE443CT」のコイル

 申し訳なさそうに打ち明けてくれたのは、JFEスチールでステンレス事業を統括する山下英明・ステンレスセクター部長(理事)だ。決して売りたくないわけではない。あまりにも引き合いが多すぎて、生産が追いつかないのだ。その製品とは、JFEスチールが2005年8月に発売した新ステンレス「JFE443CT」(以下、「443CT」)である。

 現在、ステンレス市場で最も流通しているのは、JIS規格で「SUS304」(以下、「304」)と名づけられたステンレスだ。市場で流通するステンレスの約6割を占めるという最も汎用的なステンレスである。443CTは、その304の代替製品として発売された。

図版

ステンレス事業を統括する山下英明・ステンレスセクター部長(理事)

 発売した当初は、「304の代わりにどうですか」と顧客に持ちかけても、「うちは304でいいよ」という所が多かった。でも半年経ち、1年経つ間に443CTの性能が認められ、「ぜひうちも」と向こうから声がかかるようになった。「テストはしなくてもいいから、今すぐに出荷してほしいというお客様が大勢います。でも、そうしたお客様たちに443CTを届けることができず、大変心苦しい思いをしています」(山下部長)。

 現在、JFEスチールにおける443CTの生産能力は月に約6000トン。これに対して、引き合いの量は月に約1万トンに達する。千葉市にある製鉄所の生産ラインをフル稼働しても、とうてい間に合わない。「製造工程を見直して、なんとかして1万トン以上の生産体制に早急に持っていきたい」(山下部長)。443CTの人気は、今まさに過熱状態にある。

レアメタルの価格高騰が直撃

 なぜ443CTにこれほどの関心が集まるのか。理由は明確だ。304よりも安い価格でありながら、耐食性が劣らない(さびにくさが変わらない)からである。

 ステンレスとは文字通り「さびにくい」鉄だ。さびにくくするために、鉄にクロムを加えている。しかし、クロムだけで高耐食性を実現するのは難しい(詳しい理由は後述)。そこで一般に、ニッケル、モリブデンといった元素を添加する。例えば304の場合は、ニッケルを加えて高耐食性を実現している。304はクロムを18%、ニッケルを8%含むことから、「18−8」ステンレスと呼ばれることもある。

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イノベーション。それは企業にとって常に挑戦し続けなければならない課題だ。新製品に対するイノベーションもあるだろうし、企業の構造を変えるためにビジネスモデルのイノベーションもある。さらには、社員を活性化させるための人事・組織のイノベーションも考えられる。このコラムでは、新しいイノベーションに取り組む企業が挑戦する姿をリポートしていく。

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