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「能力開発」を軸にすることで、会社の業績も社員のやる気も向上

ニチレイ 木谷 宏

2007年6月1日(金)

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成果主義は日本に馴染まないというのは短絡的な見方だ。小手先の賃金制度改革にとどまった企業が失敗したに過ぎないからだ。能力開発を軸にした「ニチレイ型成果主義」は、組織の業績と社員の働きがいの向上で好循環を生みつつある。

 ニチレイは2000年4月から、新しい人事制度「フレッシュ&フェア(FF)プログラム」を導入している。社員の成果と役割を明確にして、透明性と納得感の高い評価制度によって処遇や賃金を決めることを狙ったものだ。1999年3月期に事実上、初めての赤字決算に陥ったことがきっかけだった。

 「成果主義」の最終目標は何かと問われれば、多くの企業は会社の業績向上だと答えるだろう。「ニチレイ型成果主義」は業績向上はもちろんだが、社員のキャリア開発を通じて、働きがいを向上させることに基軸を置いている点が特徴だ。

 仕事のアウトプットを「成果」とすれば、その成果を生み出す基盤が「役割」となる。一人ひとりの社員が自分の役割をしっかりと意識したうえで、上司や会社がその役割に見合う「能力開発」を支援することによって、さらに大きな成果を生み出す下地を作る――。

能力開発を軸に置いたことが特徴

社員の成長欲求に応える

 このように、「成果」「役割」「能力開発」の3つを回転し続けることで組織の業績は向上する。同時に、成功体験を積み重ねることによって社員の働きがいも高まる。キャリア開発を成果主義に欠かせない要素として組み込むことで、会社の業績と社員の働きがいを相乗効果的に高めていくのだ。

 ほかの多くの企業と同様、ニチレイも成果主義の導入に際してまず取り組んだのは、賃金の配分の仕方や職務の格付けを見直すということだった。賞与は目標管理制度に基づき、達成度合いや成果の大きさによって配分を変える。一方、月例賃金は職務を管理職は6段階、一般社員は4段階で格付けし、それに伴う役割給を支給する仕組みを築いた。

 一般的な成果主義の導入は、こうした賃金制度の改革で終わることが少なくない。だが、我々が求めたアウトプットには、個人のやりがいや働きがいの向上がある。「今、こんな仕事をしているが、いずれはこういう仕事がしたい」とか、「次はもっと大きな成果を上げられる取り組みに挑戦したい」と社員が求めてきた時、それに会社が応えなければならない。その手段が社員の能力開発だった。

 健全な組織であれば、どんな社員でも自らが成長したいという欲求を持っているものだ。また、より大きな成果を上げるために、どんな知識や能力、経験を高めなければならないかは、社員自身が最もよく分かっているはずだ。その思いに応えて会社が能力開発の機会を提供しなければ、大きな成果は期待できないし、より困難な役割を担わせることも難しい。役割と成果に能力開発を加えた、この3つを循環させなければ成果主義は機能しない。

 もし、人件費のコントロールが成果主義の目的であるならば、能力開発は考慮する必要がないかもしれない。一時的には経営体質を改善することができるだろう。だが、ニチレイが求める「高度な専門性によって付加価値を生み出し続けるプロフェッショナル集団」という「人財」は、役割を与え、成果を評価するだけでは育たない。新たなビジネスを立ち上げたり、今までにない付加価値を生み出したりするような人財を育成するには、やはり能力開発を通じて社員が成長する機会を会社が与える必要がある。

 ニチレイはこれまでの歴史を振り返ると、実はパイオニア的な事業を手がけてきた会社だった。

 例えば、主力商品に育った「アセロラドリンク」という飲料がある。かつて捕鯨の情報拠点だったブラジルで事業撤退を余儀なくされた際に、「何かほかにビジネスはないか」と検討した結果、生まれたものだ。「庭に実をつけているサクランボに似た果物を食べると、風邪が治ると言われている」という社員の提案がきっかけだった。冷凍食品を日本で初めて製造・販売したのも当社だし、あらゆる分野でパイオニア的な事業を手がけてきた。

 だが、バブル崩壊後は創業以来のパイオニア精神を忘れ、完成されたビジネスモデルから、ただ収穫を得ていただけだったのではないか――。そんな反省から、ニチレイが本当に大切にすべきなのは、やはり「人財力」だと行き着いた。

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