• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

農業を捨て自動車産業で急成長

得意技生かした親子2代の連携プレー

  • 川嶋 諭

バックナンバー

2007年6月15日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 石川県と福井県の県境。近くには柴山潟湖畔にある片山津温泉や福井県側では福井唯一の大規模な温泉地である芦原温泉がある。いずれも湿地帯に湧き出た温泉ということでも分かるように、周囲は見渡す限りの田園地帯だ。

 その田んぼの一角に真新しい建物が忽然と現われる。周囲と全く溶け込まない何とも不思議な光景である。付近を行き交う人たちも、ここで何が作られているかほとんど知らないに違いない。

 建物の中に入ると、大きな部屋に大型のディスプレーがついたパソコンを置いた机がずらりと並んでいて、20人以上の社員がパソコンに向かって黙々と作業を続けている。その部屋を抜けて工場に行くと、金属や木材らしきものを削ったり、削った部材を組み立てて何かの骨組みを作ったりしている。

組み立て精度は日本の自動車産業の生命線

田んぼの中に現われる本社と工場

 会社の中もあまり見慣れない風景だが、実はここ、日本の自動車産業の成長を支える重要な製品を作っている。検査ゲージと呼ばれる冶具の1種だ。名前を言ってもピンとこないかもしれないので簡単に説明しよう。

 3万点以上の部品を組み付ける自動車工場では、組み付ける部品の寸法や形が許容される誤差の中に入っているか、全品ではなくても頻繁に調べる必要がある。もし中に寸法外の部品があることに気づかないまま組み付けてしまうと、完成車になってから致命的な不良になったり販売後にクレームになったりする。

 部品の精度を簡単に調べるための道具が検査ゲージだ。各生産ラインで組み付ける部品をその上に置いたり、部品の上に検査ゲージを当てて部品の寸法を調べる。寸法や形が規格に合わないと、部品を検査ゲージに載せた時にガタついたり、ゲージから少しはみ出したりするのですぐ分かる。

 忙しい工場の生産ラインの中で検査するので、いかに早く簡単にそして正確に測定できるかがカギとなる。そのためのノウハウが検査ゲージの中に詰まっている。

 日本の自動車メーカーにとって、部品一つひとつの精度はもちろん、それを組み付けていく精度の高さも極めて大切な競争力の源泉となっている。例えば、ホンダは福井威夫社長が就任以来、「ケタ違い品質」をスローガンに掲げてそうした品質向上に取り組んできた。トヨタ自動車も日々の改善はもちろん、高級車「レクサス」の国内販売に当たって、そうした品質を一段と高めた。

自動車用の検査機器で利益率は10%超

 インドなどの発展途上国向けに3000ドルのクルマが次々と登場するように、世界の自動車産業は低価格競争が起きている。それはそれで自動車メーカーにとって重要な戦略だろう。部品をモジュール化して、ノウハウや熟練に頼らず、いわばパソコンを組み立てるように簡単な生産を目指してコストを下げる。

 しかし、乗り心地や長期間使用しても品質の劣化が少ないクルマ作りを目指すには、組み付け精度は極めて重要になる。中国など人件費が安い国が自動車産業に本格的に進出する中で、日本車メーカーとしては、品質向上に向かうのは必然の流れと言える。

 実際、日本の自動車産業は現在、生産システムの革新がブームだ。1980年代末、人手不足から大規模な自動化投資に踏み切って以来とも言えるような生産革新が進んでいる。

 日本の自動車メーカーがそうした革新を行えるのも、この検査ゲージを作っているような企業があるからである。企業の名前はネイブという。石川県加賀市に本社を置き、ホンダやトヨタなど有力な自動車メーカーに検査ゲージを供給している。

コメント3

「技あり中小企業が続々誕生!」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック