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『社員が燃える新日本的経営』

集団の力と個の力を結びつけろ! 対談:常盤文克×西岡郁夫

2007年6月20日(水)

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 NBonline1周年記念セミナーのセッション『社員が燃える新日本的経営』では、花王の会長を務め、現在当サイトで「新・日本型経営を探る」を連載中の常盤文克氏と、シャープ、インテルを経てベンチャー育成を行うモバイル・インターネットキャピタルを立ち上げた西岡郁夫氏(NBonlineのスペシャルサイトで「経営新世紀」を連載中)とが対談した。

写真右:常盤 文克氏、写真左:西岡 郁夫氏

写真右:常盤 文克氏、写真左:西岡 郁夫氏

 対談はお互いが「日本の会社を見ていて、今一番気になること」を述べ合うテーマ設定から始まった。

 西岡氏が指摘したのは、ミドル層の元気のなさだ。

「支援を心から求めているベンチャーの経営者を、大企業に紹介してプレゼンさせると、まあ、5分ぐらい経つあたりから、常務取締役、事業本部長といった幹部を除く、ほとんどの人の目が腐った魚のような、どろーんとした目つきになってきます。幹部は危機感をもっていても、横にいる、部長、課長、係長といったミドルの人たちは日頃から、上から落ちてくる仕事しかしていないんですね」

「要するに何か新しいことを、『よし、一丁やってやろうじゃないか』というような気持ちを持っていないから、ぴかっと光る目をしてない。ベンチャーの話を聞いていて、これは大した技術じゃないというんだったら、そう言ってほしいんですよね。ところが、そのベンチャーの技術が大したことかどうかを評価する前に、『わあ、またうるさいことを言ってきた、難しい仕事が増えるのは嫌だなー』という顔をしているんです。これをどう変えていったらいいんだろうか」

 一方の常盤氏は、数値化、デジタル化、個別の要素分解が過剰に進んだ経営のあり方に警鐘を鳴らした。

「お金と対極の、心の方に中心を置いた企業の経営があるんじゃないかと。つまり、働く人の、仕事のやり甲斐とか、仕事を達成したときの喜びとか、モノを作り出すときの喜び、あるいは作ったものを使っていただいて、ああ、いいものを作ってくれたなと感謝される、そんな喜びのようなものを中心に置いた経営を考えてみるべきではないか。夢を追いかけていると、こんなこともしたい、あんなこともしたい、よし、やるぞと、人は燃えますよね。いくら株価が上がっても社員は燃えませんよね」

「人の幸せ、働く喜びを大切にしながら、しかも一方でちゃんと利益も上がっているという会社が、実は中小企業にたくさん、もちろん大企業の中にもあります。この辺がこのテーマに掲げられている、新日本型経営というようなものを探っていくときの、1つの切り口になるのではないかなと、そんなふうに思っております」

 両氏は東海バネ工業、樹研工業など、高い技術による高付加価値、それを生み出す現場の熱気がうまくリンクした例を挙げたところで、西岡氏がこう切り出した--。

作ったものに誇りを持たせてくれる事業を

西岡 郁夫氏

モバイル・インターネットキャピタル社長
西岡 郁夫氏

1943年大阪生まれ。66年大阪大学工学部通信工学科卒業、69年大阪大学大学院工学研究科通信工学専攻修士課程終了、81年工学博士(大阪大学)。69年シャープに入社。技術本部コンピュータ・システム研究所所長、情報システム本部コンピュータ事業部長、同副本部長を経て、92年インテル株式会社副社長に転進、93年代表取締役社長、97年代表取締役会長。99年4月インテル退社。99年11月NTTドコモ、みずほ証券(旧興銀証券)、インターネット総合研究所との共同出資によりモバイル・インターネットキャピタルを設立し、代表取締役社長に就任、現在に至る。著書に、『パソコンやってますかぁ』(1996年、ダイヤモンド社)、『ITに関心の無い経営幹部は今すぐ辞めなさい』(1998年、かんき出版)がある。

「日本の多くの大企業は競争相手と同じような商品を造って、大量生産でコストを下げて、薄利多売の消耗戦に走りました。幹部を含め多くの従業員が自分の会社の商品に誇りを持ってないし、安い値段だけが差別化のポイントということでは、社員のモチベーションを保てない。それが現在の日本流経営の現状です」

「そんな中で、他社が作れないバリューのある商品を適切な利益を戴いて商売する『新・日本的経営』のサンプルとして、先ほど、東海バネ工業の話をしましたけど。こういう商売の仕方はイタリアに結構多くあります。一つの例として、イタリアで有名なドズヴァルドの生ハムの話をします。この話の詳細を知りたい方は内田洋子、シルヴィオ・ピエール両氏の著書『イタリア人の働き方 (光文社新書) をお読み下さい。この本には他にもイタリアらしい働き方が紹介されています。いい本ですよ」

「さて、ドズヴァルドの生ハムはすごく美味しい生ハムで、イタリアの首相が国賓に『これこそイタリアの誇りだ』とふるまうのだそうです。食べたことがある人はいますか? …私もありません(笑)」

「首相が国賓にイタリアの誇りとしてふるまっているのに、年間、ドズヴァルドから売ってもらえる生ハムはたった4本だそうです。皆さんご存じの、ユナイテッド・カラーズ・オブ・ベネトンのベネトン氏も、翌年、翌々年と予約しているのに、毎年売ってもらえるのがたった2本だそうです」

「なぜかというと、ドズヴァルドは年間1500本しか作らないんです。それ以上作ると味が落ちるからです。 彼は邸宅の大広間で生ハムを熟成します。そこが一番空気がきれいな部屋だからです。その大広間に吊るせる生ハムの数が1500だから、評判が評判を読んでお客様のもう長い行列が出来ても年間の生産法数1500本を変えません。その結果、余計に値打ちが上がっていくのです」

薄利多売は経営者の愛情のなさから来る

「これが日本の家電メーカーだったらどうでしょう。1500本が完売したら、さあ3000本、1万本、工場の増築で増産に継ぐ増産ですよ。ついに5万本生産したら売れ行きがガタッと下がってしまう。さあ、それで売れ残ると『早く売れー!』と叩き売りに走る。自分のところの社員が愛情を込めて生み出したバリューを、自分の足で蹴飛ばして下げているわけですよ」

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「『社員が燃える新日本的経営』」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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