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自己資本比率が悪化も

リース取引のオンバランス化の強制が及ぼすリスク

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2007年6月27日(水)

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 2009年3月期の決算では、日本企業の自己資本比率が軒並み低下――。こんなことが起きるかもしれない。

 企業会計基準委員会(ASBJ)が2007年3月30日にリース取引に関する新しい会計基準 を策定したからだ。リースは、設備などの貸し手が借り手に対し合意した期間中に使用する権利を与え借り手がリース料を支払う取引のことで、ファイナンスリースとオペレーティングリースの2種類ある。

 ファイナンスリースとオペレーティングリースを区分するポイントは、(1)取引の期間中に契約を解除できず、(2)借り手がリース物件からもたらされる経済的利益を享受し、リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担する要件を満たす、取引ならば、ファイナンスリースに当たる。専門的には(1)をノンキャンセラブル、(2)をフルペイアウトと言う。この2つの要件を満たさければ、オペレーティングリースに分類される。

 従来の会計基準では、原則としてファイナンスリースは貸借対照表(BS)に資産や債務を計上するオンバランス処理、オペレーティングリースはBSに資産や債務を計上しないオフバランス処理をする。ただし、一定の条件に該当するファイナンスリースはオフバランス処理が認められていた。しかし、新基準は2008年4月1日以降、すべてのファイナンスリースに対してオンバランス処理を強制することになった。

 業界団体によれば、このオフバランス処理されたファイナンスリースの市場規模は、年間7兆円強と見られている。これらがオンバランスして、資産計上されれば総資産が膨らむため、ROA(総資産利益率)や自己資本比率が低下する可能性がある。

 大和総研が2006年8月30日に公表した調査によれば、全証券取引所に上場する2611社のうちROAの下落幅が4.5%超の会社は1社にとどまり、0.25%以下の企業が2285社と全体の9割近く占める。このため新基準がROAに及ぼす影響は軽微とも言えるが、空運業の下落率は6.24%、小売業は2.24%など業種によって下落率の大小があり、対策が求められるケースもある。

所有権移転型と所有権移転外型

 新基準でオンバランス処理が強制されるファイナンスリースは、所有権移転外というタイプに分類される取引だ。ファイナンスリースには、所有権移転取引と所有権移転外の2つの型に分かれる。

 所有権移転型の取引は所有権移転条項が付いたリース、割安購入選択権条項が付いたリース、特別仕様のリース物件のいずれかに該当するものを指す。それ以外の取引が、所有権移転外型に当たる。

 そして所有権移転外型のファイナンスリースと見なされるのは、2つのポイントがある。1つは、現在価値基準と呼ばれ、解約不能のリース期間中のリース物件を借り手が現金で購入するものと仮定した場合、その現金購入の見積額がリース料総額の現在価値のおおむね90%以上であること。もう1つは、経済的耐用年数基準と呼ばれ、解約不能のリース期間がリース物件の経済的耐用年数のおおむね75%以上である。この2つの用件は現在でも実務で適用されているが、新基準になっても継承される。

実態は売買取引か賃貸借取引か

 オンバランス処理かオフバランス処理かの判断は、取引の実態が売買か賃貸借と見なされるかで変わる。売買取引と見なされれば、金融機関から借り入れて資産を購入したのと同じなので、リース資産はBSの資産の部に、リース料は負債の部に計上する。つまりオンバランス処理になる。

 ファイナンスリースで所有権移転型は所有権の移転があるのでそもそも売買取引と言える。所有権移転外型は売買なのか賃貸借なのか判断しにくい部分もあり現行基準では、賃貸借取引と見なして、オフバランス処理を選ぶことができた。ただし、オフバランス処理としても、リース期間が1年未満で、1つの契約金額が300万円以下など事業内容から見て重要性が乏しいもの以外は、BSに資産や負債、損益の情報などを注記しなくてはならず、実質的にはオンバランスしたのと同じである。

 新リース会計基準の制定によって特に注目されているのが、不動産の賃貸借契約の取り扱いが明確になったことだ。例えば、本社ビルを一棟、丸ごと借りている会社などは、これまでオペレーティングリースとみなされるケースもあったのが、今後は用件を満たせばファイナンスリースに該当する可能性が高いため注意が必要だ。

 ファイナンスリースと見なされれば、多額の本社ビルの固定資産と負債が一気にオンバランス化され、経営者にとって予期せぬ財政状態の変化をもたらし、経営にも少なからぬ影響を与える事態も想定される。

税制も変わる

 もう1つの注目点は、新リース会計基準の制定で税制も変わることだ。所有権移転外型のファイナンスリース取引は、従来の税制では賃貸借取引としてリース料の支払い時に損金算入されることとされていたが、2008年4月からは売買処理とすることになった。

 従来の税制では、リース取引は会計上で売買取引と処理しても、税務上は賃貸借取引として処理する必要があった。そのため会計上では減価償却費と処理しても、税務上は賃貸借取引としてリース料の支払い時に損金算入する形に調整する作業が必要だった。新しい税制ではこうした調整は不要になる。

自己資本比率が50%から29.9%になる例

 これまでの話を簡単な設例で見てみよう。

 A社は、設立10年の半導体メーカーであり、今期で10期目になる。現在の資産は1000億円、負債が500億円、資本金は500億円となり自己資本比率は50%である。

 A社は、半導体処理機械及び制御ソフトに関し、所有権移転外型のファイナンスリース契約を締結しており、この契約に基づくリース資産の残高は年度末で100億円、またこれから支払うリース料金の残高(未経過リース料年度末残高相当額)は100億円ある。

コメント1件コメント/レビュー

訂正いたしました。ご指摘ありがとうございました。******************************************記事に「新基準でオフバランス処理が強制されるファイナンスリースは、所有権移転外というタイプに分類される取引だ。」とありますが、オンバランス処理の間違いではないでしょうか?オフバランス処理だと、従来基準と同じ処理になってしまいます。(2007/06/27)

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

訂正いたしました。ご指摘ありがとうございました。******************************************記事に「新基準でオフバランス処理が強制されるファイナンスリースは、所有権移転外というタイプに分類される取引だ。」とありますが、オンバランス処理の間違いではないでしょうか?オフバランス処理だと、従来基準と同じ処理になってしまいます。(2007/06/27)

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