「イノベーションで切り拓く新市場」

イノベーションで切り拓く新市場

2007年6月29日(金)

薬局向けコンピューター販売で新機軸、
大手を抜きシェア5割へばく進

ビジネスモデルを変え続けるEMシステムズ

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この記事は、テキストと動画の組み合わせで多角的にお届けします。動画は、EMシステムズの國光浩三社長をはじめとするキーパーソンへのインタビュー、同社のコンタクトセンター風景、などを収録した約10分間の「スペシャル番組」です。テキスト記事と併せて、ぜひ動画をご覧ください。

※動画再生をクリックしてもでご覧になれない方、またはOSがMACの方はこちらから
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動画再生

 一介の販売代理店からメーカーに転身、他社にないビジネスモデルにより、10年強で競合する大手メーカーを追い抜き、市場シェア1位の座を獲得。2〜3年後にはシェア40%、最終的に50%を目指す。こんな急成長企業が、新大阪駅の近くに本社を構えている。調剤薬局向けのコンピューターシステム販売を手がける、東証第2部上場のEMシステムズだ。

 1万2000弱の調剤薬局が現在、EMシステムズが開発したレセプト処理コンピューターシステムを使って医療事務を処理している。全国にある薬局数は約4万7000、このうちコンピューターを使っている薬局は3万5000強。EMシステムズのシェアは33%で最大手という。もともと調剤薬局向けのコンピューターシステム市場は、三菱電機や三洋電機といった大手メーカーが地盤を持っていたが、新興のEMシステムズが追い抜いてしまった。これに伴って、1992年3月期には10億円に満たなかった年商は急伸、2007年3月期には114億円と初めて100億円の大台を超えた。

 急成長を支えたカギは、独自のビジネスモデルを確立し、しかもそれを見直し続けていることだ。実質的な創業者である國光浩三社長は、「革新を続けたなどという大それた話ではない。そうしないと生きていけなかっただけ」と謙遜する。だが、実のところ、EMシステムズは、経営学の教科書に載っているイノベーション手法のショールームと呼んでも過言ではない。

 ダイレクトモデル、BTO(ビジネス・トランスフォーメーション・アウトソーシング)、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)、オフショアリング。これらはEMシステムズが採用し、成果を上げつつある経営手法である。カタカタ用語が並んでいるが、EMシステムズは外資系企業ではない。兵庫県出身の國光社長が築いた、関西の企業である。創業時のビジョンは「ものではなく、人を世の中に提供する」というもの。これは松下幸之助の講話から採った。つまり、社名こそ英語とカタカナ表記だが、同社は“日本型経営”を謳う企業なのである。

販売・サポート体制のイノベーション〜非対面方式を導入

図版

EMシステムズの國光浩三社長

 國光社長は、急成長の理由の筆頭に、直接販売を貫いたことを挙げた。

 「当社の営業担当者が薬局を訪ね、当社が作った医療事務処理ソフトウエアを載せたパソコンを販売し、自分で納入する。操作の問い合わせ対応やアフターサービスも当社が直接受けて答える。だから、顧客の状況や要望がよく分かり、ソフトウエアを改良していけた。こうした積み重ねが評価され、機種を入れ替える時に再度当社を選んでいただけるようになった」

 全国展開をするため、地域によっては販売代理店の力を借りているが、販売後の問い合わせ対応はEMシステムズが直接担当している。全国に拠点を築いた結果、大手の薬局チェーンに対し、均質なサービスを提供できるようになったという。これに対し、他の大手メーカーは製品は作るものの、販売・サポートは販売代理店に任せるため、全国均質の販売・サービス体制を築きにくい。

 もともと同社はセイコーエプソン製の医療事務コンピューターの販売会社であった。社名のEMはエプソンメディカルを略したもの。エプソンが医療事務ソフトウエアの開発から撤退した時、「ソフトウエアを作って納めるメーカーでありたい」と一念発起した國光社長は業態をメーカーに転換した。医療事務市場に土地勘はあったものの、メーカーとしては全く無名である。そこで打ち出したのが、低価格であった。

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著者プロフィール

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BP社 日経コンピュータ編集長

1985年に記者となって以来、情報システム関連のテーマを取材し続けている。システム開発プロジェクトについては、100件以上の実例を報道してきた。関わった媒体は「日経コンピュータ」「日経ウオッチャーIBM版」「日経ビズテック」「ITpro」「日経ビジネスEXPRESS」「経営とIT」など。「経営者とIT担当者の間にある溝」に最大の関心を寄せる。


このコラムについて

イノベーションで切り拓く新市場

イノベーション。それは企業にとって常に挑戦し続けなければならない課題だ。新製品に対するイノベーションもあるだろうし、企業の構造を変えるためにビジネスモデルのイノベーションもある。さらには、社員を活性化させるための人事・組織のイノベーションも考えられる。このコラムでは、新しいイノベーションに取り組む企業が挑戦する姿をリポートしていく。

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