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米国に“日本レベルのアニメ通”を育成せよ

DVDは「アイテム」。バンダイビジュアルが米国市場で手がける新戦略

  • 中村 均

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2007年7月4日(水)

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 「これからは海外での日本製アニメビジネスのやり方を根本的に変える必要がある。我々の目標は、全世界での同時展開だ」――。こう語るのはバンダイビジュアルUSA社長を務める今野達則氏。

 バンダイビジュアルは、国内では「攻殻機動隊」シリーズや「機動戦士ガンダム」シリーズなどの人気作品の映像商品を取り扱う、アニメ業界トップを走るDVDメーカーだ。

 そんな同社が、ハリウッドの大作映画でおなじみの“世界同時公開”よろしく、アニメDVDを世界同時リリースする態勢に入った。今後、海外市場へはライセンス供与ではなく、自社でビジネスの舵取りを行うという。その狙いを追ってみた。

自社販売による高付加価値・高価格路線に乗り出す

バンダイビジュアルUSA社長 今野達則氏

バンダイビジュアルUSA社長 今野達則氏

 バンダイビジュアルは、2005年1月に設立した米国現地法人バンダイビジュアルUSAによる、米国でのアニメDVDセールスを本格的に開始した。

 同社USA代表の今野達則社長は、「米国で日本製アニメを消費する層の実態が、ここ数年の調査で明確になった。これからは市場環境に適した形で、日本製アニメのセールスを展開する。具体的には日本で成功している“高付加価値ビジネスモデル”を米国で展開することだ」と語る。

 この“高付加価値ビジネスモデル”とは、米国で一般的な「低価格・大量生産・大量消費」型のパッケージビジネスではなく、コアファン向けに「高付加価値・高価格」のコレクションアイテムとしてセールスするやり方だ。

 同社が、この判断を下した背景には、1990年後半からの日本製アニメ市場を取り巻く環境の変化が挙げられる。

「ポケモン」ヒットによる“アニメバブル”は弾けた

 1999年末、全米で公開された映画「ポケモン・ザ・ファースト・ムービー(邦題:ミュウツーの逆襲)」が興行ランキングでトップを獲得。この歴史的な“事件”以降、日本製アニメの認知度は米国をはじめとした海外市場で高まっていく。加えて2003年には、スタジオジブリ製作の「千と千尋の神隠し」(2001年7月日本公開、米国では2002年9月)が、米アカデミー賞「長編アニメ賞」を受賞。さらに日本製アニメへの注目度の高まりに拍車がかかることになった。

 一方、日本製アニメの海外向けライセンス(テレビ放映権や商品化権)市場では、米ADビジョンや米ファニメーション、米セントラル・パーク・メディアといった日本のアニメを取り扱うライセンシー(現地DVDメーカー)各社が、こぞって権利の獲得を活発化。この動きに伴い、彼らが日本のライセンサーに支払うミニマムギャランティー(MG:最低保証使用料)も徐々に高騰する。国内のアニメ業界関係者にとって海外市場からの収益は、作品の製作費を回収するうえで必要不可欠な要素となっていった。

シェアは米国DVD市場のわずか2%

 「日本のアニメは海外で大人気」――。当時、多くのメディアで、こうした論調の報道が連日続いた。だが、米国での日本製アニメのパッケージメディア市場は、2000年頃の“ポケモン特需”によって出荷本数がVHSを中心に一時的に大きく伸びたものの、その後は関係者の予想に反して、それほど大きくなることはなかったのである。

 では実際に、現在どれくらいの日本製アニメの市場が米国にあるのだろうか。

米国市場における日本製ホームビデオ(DVD+VHS)の市場規模(小売ベース)

 米国アニメ市場に詳しい米ワウマックス・メディア(代表:海部正樹氏)が、「Nielsen Video Scan」のデータをベースに、大手流通チェーンなどの数字を独自の試算で加味して推計した結果、2006年の米国での日本製アニメホームビデオの市場規模は3億7479万ドル(1ドル124円換算で約465億円)となった。前年比では金額で379万ドル、率では1%の伸びにとどまっている。

 ちなみに米国のホームビデオ市場全体は235億8000ドル(同換算で2兆9239億円)と見られている(出所:Video Business Year End Report 2006)。つまり、DVD市場全体から見ると、日本製アニメのシェアは、わずか2%に満たない規模なのである。

 2006年の国内での一般向けアニメビデオ(DVD+VHS)市場が、約801億円(「日本映像ソフト協会」調べ)であることからすると、米国において日本製アニメが“市民権”を獲得したとはまだ言えない。

 つまり、米国市場は国内のアニメDVD市場よりも先鋭化したコアファン向けの性格が強い市場なのである。

返品自由の市場、DVD市況の後退でしっぺ返し

 2000年以降高騰していったMGの相場は、2002年にピークを迎える。1話当たり4万ドルの作品や、ケースによっては5万ドルを超える作品も出るようになった。

 だが、この価格は“期待値”先行の過当競争による結果であり、市場の状況を正しく分析して算出されたものではなかった。次のページで市場動向を見てみよう。

コメント2件コメント/レビュー

この米国向けの戦略は正しいと思う。やはりコアなファンはクオリティーを重要視するので、薄利多売感覚では成功しない。基本的に同じ様な手法でヨーロッパやアジア圏も展開可能だと推測する。日本のアニメ人気は(ネットの普及もあり)想像以上のレベルで世界中に浸透し受け入れられている。ビジネスとして十分展開できる土壌が現実としてあるのだから、日本のアニメ業界の方々も、もっと貪欲に視野を世界に広げてみてはいかがだろう?せっかくのビジネスチャンスを有耶無耶のウチに逃している様な印象を受ける。(2007/11/06)

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いただいたコメント

この米国向けの戦略は正しいと思う。やはりコアなファンはクオリティーを重要視するので、薄利多売感覚では成功しない。基本的に同じ様な手法でヨーロッパやアジア圏も展開可能だと推測する。日本のアニメ人気は(ネットの普及もあり)想像以上のレベルで世界中に浸透し受け入れられている。ビジネスとして十分展開できる土壌が現実としてあるのだから、日本のアニメ業界の方々も、もっと貪欲に視野を世界に広げてみてはいかがだろう?せっかくのビジネスチャンスを有耶無耶のウチに逃している様な印象を受ける。(2007/11/06)

正直、喝采!!アメリカ向けに戦争シーンばかりを切り張りした「もののけ姫」「千と千尋」を見たことがあるが、悲しくなるような作品に仕上がっている。そんなことまでしてメガヒットさせなくていい。作品の世界を理解できる市場(フランスなどは殆ど日本版と同じでOK)で売って欲しい。(2007/07/05)

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