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ハイテクではなくローテクで稼げ

設備・技術より「経営周期」を重視して成長続ける

  • 川嶋 諭

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2007年7月6日(金)

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カナヤママシナリーの金山宏明社長

 「1億2000万円もかけて導入した電子ビーム溶接機をこの前、3000万円で売っちゃいました。人が手で溶接できるので、もう不要になったから…」

 富山県黒部市に本社がある機械メーカー、カナヤママシナリーの金山宏明社長はけろりとした表情で話す。

 今から13年前の1994年、アルミニウムの溶接、それも薄板ではなく厚さが80ミリを超えるような厚板の溶接用に鳴り物入りで導入した機械である。当時、同社の売上高の3分の1に相当する高価な設備で、渋る銀行に何度も頭を下げてやっとの思いで資金を調達して導入した。

 電子ビーム溶接機は、真空中で電子ビームを発生させ、その電子ビームを溶接物に当てて金属を溶かして溶接する機械。電子ビームの焦点距離が非常に長いため溶接物の奥深くまで電子ビームが届くので、厚い材料を溶接できる。また、真空中で加工するため酸化しやすい材料の高品質な溶接ができる。

 この機械を導入すると、難加工に頭を痛めていた企業から発注が相次いだ。それも大手企業の研究所など、先端的な研究をしているところから難しいチタンやアルミの加工を多数依頼されたという。

高価な機械を使うよりも人間の手作業に戻る

人間の手でもアルミの高品質な溶接が可能になった

 そんな大切な機械を未練もなく手放してしまった。

 機械が古くなったからではない。電子ビームのようなハイテクを使わなくても、TIG(ティグ)溶接と呼ばれる古くからある手法で厚いアルミ製品の溶接ができるようになったからである。

 ハイテクからローテクへの回帰と言えるが、その方が実は儲かるのだ。

 「当社の商品の柱の1つである真空チャンバーは高い気密性が要求されます。溶接したところにスが入ってしまうとそこから気体が漏れ出して使い物になりません。電子ビーム溶接なら、そうした心配がほとんどなくなるのですが、実は欠点もあります」

 真空中で加工するために、溶接物を真空チャンバー内に入れて真空に引かなければならない。加工のための段取りが大変で時間とコストがかかる。

 そして最大の欠点は、溶接する装置の裏側から溶接ができないということだった。長い焦点距離を必要とするからで、1方向からだけの溶接で済むならいいのだが、反対側からの溶接が必要になるとお手上げになってしまう。

 「新しい素材の溶接に取り組むのに、初めは電子ビームが大変役に立ちましたが、そうした素材の溶接に慣れてくると、ノウハウがたまって空気中で人が手で溶接しても高い品質を得られるようになったのです」

設備はしょせん道具に過ぎず変化への対応が難しい

 電子ビームという新しい装置によって難しい材料の溶接の世界に入り、ノウハウを蓄積して人間の技を磨いてコストを下げ品質を上げる――。人間の技を機械に置き換えてコストを下げる従来の一般的な手法とは全く正反対と言える。

 しかも熟練の技ならどんなに複雑な形状の溶接物にも対応できる。現在、同社の売り上げの約6割を得意の溶接技術を生かした真空チャンバーが占める。半導体や液晶製造装置に使われる装置で、世界的に半導体や液晶の生産が増えていることから数多くの受注残を抱えている。

 「設備はしょせん道具に過ぎません。道具があるからそれでできる仕事をするのではなく、自分たちが何をしたいのか、何を作って売りたいのかを考えることが大切です。設備に固執するとめまぐるしく変化する世の中に対応するのが難しくなってしまいます」

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