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「群創力」がイノベーションを生む(後編)

レゴとウェルスファーゴの実践例

2007年7月30日(月)

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 前編では「群創力」を活用した新たなイノベーションの概念を述べた。群創力は企業の外部にある集合知を活用して生み出される。その方法には、「文殊の知恵型」「ここ掘れワンワン型」「高速実験型」「多数決型」という4つのタイプがあることを説明した。

 今回は、集合知を活用した「群創力」の実践例として、玩具メーカーのレゴ(本社デンマーク)と、米国のメガバンクの一角を占めるウェルスファーゴのケースを紹介する。

 レゴは売り上げがおよそ1000億円、世界第6位の玩具メーカーであり、4億人以上の顧客基盤を有するグローバル企業である。レゴでは、ウェブ上で顧客がデザインした商品のうち、優れたものをそのまま量産化している。つまり、ユーザーの「文殊の知恵」を活用して、新商品開発に取り組んでいる。顧客にレゴシリーズの商品企画を委ねているわけである。

 玩具は世界的に成熟市場と見られており、とりわけ伝統的な玩具であるブロックなどは、TVゲームやPCゲームに市場を奪われており、市場縮小の傾向が強くなっている。レゴは、こうした状況を打開するための施策の1つとして、顧客を巻き込んだ商品開発に踏み切った。

図版

図1●レゴのサイト「レゴ・ファクトリー」における「デジタルデザイナー」を活用した消費者による商品企画の例(モデルはNRIが作成した)

 レゴは、「レゴ・ファクトリー」というサイトの中で、「デジタルデザイナー」という3次元のデザインソフトを顧客に無償で提供し、顧客が自由に好きなデザインをパソコン画面上で行える環境を提供している(図1)。そして顧客がデザインした商品の中から、最優秀作品を一般向けに商品化している。

 その際にデザインした顧客は、売り上げの一部を受け取ることができる。また商品パッケージには、デザインした顧客の名前や顔写真が掲載されるなどの工夫をこらしており、顧客がレゴの活動に積極的に参加するように、インセンティブを与えている。
 また、顧客同士の交流を促すことにも工夫をこらしている。レゴのホームページ上に設置されているレゴクラブの中で、クラブメンバー各々が、自分のホームページをブロックを組み立てる感覚で、簡単に作成できる環境も提供している。

 このホームページを通じて、メンバー同士の情報共有を促すことで、文殊の知恵を活発に出してもらうことを重視しているわけである。現在、クラブメンバーが開設している個人のホームページは60万件に達しており、相互にアクティブな情報の交換が進められている。

サイトへの「不正侵入」をきっかけに群創力活用へ

 レゴも2000年以前は、社内の商品企画担当が新商品の企画を進めていた。しかしハッカーによる社内サイトへの不正侵入がきっかけとなり、群創力の活用に踏み切っている。

 レゴの「マインドストーム」シリーズをご存じの方も多いと思う。ブロックをロボットの形に組み立て、制御ソフトをプログラミングすることで、思い通りに動かせられるというシリーズである。この制御ソフトがハッカーによって改ざんされた。

 この問題に対応するにあたって、レゴの経営陣の中では、セキュリティーを強化して、改ざんさせないようにすべきという意見が大勢を占めていた。しかし最終的な結論は、プログラムのソースコードをオープン化するというものだった。顧客に自由にソフトを開発してもらう仕組みに変えたのである。これをきっかけにして、レゴではブロックの商品開発自体に顧客を巻き込むビジネスモデルを採用していった。

 さらにレゴの経営陣は、顧客が開発した商品を量産につなげるために必要な仕組みの構築に着手している。生産管理の方法、サプライチェーンマネジメントの仕組みなど、従来型では顧客が開発した商品の量産化に対応できない部分があったためである。現在のレゴにとって、文殊の知恵型の群創力活用は、他の玩具メーカーと差別化するための重要な要素となっている。

“高速実験型の群創力”で中小企業向けの鉱脈を発見

 続いて紹介するのは、米国のメガバンクの一角を占めるウェルスファーゴ(以下、WF)のケースだ。この銀行は中小企業を対象に、顧客の琴線に触れるサービスとは何か、クロスセルできる優良顧客はどこにいるのか、といった2つの宝探しを「高速実験型」で行い、目覚ましい成果を挙げている。

 WFは全米を対象に事業を展開している、いわゆるメガバンクの1社であり、資産規模で50兆円、純利益で9000億円を超える(2006年)。2006年時点で、ムーディーズの格付けで全米で唯一のトリプルAを獲得している優良銀行であり、インターネットバンキングサービスで高い成長を達成してきた。

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中谷 巌 「不識塾」塾長、一橋大学名誉教授