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黒船なんて怖くない

今こそ求められる「開国」の心構え

2007年7月13日(金)

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 今から154年前、1853年7月8日、浦賀沖に巨大な軍艦4隻が現れた。松代藩士佐久間象山は、浦賀に急行し、その2日後にこの艦隊を自らの目で確かめている。ご存じのペリー来航、日本が幕末から明治維新に向かっていく大きなきっかけとなった事件だ。この後、国内では攘夷の動きが強まっていく。

 1858年(安政5年)は、その1つのピークとも言える年となった。前年のハリス来日を受け、この年に幕府は独断で日米修好通商条約を調印した。これに対して、(将軍後継問題も絡んだとされるが)朝廷も含む、広い範囲の攘夷派が猛反発。これに応じる形で、井伊大老を中心とした幕府側は、尊王攘夷派の弾圧に乗り出した。安政の大獄である。

1858年と2007年の類似性

 この1858年と2007年には、どうも類似性があるように感じられる。もう少し正確に言えば、1858年時点での政治分野を覆う時代精神と、2007年の経済・経営分野に広がる時代精神に、共通項があるのだ。

 まずは、「力」への恐れ。安政の時代には、欧米列強の砲艦外交への強い恐れがあった。この少し前には、清国がアヘン戦争に敗れ、4港開港と香港割譲を余儀なくされていることから、当然と言えば当然のことだろう。

 平成の現在、日本の企業社会には、同様の「力」への恐れがある。外資や異業種、そしてファンドからのM&A(企業の合併・買収)、TOB(株式公開買い付け)に対する恐れだ。昨年から今年にかけて、三角合併解禁を睨んだ「企業防衛セミナー」が大はやりだった。ソトからの「力」の行使が迫っているから、防衛を考えねば、ということだろう。

 2点目は、「夷」への反感、である。幕末も今も、自分たちと異なる文化規範を持つものが共同体に「侵入」してくることは、強い感情的反感をもたらす。

 日本の企業は、その構成員にとって「共同体」的な意味を強く持つだけに、外資・異業種・ファンドといった存在を、共同体の構成員とは異質な「夷」と見なし、強い反感を抱く傾向が強い。M&AやTOBのターゲットとなる企業だけでなく、最近では社会一般に、こういった感情が広がっているように感じられる。

 「力」への恐れ、そして「夷」への反感。これらは、当然「攘夷」の動きへつながっていく。スティール・パートナーズとブルドックソースの係争も、少し引いた目で見てみると、(裁判所の判断の是非や、どちらの言い分に分があるかということに対して判断を差し控えたとしても)、攘夷派がまずは勝利を収めた、というふうに見える。

「攘夷」から「開国」へ

 幕末の面白いところは、強硬な攘夷派の多くが、ある時点から開国派に転じていることだ。開国し、海外の技術や武器を自らのものとし、富国強兵・殖産興業を通じて、自らの独立を守れる国になる、という考え方に転換する攘夷派が相次いだのである。攘夷派の急先鋒だった坂本竜馬が、勝海舟を暗殺しようとして出かけていき、諄々と説かれて開国派に転じたという話が伝わっているが、これが典型例だろう。

 平成の「攘夷派」は、どうだろうか。私自身は、できるだけ早く感情的な「攘夷」論から離れ、日本にとってプラスとなる形の「開国」を模索していくべき時期に来ている、と考えている。

 文化・風土、そして歴史の違いによって、資本主義のあり方、そして資本市場と株式会社の関係に、複数のタイプが存在することは事実だ。しかし、市場、知財、資金、そして人材、すべての点で、グローバルアクセスを享受することでしか(日本企業も含む)、グローバル企業の競争力担保はあり得ない。国の競争力も全く同様だ。

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「黒船なんて怖くない」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCGシニア・パートナー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経て現在に至る。事業戦略、グループ経営、M&Aなどの戦略策定・実行支援、経営人材育成、組織能力向上などのプロジェクトを手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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