「会計から繙く経営の要諦」

“身内だけの特別価格”は通用せず

移転価格税制が問う、親子間の取引価格

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2007年8月1日(水)

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 国境をまたぐグループ間の取引で、本来は日本の法人が得る利益を、海外の法人に移転した場合に適用される移転価格税制。ここ数年、日本の名だたる企業が日本の税務当局から、移転価格税制に伴う巨額の追徴課税を受けるケースが増えている。

 2006年6月28日、武田薬品工業は大阪国税局から移転価格税制に基づき約570億円を追徴課税された。課税額が大きいものでは、武田以外にも2005年にTDKが約120億円、京セラが約130億円、2004年にはホンダが約130億円の追徴課税を受けている。

 これらのケースでは、その後、会社側が国税不服審判所などで異議を申し立て、中には一部処分取消で、税金が還付されている例もある。とはいえ、移転価格税制による課税件数は近年、急増しており、1998年には59件だったのが2005年には119件と倍増、追徴課税金額の合計も1998年の589億円から2005年には2836億円となっている。

 企業にとって突然、巨額の追徴課税を受ければ、利益の大幅な下方修正を余儀なくされ、キャッシュフローの減少で、設備投資や資本投資などの投資計画や配当など資本政策に影響を受けかねない。財務のみならず経営の安定化を確保するためにも、移転価格税制に対するいっそうの配慮が必要になっている。

アームスレングス価格なのか

 移転価格税制の問題が件数、追徴課税額とも増加傾向にあるのは、グローバル化の進展で、日本企業が生産工場や販売拠点を海外に移す動きが加速していることが影響していると思われる。日本より税率の低い国もあるので海外展開が進むと、企業からすれば日本の法人から取引先に直接販売するのではなく日本より税率の低い国にあるグループ会社に販売し、その子会社が取引先に売却すればグループ全体で節税できる、と考えるのは当然だ。

 しかし、税務当局は国境をまたぐグループ間の取引価格が、アームスレングスといって、資本関係のない独立した企業同士の取引価格と比較して妥当な水準なのか、を注視する。 アームスレングスというのは、もともと「互いに腕の届く状態」ということから、互いに対等な立場で行う取引のことを指すようになった。税務当局がグループ間取引をアームスレングス価格でないと判断すれば、移転価格税制で課税する。

 アームスレングスが問題になるグループ間の取引とは、例えば日本の本社が50%以上を直接ないし間接に所有する海外のグループ会社と商品を取引する場合だ。日本の親会社から第三者を介して海外のグループ会社と取引する場合でも、最終的に取引の当事者がグループ企業間であれば適用の対象になる。

課税所得が変わってしまう

 税務当局がアームスレングス価格かどうかを問うのは、日本と海外とのグループ間の取引価格によって、課税額が大きく変わるからだ。例えば、日本の親会社である商社が2000万円で仕入れた商品を米国の販売子会社に輸出し、この販売子会社が邦貨換算5000万円で米国市場に販売したとする。

 この取引では、グループ会社全体で得る利益は、日米間の取引価格にかかわらず3000万円(5000万−2000万円)と変わらない。しかし、日本の親会社と米国の販売子会社のそれぞれの利益額は、取引価格によって変わる。

 仮に3000万円で日本から米国に輸出すれば、日本の親会社の利益は1000万円、米国子会社の利益は2000万円となる(図1)。しかし、4000万円で輸出すれば親会社の利益は2000万円、米国子会社の利益は1000万円と逆転する(図2)。

 上の例では、日本の税務当局からすれば、日米間の取引価格が3000万円で行われた場合、4000万円の時より徴税額が減ってしまう。そのため税務当局は、この親子間の取引価格が、資本関係のない独立した企業同士で行われている価格(アームスレングス価格)と比べて妥当な水準なのか、ある基準に基づいて計算し判断する。

5つあるアームスレングス価格の算定法

 税務当局が、グループ間取引価格をアームスレングス価格かどうか判断する方法は5つある。

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会計から繙く経営の要諦

1990年代末の会計ビックバン、国際会計基準の収束化、会社法そして日本版SOX法の施行。日本の会計制度はめまぐるしく変化しています。今や企業経営の安定化には、会計制度の知識は不可欠。最近の出来事を中心にしながら、新しい会計のポイントを解説していきます。

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