「「リッチコンテンツ虎の巻」」

ウェブで企業PRの「枠組み」はこう変わる

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2007年8月10日(金)

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―― 企業トップが「ウェブを使った顧客とのコミュニケーション」という課題を考えるのは、実はなかなか難しいのではないかと思います。それはマーケティングや広報、あるいは「お客様相談室」の役目ではないか、と。陳腐な言い方になりますが、それまでの物の見方や枠組みを取っ払う必要がありそうです。白石さんには、そうした経験はありますか?

白石 そうですねぇ、2度ほどありましたね。

 ひとつは、リクルート時代にファックスネットワークシステムに関わっていた時の経験で、これは今の私の思考回路に、かなり影響を与えていると思います。

 ファックスって、電話から進歩してきた1対1の送信手段ですよね。口頭ではなく紙で伝える方がいい時もあるよね、と考案されたのがファックスだった。リクルートは、その発想の延長で、たくさんの人に一斉に安くファックスを送ることができる仕組みを作った。つまり、1対1が、1対大勢に進化したシステムでした。

使い方が変わらないとビジネスは伸びない

 で、鳴り物入りで世にお披露目されたそのシステムが、最初どういう使われ方をしていたかというと、銀行の本部が全国の支店に一斉にファックスで通達を送る、とか。

―― そういう使われ方しかなかったわけですか。

Jストリーム社長 白石 清氏

Jストリーム社長 白石 清氏 (写真:大槻 純一、以下同)

 ええ。ニーズが広がらなかった。それでは通信量が伸びません。
 そこで、リクルートは考えたわけです。「たくさんの人々に一斉に知らせるって、何を意味してるんだろう?」と。そして気づいたんですよ。「本質は情報提供だな」「情報提供ということは、マーケティングに使えるな」と。

 そこからビジネスとして一気に伸びた。例えば、企業が新商品を出した時に、顧客や問屋に一斉に案内を出す。今で言うメールマガジンのような使い方です。リクルートは、送信手段だったファックスを、マーケティングツールとしてとらえ直したわけです。この枠組みの転換は画期的だったと思います。

―― 商品を売りたいと思えば、1カ月に1回じゃなくて1週間に1回送ろう、1000枚じゃなくて3000枚送ろう、と増えていきますから、ビジネスモデルとしてもよくできていますね。

 この時リクルートが始めたのは、「ファックスは、マーケティングツールとして、こんなふうに使えますよ」と使い方を提案しつつ、ネットワークシステムを売る、ということでした。ただネットワークを売るだけでなく、「ソリューション」を売る。

CDの登場で、iTunesを予見

―― 「ファックス」の機能ではなく、ユーザーに提供する効果の本質をとらえたことで、ビジネスの枠組みが転換された。これは前回Jストリームが「ePresenter」で得た「動画を売るのではなく、ソリューションを売る」という転機と、重なるところがありますね。

 枠組みの転換を感じたもうひとつの経験は、1980年代にCDがレコードに取って代わった時でした。先にも言いましたが、レコードがCDになったということは、音楽がデータになったわけだな、と思ったんですよ。じゃあ将来は、CDを買ってきて音楽を聴くんじゃなくて、ネットワークを通して音楽を聴く時代になる。携帯プレイヤーは、ウォークマンみたいにメディアを出し入れするものではなくなって、今で言うiPodみたいにデータを持ち運んで聴くようになる、と思ってわくわくしましたね。

―― レコードからCDへの移り変わりを見て、iTunesのような音楽の流通の仕方や聴き方を予見したんですか?

 はい。

―― それは卓見でしたね。

 実は、リクルートで、この手のビジネスを提案したんですよ。

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著者プロフィール

奥原 剛(おくはら・つよし)

1974年、大阪生まれ。PHP研究所を退社後、フリーランスライターに。執筆業の傍ら、東京都台東区で「操体レクリエーション」を開業し、気持ちよさで身心の治癒を促す医術「操体法」の施術・講習を行なっている。



このコラムについて

「リッチコンテンツ虎の巻」

 企業にとってウェブは「自分のメディアを持てる」媒体だ。自らの言いたいことを、自ら発信できる。それはとても大きなメリットがあり、同時に、ひとつ間違うと非常に危険なことでもある。ウェブを介して人々は「どのような企業なのか」の印象を持つ時代。その時、「我々は顧客に、どういう企業だと思われたいか」を決めるのは、まさに経営・マネジメント層の仕事だろう。

 ならば、経営層は、自社のウェブコンテンツにどういう意識で向き合えばいいのか。ウェブ上での動画配信専業会社として誕生し、現在は動画、Flash、携帯配信などの企画制作から配信、効果測定までを広く手がけるJストリームの白石清社長との対話から「経営層が、自社のウェブに載せるコンテンツの企画書を見るポイント」を明らかにしていく。専門家の意見に振り回されず、自社のメッセージを顧客により正しく深く伝えるコツを、白石氏の話の中から掘り出していきたい。

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