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このままでは日本から資産が逃げていく

日本の高齢者が世界金融を動かす日

  • J・W・チャイ

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2007年9月21日(金)

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 米国のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題で、一躍脚光を浴びたのが「証券化」という手法だった。要するに、焦げ付きの可能性が高いものから安全性が高いものまで、貸付債権を混ぜ合わせて証券にし、投資家に売却する手法だ。その結果、サブプライム債権の担い手が世界のどこにいるのか見えにくくなったことが、今回の金融不安を助長する一因となった。

 といっても、今回の主題はサブプライム問題ではない。私がここで証券化という言葉を持ち出したのは、玉石が入り混じっているという点で、日本の金融と似ていると思ったからだ。米国に比べて、金融力がはるかに弱いと言われる日本だが、その中にも極めて優良な“玉”がある。それが個人金融資産である。

玉石混交の日本の金融

 日本銀行によれば、2007年第1四半期における日本の個人金融資産の合計額は1536兆円に上る。これは米国の個人金融資産42兆ドル(4830兆円)のおよそ3分の1にあたる。注目すべきは、その内容だ。日本の場合、全体の資産の50.1%を現預金が占める。米国は12.9%に過ぎない。つまり日本の方がはるかに流動性の高い資産を保有している。

 この“眠れる資産”の行方は世界金融に大きな影響を与える。ちなみに、世界のヘッジファンドの運用資産は、日本円にして百数十兆円と試算されている。日本の個人金融資産はその10倍以上もある。いかにスケールが大きいかが分かるだろう。

 この資産の大半を保有しているのは、日本では高齢者だ。つまり、日本のおじいちゃんやおばあちゃんたちの一挙手一投足が世界金融を動かす力を持っている。例えば、彼らが郵便貯金などに預けている資産を一斉に海外に移したら、為替や株式をはじめ、あらゆる金融商品の相場が大きく動くだろう。

 日本経済にとっては、まさに虎の子の資金が海外に流出するわけで、一大事と言える。既にその現象は起きている。日本の低金利を嫌って、海外を対象とした投資信託や外貨預金の人気が高い。保守的だった日本の高齢者も徐々に投資に目覚めつつあるようだ。

日本は為替レートや金利をどう導きたいのか

 にもかかわらず、日本の金融当局からは危機感が感じられない。日本の個人金融資産が“玉”ならば、“石”は経済産業省や日本銀行などの金融行政だろう。彼らの行動からは、日本の資産をどうしたいのか、まるでビジョンが見えない。日銀は先月、そして今月も政策金利の引き上げを見送り、金融政策の現状維持を決めた。しかし、日本が金融資産の流出を本気で防ぎたいなら、これ以上の低金利政策はあり得ないはずだ。

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