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今こそ不況への備えを

2007年9月21日(金)

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 米国のある化粧品会社は、不況期になると必ず広告投資を増やしてきた。景気が悪い時には、テレビや雑誌の広告単価が下がるので、同じ投資額でより多くの広告を出すことができる。また、ほとんどの競争相手は、売り上げ不振になると、利益確保のために広告を減らすので、不景気の時期には、相対的な広告シェアを容易に上げることができる。結果的に、この会社は、不況になる度にシェアを伸ばし、次の好況期には、より高いブランド力で競争することができた。

 あるグローバル企業が守っている「M&Aの鉄則」がある。「不況期に、買え」という単純明快なものだ。皆が先行きに不安感を持っている時期には、必ず安く買い物ができる。この会社は、積極的にM&A(企業の合併・買収)の準備を整えて不況期を待ち、時が来たら果敢に買収攻勢をかけるという手法で、業界内でのポジションをより強固なものにしてきた。

 政治の混乱があっても、足元の企業業績が絶好調な日本経済。今日の時点で不況期の話をしても、あまり興味を持ってもらえないのは重々承知だが、私は今こそ不況への備えをしておくべきだと思っている。

サブプライム問題は収束に向かっているのか

 米国発のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題は、当初に比べて報道される機会が次第に減ってきているようだ。日本国内では、「サブプライム関連のクレジット市場の規模は比較的小さいし、各金融当局の流動性供給で、ひとまず落ち着いた状況になった」という声が多い。「実体経済、特に米国の景気への影響が、やや心配ではある」という意見も根強いが、世界の景気を大きく冷え込ませる可能性がある、というほどの危機感を持っているのは、少数派だろう。

 私自身は、金融危機が広がるといった事態につながる可能性は低いものの、何パーセントかの確率で、先進国を中心に同時不況が広がることはあり得ると考えている。「不況の可能性があるならば、それに向かって備えをしておくべき」だと思う。

 まず、サブプライム問題を少し整理してみたい。今年2月に、サブプライムに関連したCDS(Credit Default Swaps)の指数が変調を来した。6月には、ヘッジファンド2本が立ち行かなくなったのをきっかけに、問題が表面化し、欧州の金融機関の一部の流動性危機にまでつながった。

 あえて単純化すれば、この問題は、次のようなメカニズムの中で起こっている。
(1)証券化商品(サブプライムローンを証券化したものを組み込んだ様々な商品)の格付けが甘すぎた。
(2)いったん、格付けの修正が起こると、当然その商品の価格が下落する。
(3)時価会計ルールに則って、その商品を保有している金融機関は損失を計上する必要があるため、売りに走る。また、格付けが下がると、自分の取れるリスクの総量が決まっているので、これまた売りの圧力がかかる。サブプライム関連の証券化商品は、2次販売市場が整備されていないこともあり、売り圧力の高まりの中、価格だけがどんどん低下していく──。

 金融機関同士の疑心暗鬼という問題を除けば、基本的には、ある特定の商品分野の価格が大きく下落した、ということに尽きるわけだ。

 こう考えると、巷間言われているとおり、この商品分野の規模がさほど大きくないことから、「サブプライムそのもの」の問題は、ある程度収束に向かいつつあり、金融市場全体を揺るがすような問題ではない、ということになる(もちろん、サブプライムの少し上の住宅ローンを証券化したものに飛び火する可能性はあるし、証券化商品全体の格付け厳格化、ということも早晩起こってこよう)。

 しかし、サブプライム問題の本質的な怖さは、サブプライムを越えたところにある。

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「今こそ不況への備えを」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCGシニア・パートナー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経て現在に至る。事業戦略、グループ経営、M&Aなどの戦略策定・実行支援、経営人材育成、組織能力向上などのプロジェクトを手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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