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松坂に120億円を払えたのはなぜ? (下)

レッドソックスに見る、飽くなき収益拡大戦略

2007年10月25日(木)

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 米メジャーリーグ(MLB)のワールドシリーズが、いよいよ現地時間の今日から始まります。対戦カードは、ご存じのように松坂大輔投手や岡島秀樹投手の所属するボストン・レッドソックスと、松井稼頭央選手が所属するコロラド・ロッキーズ。昨冬、松坂投手がレッドソックスに“世紀の移籍”が決まった時に、現在の状況を想像した人はどれくらい、いらしたのでしょうか。

 年俸総額が1億4600万ドル(約168億円)とMLB全30チーム中2位のレッドソックスに、プレーオフ進出チーム中、年俸総額が6300万ドル(約72億円)と最低ランクの27位ながら、最近22戦で21勝1敗と神がかり的な勢いのあるロッキーズがどのような戦いぶりを見せるのか、注目したいと思います。

 前置きが長くなりましたが今回も、前回の記事に引き続きレッドソックスの経営について触れていきます。今年のシーズンが始まった頃のこと。小春日和の中、筆者はインターンのN君を連れてニューヨーク市クイーンズ地区にあるシェイ・スタジアムに足を運びました。この日は地元ニューヨーク・メッツとアトランタ・ブレーブスの対戦があり、我々はもちろんメッツの応援に駆けつけたわけです。

 球場に到着して席に座ると、すぐさまキヤノンのプロ用機材を持ったカメラマンが近寄って、「撮りますよ」と声をかけられました。言葉に乗せられて、気軽にカメラマンに向かってポーズを取ってしまったのですが、「もしかしたら、後で写真代を請求されるかも」と怪訝に思っていました。案の定、撮影を終えたカメラマンが近づいてきました。ところが、写真代を要求されることはなく、にこやかな表情で、1枚のカードを手渡すのです。

シェイ・スタジアムで行っているファンフォトのサービスの一幕

 もらったカードを見てみると、そこにはインターネットサイトのアドレスが記載されています。「なんだ、これは?」。N君と首をかしげながら、後日、そのサイトを見て、驚きました。我々のツーショット写真が、当日のチケットとともに額入り記念写真になっていて、さらに写真をプリントしたTシャツやマウスパッド、マグカップなどが購入できるようになっていたのです。

 さすがに、男2人のツーショット・マグカップは買いませんでしたが、その商魂たくましさに感心した次第です。メッツの対戦相手はアトランタ・ブレーブスでしたが、実は、この写真サービスが、レッドソックスの先進経営の謎を解くカギでもあるのです。

野球ビジネスのノウハウを売る

 このサービスを実施している企業は、ファンフォト。同社は日本のキヤノンとフェンウェイ・スポーツ・グループのジョイントベンチャーです。日本の読者にはキヤノンについての説明は不要でしょうが、フェンウェイ・スポーツについてはご存じない方がほとんどではないでしょうか。

 フェンウェイ・スポーツは社名からお分かりのように、この企業は本拠地をボストンのフェンウェイ・パークに置くレッドソックスのグループ企業です。そのフェンウェイ・スポーツが出資するファンフォトは、この写真サービスを2004年7月のオールスターゲームで開始しました。

 ファンフォトはこのサービスを現在、メッツ以外にもフィラデルフィア・フィリーズなど大リーグや大学スポーツなど13チームのスタジアムで展開しています。読者の中には、なぜレッドソックスのグループ企業が、他球団の本拠地でもサービスを実施しているのかと不思議に思われる方もいるでしょう。その理由はフェンウェイ・スポーツの事業目的にあります。

 フェンウェイ・スポーツが設立されたのは2004年のこと。事業内容は、スポンサーシップ営業やトレードマークなどの知的財産管理、イベント運営、コンサルティングなど多岐にわたっています。要はレッドソックス経営で蓄積されたノウハウを、レッドソックス以外のクライアントに対して販売している会社です。

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「松坂に120億円を払えたのはなぜ? (下)」の著者

鈴木 友也

鈴木 友也(すずき・ともや)

トランスインサイト代表

ニューヨークに拠点を置くスポーツマーケティング会社、「トランスインサイト」代表。一橋大学法学部卒、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)出身。スポーツ経営学修士。中央大学非常勤講師

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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