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「10%を超える経済成長は危険」
胡 鞍鋼(フー・アンガン)清華大学公共管理学院教授

「2010年 日中逆転」碩学が語る(1)

  • 田原 真司

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2007年10月1日(月)

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 胡鞍鋼教授は、胡錦濤・温家宝政権の政策ブレーンとして知られる有力経済学者。経済規模の日中逆転は避けられない現実であり、日本人は心の準備をすべきだと説く。中国経済の成長余地は大きいとする一方、速すぎる成長は資源不足や環境汚染などの弊害を招くと警告する。
(聞き手は北京支局 田原 真司)

―― 中国経済は4年連続の2ケタ成長が続いており、この勢いが続けば2010年にもGDP(国内総生産)が日本に並びます。これは予想を超えるスピードです。

胡 鞍鋼(フー・アンガン)氏
清華大学公共管理学院教授、中国科学院-清華大学国情研究センター主任 1953年4月遼寧省鞍山市生まれ、54歳。文化大革命期の下放体験などを経て、85年から中国科学院の「国情分析研究プロジェクトチーム」に参加。99年、中国科学院国情研究センターを設立し主任に就任。2000年から現職。(写真:村田 和聡)

 胡 鞍鋼(以下 胡) 中国の発展は中国政府の予想を超え、海外の専門家の予想をも超えています。日本の専門家の多くは、中国のGDPを現在の為替レートで換算し、日本の60~70%であると見ています。しかし私に言わせれば、これは一種の錯覚です。

 一国の経済規模を推測するにはいくつかの方法があります。GDPもその1つです。さらに、GDPの推計方法にも2種類あります。1つは為替レートを用いる方法、もう1つは購買力平価を用いる方法です。為替レートだけを使うのは正確とは言えません。これは経済学の世界では常識です。

 為替レートベースで計算すると、中国は1978年には世界第11位でしたが、2001年には第6位、2006年には第4位に上昇しました。ドイツでは今年、GDP第3位の座を中国に奪われることが大きなニュースになっているそうです。2010~13年には日本を追い越し、第2位になるかもしれません。

 しかし世界銀行のデータによれば、購買力平価ベースで計算した中国のGDPは1995年には日本を抜き、既に米国に次ぐ世界第2位になっています。これは世界の経済学者が知っている事実です。中国の経済学者が目下議論しているのは「いかに米国に追いつくか」であって、日本に追いつくことではありません。

オリンピック後も成長は持続

―― 中国では株価や不動産価格が急騰しており、バブルではないかと懸念する声もあります。

  日本の人々は、来年の北京オリンピックが終わると中国の景気が失速するのではないかと心配しているそうですね。確かに最近バブルが発生している可能性はありますが、その規模は小さいと思います。また、経済はオリンピック後も引き続き成長すると見ています。

 なぜなら、中国の人口は日本の10倍以上です。経済の全体規模で日本を追い越すのは、ある意味で自然なことです。我々は過去に「大躍進」と「文化大革命」という政策的ミスを犯しました。この2つの失敗がなければ、中国はもっと早く発展できたはずですし、今後も発展する余地が大きいと言えます。

 この事実(中国の経済大国化)は一体、何を意味するのでしょうか?

 中国は自らの市場を主体的に対外開放することにより、米国、EU(欧州連合)、日本にとって最大の利害関係者になったというのが、私の解釈です。清代の小説「紅楼夢」に出てくる「1人が損すれば皆が損し、1人が栄えれば皆が栄える」という言葉のように、日本の中には中国があり、中国の中には日本がある。双方がどちらからも離れられない。経済のグローバル化を前提にすれば、好むと好まざるとにかかわらず、それが現実なのです。

 日本の皆さんには、心の準備をしていただきたいと思います。中国が今後も発展を続けるのは避けられません。グローバル化の時代には、競争を避ける国は衰退します。日本人は中国の技術者より先を行き、中国の労働者より優れた仕事を続けるしかありません。個人的な意見ですが、日本の皆さんには中国と上手に競争すると同時に、現実としっかり向き合うことが肝要だと思います。他人が競争に加わることに不満を募らせても仕方ありません。

 では、日本にとって中国が発展するメリットは何でしょうか。確かなことは、日本は中国を自分の市場と見なせること、つまり同一市場と考えられることです。現在、日中間には自由貿易協定(FTA)はありませんが、両国間の貿易にかかる関税は既に大半の品目で低くなっています。例えばIT(情報技術)製品の関税はゼロです。両国は一体化した大市場となっており、日本経済にとっては発展する余地が広がっているとも言えるのです。

「黒猫」から「緑猫」への変身

―― 中国経済の成長に死角はないのですか。

  懸念材料は景気の失速より、むしろ成長のスピードが速すぎることです。中国の成長は、世界経済の拡大に多大な恩恵をもたらしています。しかし年率10%を超える成長は、中国のみならず世界にも負の影響をもたらしかねません。特にエネルギー需給の逼迫と環境汚染の悪化です。

【最終ページにアンケートのお知らせがございます。是非、ご覧ください。】

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