組織のタイプを表す例えとして、「オーケストラ型組織」と「ジャズコンボ型組織」という言葉がよく使われる。
オーケストラの場合、指揮者というリーダーの指示に従って、メンバー全員が演奏を繰り広げる。楽譜そのものの解釈も指揮者が行うわけで、1人のリーダーが多数のメンバーを率いる「1対N」型の組織形態だ。
一方、ジャズコンボの場合、たとえバンドのリーダーがいたとしても、演奏はプレーヤー間の(大抵の場合、非言語的な)コミュニケーションで進行していく。アドリブの部分は、リーダーの解釈や指示ではなく、プレーヤー自身の考えに沿って進行し、往々にして他のプレーヤーの演奏によって、さらに新しい展開が生まれる。いわば、「N対N」型のフラットな組織形態とも言えよう。
時代が求めるジャズコンボ型組織
2つのタイプを企業組織に当てはめて語る場合、オーケストラ型を規律重視の従来型組織形態、ジャズコンボ型を独創性重視の新しい組織形態、として捉える向きが多い。
労働や資本の投入量ではなく、知識やアイデアのぶつかり合いから生まれるイノベーションが企業の競争力を決めるようになるにつれ、リーダー個人の力量に依存するオーケストラ型組織の限界が見えるようになってきた。リーダー個人では、どんなに頑張ってもすべての現場情報をリアルタイムで把握することはできず、最新のマーケット状況から乖離した情報を基に意思決定を下さざるを得ない。
一方、ジャズコンボ型ならチーム内の複数のメンバーの創意工夫が活用でき、1+1が3になるようなイノベーションも生まれやすい。また、組織の構成員それぞれが入手する最新情報をチームに還元することで、市場の進化と組織の内部論理のズレを極小化することもできる。
組織管理の効率性からは非常に良くできていたオーケストラ型組織ではあるが、上述のような考え方から、少なくとも一部はジャズコンボ型組織の要素を取り入れるべきだ、とか、クリエーティブな仕事に従事するプロジェクトチームは、できる限りジャズコンボ型で運営すべきだ、とかいった論が多い。
確かに、組織論上、一理あるし、ネットを中心とした情報交換コストの大幅な低下を考えると、企業の枠を超えても、ジャズコンボ型組織が優位性を持つ場面も考えられそうだ。
周到な準備とプロデューサーが即興性を生む
ジャズ史に大きな足跡を残してきたブルーノート・レーベルは、1939年にニューヨークで誕生した。数々の名盤で知られるブルーノートだが、50年代、60年代のその輝きは群を抜いている。
マイルス・デイビス、バド・パウエル、セロニアス・モンク、ホレス・シルヴァー、アート・ブレーキーなどなど、ジャズの巨人の多くが、この時代にブルーノートにアルバムを残した。そして、そのほとんどが、数人のメンバーのコンボによるものだ。
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。




からのご案内




