「鈴木友也の「米国スポーツビジネス最前線」」

「テレビの失敗」からの大逆転劇(上)

メジャーリーグ版YouTubeの裏に100億円近い設備投資

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2007年12月13日(木)

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 “世紀の日本人対決”が実現した米メジャーリーグ(MLB)のワールドシリーズ。松坂大輔投手と岡島秀樹投手の所属するボストン・レッドソックスが、松井稼頭央選手が所属するコロラド・ロッキーズを4連勝で下し、全米チャンピオンに輝きました。

 多くの日本人がテレビ画面に釘付けになった熾烈な優勝争いですが、米国の野球ファンは、もう1つの画面に熱いまなざしを送っていました。

 オンライン動画コンテスト――。日本ではほとんど知られていないこのイベントの舞台裏を追うと、メジャーリーグが目指す壮大な改革が見えてきます。

メジャーリーグ版のYouTubeの中身

 「actober.com」(アクトーバー・コム)。

 MLB版のユー・チューブとも言われるこの動画共有サイトで、ファンが過去のプレーオフの名場面を使ってパロディー動画を制作して、人気を競っていたのです。ちょうどプレーオフ開始にタイミングを合わせ設置され、野球ファンはここに自分の作った映像をサイト上にアップできます。「こんな面白い動画があるぞ」と友達に教えたり、ブログに張り付けるわけです。視聴者の人気投票によって、優秀作品が決まるというシカケもありました。

 ちなみに、私のお気に入りの動画は、2001年のプレーオフでニューヨーク・ヤンキースのデレク・ジーター選手が見せた「ポテト・トス」と呼ばれる超ファインプレーのパロディーです。

■アクトバー・コムの1シーン「Everyone needs a Little Jeter(皆ミニ・ジーターが欲しい)」

 過去の名場面でコンテストが展開されるところが、野球ファンにはたまらないのでしょう。話題が話題を呼ぶという、WOM(口コミ)マーケティングの好例と言えます。プレーオフ期間中、このサイトではフィールド上に勝るとも劣らない白熱した戦いが繰り広げられたのでした。

編集部注:現在このサイトは既に削除された可能性があります

他のスポーツを圧倒するネット戦略

 この「actober.com」を制作・運営しているのが、メジャーリーグのインターネットビジネスを統括するMLB Advanced Media(MLBAM)です。業界の人たちからは、最後の3文字を取って「BAM(バム)」と呼ばれています。英語でBAMとは、「バーン」という破裂音を意味しますが、その愛称の通り、BAMは米スポーツ界のネットビジネスに、衝撃的な革命をもたらしました。

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著者プロフィール

鈴木 友也 (すずき・ともや)

鈴木 友也 ニューヨークに拠点を置くスポーツマーケティング会社、「トランスインサイト」代表。1973年東京都生まれ。一橋大学法学部卒、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)を経て、マサチューセッツ州立大学アムハースト校スポーツ経営大学院に留学(スポーツ経営学修士)。世界中に眠る現場の“知(インサイト)”を発掘し、日本のスポーツビジネス発展のために“提供(トランス)”する――。そんな理念で会社を設立し、日本のスポーツ組織、民間企業、メディア、自治体などに対してコンサルティング活動を展開している。ほかにも講演、執筆でも活躍中。著書に『スポーツ経営学ガイドBOOK』(ベースボール・マガジン社、2003年)、訳書に『60億を投資できるMLBのからくり』(同、2006年)がある。中央大学商学部非常勤講師(スポーツマネジメント)。ブログ『スポーツビジネス from NY』も好評連載中。Twitterのアカウントはtomoyasuzuki

(写真 丸本 孝彦)



このコラムについて

鈴木友也の「米国スポーツビジネス最前線」

「スポーツビジネス先進国」と言われる米国。その市場規模や人気などで日本を凌駕する。そこでは、日本にいては思いつきもしない先進経営が繰り広げられている。だが、進みすぎたが故の問題も内包する。米在住のスポーツマーケティングコンサルタントが、米国スポーツビジネスの現場を歩き、最新トレンドを解説していく。
果たして、米国は日本スポーツ界の「模範解答」となるのだろうか?

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