• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

自分が損しなければOKで失う経済力

  • 神谷 秀樹

バックナンバー

2008年1月8日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 お屠蘇気分に酔っていたい新年だが、米国経済は今年、相当厳しくなるものと覚悟している。その理由はいくつもあるが、主だったものを列記するとこうなる。

 2008年に入り、原油は瞬間的に100ドルを超え、その他の物価の上昇も伴い、インフレ懸念を強くした一方、失業率は0.3%上昇し5%の大台に乗った。株価は大きく下落している。

 昨年世界を震撼させたサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題は、一言で言えば、「無責任融資システム」とでも呼ぶべきものだ。こうした融資は、サブプライムローンに限らず広がっている。

 無責任融資システムというのは、金融機関が元本の返済を前提にしない融資のことだ。このシステムでは、融資を起こす者、融資を何本も束ねていくつかの投資商品をつくるパッケージ屋、その投資商品に投資する者で構成される。

 融資を起こす者は、例えばモーゲージ・ブローカーのような存在で、彼らはただ借入人を見つけ、契約することだけが仕事だ。資金の回収は、彼らの仕事ではない。起こされた融資は、それを何本も束ねるパッケージ屋に売られるからだ。

 このパッケージ屋は、融資を束ねたいくつかの投資商品を作り、それぞれに格付けを受けるのが仕事だ。格付けされた商品は、転売してしまえばそこで仕事は終わる。格付けを得た証券は、主にSIV(特別目的投資会社)などの機関投資家に買われるだけだ。

 この構造の特徴は、パッケージ屋、格付け会社、そして投資家も、誰一人として借入人の顔を見ることはないことだ。こうして「ほとんどまともに審査しない融資」があらゆる金融商品となって、それが最終的に誰のバランスシートに載っているのか分からない状況になっているのが、昨今の融資の現状だ。

ドル基軸体制の終わりの始まり

 米国ではLBO(相手先資産を担保にした借り入れによる買収)ローン、商業不動産ローン、自動車ローンなども焦げ付きが目立ってきた。2007年9月以降、CMO(商業用不動産などの抵当証書担保付き証券)は全く発行されてなく、ニューヨークのビルの売買も完全に止まった。金融はそこかしこで麻痺し始めており、住宅価格の一層の下落と、消費の停滞、景気減速に伴い、今後ますます腐って行くローンが増えるのは不可避である。

 金融商品が証券化され、流動化するとともに、信用力は下落しており、ババ抜きゲームのようになってきた。参加者が多く、その多くが財務省や金融庁の監督下にない。最後にババを引くのは誰だろうか。結局は納税者に押しつけられることに、なりかねないようだ。

コメント2件コメント/レビュー

旺盛な物欲を至上の価値観として崇拝する資本主義ですが、共存共栄を以て暴走から自らを律する歯止めとしていたのが、そのモラルが低下する一方。先般のカジノ資本主義から、今度は、サブプライム資本主義で、放火やり放題・食い逃げした方が勝ち、みたいな段階に入ったようですね。いよいよ資本主義の没落の始まりでしょうか。古代のソドムとゴモラ神話が近い将来に復活しそうな不安を感じます。(2008/01/08)

「神谷秀樹の「日米企業往来」」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

旺盛な物欲を至上の価値観として崇拝する資本主義ですが、共存共栄を以て暴走から自らを律する歯止めとしていたのが、そのモラルが低下する一方。先般のカジノ資本主義から、今度は、サブプライム資本主義で、放火やり放題・食い逃げした方が勝ち、みたいな段階に入ったようですね。いよいよ資本主義の没落の始まりでしょうか。古代のソドムとゴモラ神話が近い将来に復活しそうな不安を感じます。(2008/01/08)

やはり、自分で責任を取らずに逃げる事が出来るシステムで、特に発覚までタイムラグのあるものではモラルの薄い人間による儲け逃げが発生するんですよね。これは耐震偽装の時も同じだったと思います。保険会社の保険調査員の仕事のように自分の所で欺瞞・詐欺による損を防ぐように働く仕組みが無い事が根本であり、システム的欠陥でしょう。(責任転嫁で逃げやすいと本気で防ごうとしない)これは、バブル時には銀行は社員等に沢山給与等の形で還元しておいて、後で発覚した問題の責任は当時の社員から金の形で責任を取る事は無く、結果税金で補う事があった上、低金利での利ざやでまた銀行が潤うなどのようなリスク責任を取らずにいた。このような仕組みこそ問題とし、その構図を作らないよう事前に禁止するように願いたい。(2008/01/08)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

変化を受け入れやすい組織体質があればビジネス上の“地殻変動”が起きた際にも、他社に半歩先んじられる。

井上 礼之 ダイキン工業会長