少し前にこのコラムで、オーケストラとジャズの話を書いたところ、いろいろなところでご感想やご意見をいただいた。企業の付加価値が、次第に「人間の知恵」の生かし方に集約してきていることから、多くの方の関心をひいたのだと思う。ありがとうございました。
さて、その中でも触れたが、組織やリーダーシップのあり方を、オーケストラとジャズに例えて考え直す、というのは、目新しい話ではない。そういう論考のおそらく最初のものの1つに、ボストン コンサルティング グループの前々CEO(最高経営責任者)、ジョン・クラークソンが1990年に書いた、「Jazz vs. Symphony」という小論がある。
この主要な論点は、以下の2点だ。
(1)(より知識集約型になりつつある現代企業では)指揮者が統率するオーケストラ型のリーダーシップではなく、ジャズ型のリーダーシップが必要になってきた。
(2)ジャズ型リーダーシップの要諦は、メンバーの個性と潜在能力を存分に発揮させることにある。
私のコラムも、これを踏まえたうえで次のようなことを述べた次第だ。
(3)ジャズ型の場合、まず、(ジャズコンボのリーダー選定も含め)どういうメンバーを選び、どう組み合わせるか、というプロデューサー機能が最も重要となる。
(4)したがって、意味のあるメンバー選択を可能とするために、経営者が中核人材を深く知り、理解することに時間を使うことが必要となる(経営者自身がジャズコンボのリーダーになるとは限らない)。
命令型のリーダーと奉仕型のリーダー
上記の論点(2)については、その後もいろいろと面白い議論がなされている。代表的なのは、「サーバント・リーダーシップ」という考え方だ。ジェームズ・ハンターの同名の書や、最近神戸大学の金井壽宏先生と元資生堂社長の池田守男さんが出された本をお読みになった方も多いだろう。サーバント・リーダーシップの定義方法はいろいろあろうが、要は「命令型のリーダーではなく、奉仕型のリーダーが、人を育て組織を強くする」という考え方である。
「人間の知恵」を集約し、活用することで得られる付加価値が重要になればなるほど、その「人間たち」が、自分のポテンシャルを最大限発揮し、自己実現する手助けをすることが、リーダーの究極の仕事となる。そのためには、「命令型」で有効だとされてきたやり方とは異なるスタイル・仕事の仕方を、一から学び直す必要がある。こういった論が、ジェームズ・ハンターが小説形式で語りたかったことだろう。
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