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アメリカの陽はまた昇る

ブッシュの8年間だけですべてを語ってはいけない

  • J・W・チャイ

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2008年1月10日(木)

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 最近、メディアの報道は米国の凋落論一色に染まっている。イラクの失政、格差の拡大、経済の失速など、耳にするのはネガティブな話ばかり。その一方で欧州、中国、産油国などの台頭がしばしば話題になる。

 確かに2001年の同時多発テロ以降の米国はどこかおかしい。世界中でジョージ・ブッシュ政権の強引さがひんしゅくを買っている。ブッシュ批判については、私も反論の余地がない。京都議定書の批准を拒否した行為など、米国に住む1人として恥ずかしい。米国内には今の政権を批判しないとインテリとは思われないような雰囲気もある。

米国以外に世界をリードできる国はない

 しかし、そんな時だからこそ、私はあえて言いたい。米国は必ず復活するはずだ。決して感情論で言っているのではない。客観的に見て、米国以外に世界をリードできる国や地域が存在するとは思えないのだ。

 もちろん、これから1~2年は、サブプライムローン(米国の信用力の低い個人向け住宅融資)問題を背景にした経済の失速もあって、米国の勢いはさらに萎えるかもしれない。しかし、このまま米国が凋落し、それに他国が取って代わるような状況は考えにくい。

 まず欧州連合 (EU) だが、宗教、文化、経済水準が異なる27もの加盟国が、意見の「最大公約数」をまとめ、1つの価値観を世界に提示していくのは、口で言うほど簡単なことではない。27カ国の中には先進国もあれば、中・後進国もあるため、様々な利害が絡み合う。

 また現在、米国が悩んでいる不法移民の問題は、今後、欧州で最も深刻化する懸念がある。地域によっては、宗教や民族の対立も抱えており、非常に複雑な問題をはらんでいる。世界をリードする前に、域内対策で手いっぱいになるかもしれない。確かに今、欧州ユーロは強いが、いずれ揺り戻しが来るのではないか。

 次に中国。一握りの役人が13億の国民をコントロールする政治形態が今後も長期にわたって続くとは思えない。少なくとも世界に受け入れられる価値観ではない。今後、中国政府は民主化運動とのせめぎ合いを余儀なくされるだろう。今の中国にとって最大の敵は、情報統制を無力化する「ユーチューブ」のようなインターネットサイトかもしれない。

 台頭著しい東アジアには、日本、中国、韓国などを中心とした共同体構想もある。しかし、今も歴史認識を巡る対立が改善されないことを踏まえると、これらの国々が協調して政治的に動くのは難しい。今後はさらにこの地域から、多数の富裕層が誕生するだろう。だが、政治的にアジアが世界のリーダーになるとは今の段階では想像しにくい。

 中東を中心としたイスラム社会については宗教と政治の分離が進まない。先日もパキスタンで、ブット元首相が暗殺された。いくらオイルマネーを背景に発言力を強めていると言っても、現在の状況を見る限り、彼らの価値観が世界的に普遍性を持つことはないだろう。

コメント3件コメント/レビュー

アメリカは潜在力があると言う意味ではまた復活すると言えるだろう。但し、今のアメリカ人がそうかというと違うとも言えるだろう。残念だが国力とは人材だけでは決まらず、天然資源と農業資源も併せて覇権が決まる。アメリカは当面農業資源において安泰と見ることが出来る。しかし、真の意味での平和な人類共存というと、今の日本の文化のような寛容さが必要になる。宗教対立などによる紛争など愚かな事甚だしい。思考の根本だけに他との調整が困難であるからだ。日本のように節操無くごった煮に近いような各種宗教の祭り的な受け入れのような寛容さが必要だと思う(2008/01/11)

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いただいたコメント

アメリカは潜在力があると言う意味ではまた復活すると言えるだろう。但し、今のアメリカ人がそうかというと違うとも言えるだろう。残念だが国力とは人材だけでは決まらず、天然資源と農業資源も併せて覇権が決まる。アメリカは当面農業資源において安泰と見ることが出来る。しかし、真の意味での平和な人類共存というと、今の日本の文化のような寛容さが必要になる。宗教対立などによる紛争など愚かな事甚だしい。思考の根本だけに他との調整が困難であるからだ。日本のように節操無くごった煮に近いような各種宗教の祭り的な受け入れのような寛容さが必要だと思う(2008/01/11)

米国が復活するのは一向に構わないのですが、私もこのコラムを一読後、即座に「なぜ単一国家が世界をリードする必要があるんだ?」と思いました。「無数の不揃いな国々が互いを尊重しつつ共存する」という姿が、多様性を持った理想的な世界の姿だと思うのですが。さらに言えば、この点について米国は多様性を受け入れる素地があるように思えません。例えばイスラム文化圏の立場など。ともあれ「何人たりとも俺の前は走らせねえ!」的な態度を改めるような変化なら、諸手を挙げて歓迎しますが。(2008/01/10)

分析が表面的だと思います。第一に、世界に唯一の覇権国が必要なのでしょうか。北米、欧州、東アジア、イスラム圏などの幾つかの地域圏が並立する状況は考えられないのでしょうか。第二に、英語を理由に挙げていますが、英語が世界共通語になっているのはアメリカが覇権国であることが理由であり、因果関係が全くの逆です。もちろんアメリカの軍事力は現在のところも世界一ですが、その巨額の軍事費をアメリカはこれからも維持できるのでしょうか。そこが問題です。つまり、これも覇権国であるから覇権国であるという循環論法に過ぎません。アメリカの陽がまた昇るか否かはもう少し冷静に議論すべきことだと感じます。(2008/01/10)

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三品 和広 神戸大学教授