今まさに、「労働力不足時代」に突入しようとしている日本。それは一過性のものではない。今後、少子化対策が功を奏して出生率が上がったとしても、その時に生まれてくる子供が「労働力」となるには、さらに20〜30年かかるからだ。
企業は、生き残りを懸けて人材確保に取り組むことになる。給料、福利厚生、将来性など企業としての魅力を最大限にアピールし、有能な「新人」を1人でも多く採用しなくてはいけない。「転職者」もしかり。他社で育てられた人材を、自社の力として取り込むのだ。…しかし、企業にとっての「人材」とは、果たして新入社員や中途採用者だけだろうか。
最近注目されている、女性の労働力を見てみよう。男女雇用機会均等法が施行されて20年、働く女性の意識もそれを取り巻く環境も、大きく変化した。女性が働き続けるための制度は拡充傾向にあり、最長6年間の育児・介護休業制度を実施する企業もある。女性が働きやすい会社は、高く評価されるようになった。
女性に限らず、社員の福利厚生を手厚くすることで、企業のイメージが向上する。新しい人材を確保しやすくなると同時に、社員の流出を防ぐ効果がある。しかし、目の前の労働力不足時代という現実に対処するには、それだけで十分なのだろうか。
中には、夫の転勤が理由で退職する女性社員もいる。また、親の家業を継ぐために田舎に戻る男性社員も多い。そして、今後どんどん増えていく定年退職者。こうした、「仕事をする能力はあるのに、外的要因でその力を発揮できていない」という人材が、実は日本の中の至る所に存在しているのだ。
育児休業制度の拡充について前述したが、休業している間全く仕事をしないというのでは、せっかくの女性の労働力も生かされず「埋もれたまま」になってしまう。限られた日本の労働人口の中で、新卒社員や転職組の人材を奪い合うだけではなく、「埋もれている労働力」を活用することで、人材獲得競争に打ち勝つという発想もあるはずではないだろうか。
確実に存在する「眠れる労働力」
今現在、働いている人1人分の労働力を「1」としよう。働いていない人は「0」だ。この「0」を「1」に変えていく。つまり、「働きたいけれど、働けない」人を働けるようにすることが、本当の意味での「労働力不足」対策になると、私は考える。
実際に、「働きたいけれど、働けない」人材は、どれくらいいるのだろうか。以下に、総務省が公開している「非労働力人口」という数字がある。
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平成18年度の非労働力人口は、4353万人。男性が1420万人、女性が2933万人。このうち、就業希望者(就業を希望しているが、求職活動をしていない者)は479万人にも上る。さらに、479万人のうち、求職活動をしない理由が「家事・育児」という人は、131万人。
内訳は、25歳から44歳の女性が90%近くを占めている。家事や育児が理由で「働きたいけれど働けない」女性だけでも、軽く100万人を超えるのだ。ちなみに、「育児(介護)休業期間中」や「心の病気で療養中」の人は、「就業者」に属するため、この数字には含まれていない。
日本社会の中で「埋もれる労働力」は、確実に、そして大量に存在しているのである。
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