「眠れる人材を掘り起こせ」

労働力不足時代・生き残りのカギはテレワークにあり

「0」から「1」に労働力を変える

バックナンバー

2008年2月18日(月)

1/3ページ

印刷ページ

 今まさに、「労働力不足時代」に突入しようとしている日本。それは一過性のものではない。今後、少子化対策が功を奏して出生率が上がったとしても、その時に生まれてくる子供が「労働力」となるには、さらに20〜30年かかるからだ。

 企業は、生き残りを懸けて人材確保に取り組むことになる。給料、福利厚生、将来性など企業としての魅力を最大限にアピールし、有能な「新人」を1人でも多く採用しなくてはいけない。「転職者」もしかり。他社で育てられた人材を、自社の力として取り込むのだ。…しかし、企業にとっての「人材」とは、果たして新入社員や中途採用者だけだろうか。

 最近注目されている、女性の労働力を見てみよう。男女雇用機会均等法が施行されて20年、働く女性の意識もそれを取り巻く環境も、大きく変化した。女性が働き続けるための制度は拡充傾向にあり、最長6年間の育児・介護休業制度を実施する企業もある。女性が働きやすい会社は、高く評価されるようになった。

 女性に限らず、社員の福利厚生を手厚くすることで、企業のイメージが向上する。新しい人材を確保しやすくなると同時に、社員の流出を防ぐ効果がある。しかし、目の前の労働力不足時代という現実に対処するには、それだけで十分なのだろうか。

 中には、夫の転勤が理由で退職する女性社員もいる。また、親の家業を継ぐために田舎に戻る男性社員も多い。そして、今後どんどん増えていく定年退職者。こうした、「仕事をする能力はあるのに、外的要因でその力を発揮できていない」という人材が、実は日本の中の至る所に存在しているのだ。

 育児休業制度の拡充について前述したが、休業している間全く仕事をしないというのでは、せっかくの女性の労働力も生かされず「埋もれたまま」になってしまう。限られた日本の労働人口の中で、新卒社員や転職組の人材を奪い合うだけではなく、「埋もれている労働力」を活用することで、人材獲得競争に打ち勝つという発想もあるはずではないだろうか。

確実に存在する「眠れる労働力」

 今現在、働いている人1人分の労働力を「1」としよう。働いていない人は「0」だ。この「0」を「1」に変えていく。つまり、「働きたいけれど、働けない」人を働けるようにすることが、本当の意味での「労働力不足」対策になると、私は考える。

 実際に、「働きたいけれど、働けない」人材は、どれくらいいるのだろうか。以下に、総務省が公開している「非労働力人口」という数字がある。

平成18年 労働力調査詳細結果 就業希望の有無、非求職理由別非労働力人口
平成18年(2006年) 男女計
非労働力人口 4353万人 1420万人 2933万人
・就業希望者 カッコ内は内訳
479万人 124万人 354万人
(適当な仕事がありそうにない)
(153万人) (44万人) (109万人)
(家事・育児のために仕事が続けられそうにない)
(131万人) (1万人) (131万人)
(健康上の理由)
(67万人) (27万人) (40万人)
(その他)
(115万人) (48万人) (67万人)
・就業内定者
99万人 51万人 48万人
・就業非希望者
3774万人 1244万人 2530万人
(うち65歳以上)
(2087万人) (775万人) (1312万人)

 平成18年度の非労働力人口は、4353万人。男性が1420万人、女性が2933万人。このうち、就業希望者(就業を希望しているが、求職活動をしていない者)は479万人にも上る。さらに、479万人のうち、求職活動をしない理由が「家事・育児」という人は、131万人。

 内訳は、25歳から44歳の女性が90%近くを占めている。家事や育児が理由で「働きたいけれど働けない」女性だけでも、軽く100万人を超えるのだ。ちなみに、「育児(介護)休業期間中」や「心の病気で療養中」の人は、「就業者」に属するため、この数字には含まれていない。

 日本社会の中で「埋もれる労働力」は、確実に、そして大量に存在しているのである。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
この記事を…
内容は…
コメント1 件(コメントを読む)
トラックバック
著者プロフィール

田澤 由利(たざわ・ゆり)

田澤 由利

ワイズスタッフ代表取締役
1962年、奈良県生まれ。上智大学外国語学部卒業後、1985年シャープに入社。出産を機に退社し1991年にフリーライターとして独立する。3人の子育てと夫の転勤による5回の引越しを経験しながら、パソコン関連書籍や雑誌の執筆を行う。1998年、北海道北見市にインターネット上で運営する会社ワイズスタッフを設立。ウェブサイト、メールマガジン制作、マーケティングなどの業務に携わる。IT経営応援隊 IT経営百選「奨励賞」(経済産業省、2005年)、女性のチャレンジ賞 特別部門賞(内閣府男女共同参画局、2006年)などを受賞。また、北見工業大学非常勤講師(情報科学概論)(2002年9月〜2007年3月)、総務省地域情報化アドバイザーとしても活躍。執筆や各地での講演活動も精力的に行う。



このコラムについて

眠れる人材を掘り起こせ

国際的な人材争奪戦が始まっている。海外の優秀な人材の確保も大切だが、これからは日本人社員の能力向上や有効活用にも目を向けるべきではないか。このコラムでは、経営者や管理職が「眠れる人材」をどのように活用していくべきか、また自身のスキルアップをどのようにはかるべきかについて見ていく。

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン

日経ビジネスからのご案内