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大量データを集めたCRM、でも結果が出ないのはなぜ

2008年3月7日(金)

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 『その数学が戦略を決める』という本がある。かなり売れているようなので、お読みになった方も多いだろうが、原題『Super Crunchers』が示すように、大容量のデータ処理が可能になってきた現在、プロの感覚に頼らずとも、データをきちんと回帰分析することで、様々なことが読めるようになってきた、という内容の本だ。

 気候データを解析すれば、ワインのプロと同等以上に良年が分かり、品質が推定できる、とか、プロ野球で活躍する新人選手をピックアップできる、といった例が挙げられている。

 確かに、膨大なデータを蓄積し、処理できるようになったことで、過去には不可能だった様々な検証作業ができるようになってきた。ネット上のマージャンゲームのデータを使って、マージャンの定石を検証し、さらに新たな定石を作るという試みについては、以前このコラム「マージャンもビジネスも、ネット上のデータ分析が武器に」でもご紹介した。

 この手の話に触れると、いつも思い出すのが、CRM(Customer Relationship Management)のことだ。CRMや「One to One マーケティング」が叫ばれて久しいが、なかなか十分な結果を出している例にお目にかかれない。

 それこそ「その数学が戦略を決める」とばかりに大量のPOS(販売時点情報管理)データを蓄積し、重回帰分析用のソフトウエアを駆使して、顧客のクラスター分析や購入パターン分析を行う。そして、その結果を基にダイレクトメールを送って、購買行動を喚起しようとする。相当なIT(情報技術)投資をしたのに、思ったような結果が出ないで、頭を抱えている企業が大部分のようなのだ。「その数学が戦略を決める」というコンセプトが正しいならば、一体どこに問題があるのだろうか。

データ分析は仮説から始める

 通常、CRMには3つのステップがある。(1)データ獲得、(2)データ分析、(3)顧客への働きかけ、という3つだ。何らかの形で、顧客を理解するために必要なデータを得て、蓄積する。そのデータを基に、分析作業を行う。回帰分析などが活躍するのは、このステップだ。そして、得られた結果に基づいて、購買につながる行動を取ってもらうよう顧客に働きかける。もちろん、この後に結果を振り返り、さらに効果の出る打ち手を考えていくというステップもあるのだが、これらの3ステップをCRMの基本要素だとしよう。

 CRMの効果向上のための課題として、従来から第2ステップ、すなわちデータ分析の部分での「仮説出し」が挙げられてきた。ただやみくもにデータを分析し始めるのではなく、何らかの仮説に基づいて、それをデータで検証する方が、効果ある施策につながりやすいという考え方だ。

 大量のデータを突っ込んで分析し、(よくCRMの例に挙げられるように)オムツを買う人がビールも併せて買う可能性が高い、というパターンが抽出できても、これだけでは大量のデータを蓄積し、解析するコストには見合わない。オムツ売り場のそばにビールを置く、という安直な解を採るわけにはいかないし、そもそもレジの近くで消費者をきちんと観察していれば、この程度のことは分かるのだから。

コメント6件コメント/レビュー

初めて記事を拝読しましたが、興味深く読ませていただきました。私はCRM toolを日々使用して、Opportunity Notice/Identify/Ownという一連の販売活動をする事を、会社から半ば義務付けされています。業界最大手のあの”使えないtool”です。理由は明白で、MGMT.のための案件管理toolなのか、営業支援Sales Forceなのか、要件定義が甘いんです。販売に従事する側から見れば。前者の機能は不要です。或いは別toolに分けるべきです。両者のLinkageを取りたいなら専用の仕組み、一手間かけなさいという事です。愚痴はこのへんにして・・・売れなかったデータは重要ですね。敗戦分析をしない・できないから、いつまでたっても”使えない”ままなんです。弊社では数年前にそこに気づき、input項目としては設けられましたが、実質的には機能していません。必要なのは他社にしか無い商材の情報ではありません。コンペとの最終価格差でもありません。(B2Bなので)消費者の購買行動分析でもありません。私なりの答えは、一定規模(金額、complex度、購買行動の頻度、発生transaction数)以上の案件にはCRM(SF)は不要・不向きだってことです。一般消費財とか、旅行・書籍・音楽などwebビジネス御三家のモデルならば、CRMは改良の余地が残されているのでしょう。amazoneは良く出来ていますね(1ユーザーとしてそう感じます)ただ、あそこまで投資できる企業、その効果を見返りに決断できる規模のモデルをお持ちの企業は、ほとんど他には無いでしょうね・・・あとは保険・証券などFSSかな。(2008/03/11)

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「大量データを集めたCRM、でも結果が出ないのはなぜ」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

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初めて記事を拝読しましたが、興味深く読ませていただきました。私はCRM toolを日々使用して、Opportunity Notice/Identify/Ownという一連の販売活動をする事を、会社から半ば義務付けされています。業界最大手のあの”使えないtool”です。理由は明白で、MGMT.のための案件管理toolなのか、営業支援Sales Forceなのか、要件定義が甘いんです。販売に従事する側から見れば。前者の機能は不要です。或いは別toolに分けるべきです。両者のLinkageを取りたいなら専用の仕組み、一手間かけなさいという事です。愚痴はこのへんにして・・・売れなかったデータは重要ですね。敗戦分析をしない・できないから、いつまでたっても”使えない”ままなんです。弊社では数年前にそこに気づき、input項目としては設けられましたが、実質的には機能していません。必要なのは他社にしか無い商材の情報ではありません。コンペとの最終価格差でもありません。(B2Bなので)消費者の購買行動分析でもありません。私なりの答えは、一定規模(金額、complex度、購買行動の頻度、発生transaction数)以上の案件にはCRM(SF)は不要・不向きだってことです。一般消費財とか、旅行・書籍・音楽などwebビジネス御三家のモデルならば、CRMは改良の余地が残されているのでしょう。amazoneは良く出来ていますね(1ユーザーとしてそう感じます)ただ、あそこまで投資できる企業、その効果を見返りに決断できる規模のモデルをお持ちの企業は、ほとんど他には無いでしょうね・・・あとは保険・証券などFSSかな。(2008/03/11)

(5番目です)流通業界では細かな情報も伝送していますが、ナロウバンドが多く標準化されたデータではありません(比較的標準化が進む商品のデータですら独自のコード化をしている流通業者が多数います)。現在、流通業界でインターネットベースでの情報共有のための標準化が進みつつある段階ですが、流通だけでなく金融や物流といった標準化されたITがキーテクノロジーになる業界が横断的に情報共有できる時代が到来し、記事のような動きが日本で活発化することを夢見ております。ちなみに、記事の最後にあるパミッションと他社への効果についてそれぞれ一言だけ。オプトインでのマーケティングは日本でも多くありますが、日本の消費者はクラブのサーチコストが相対的に低くなければ動かないように思いますので、やはりかなり詳細なレベルまでの情報共有・分析を行って消費者のセグメントを詳細化しないと消費者のパミッションを得るのは困難のように感じます。また、他社への効果について、ウォルマートやダイヤモンドシティ(=イオン)のモールは記事の指摘を先取りした業態ではないかと思います。ご承知とは思いますが、ウォルマートは(その他ウォルグリーンやCVSなどのメガドラッグストアも)店舗内に診療所を非常な勢いで導入しています(対価は集客力の強化と賃料収入だったように思います。)。日本では夢のまた夢の世界かもしれませんけど。(2008/03/10)

(4番目です)次に今回の記事について。長期的な流れは、記事のご指摘の通りかと思います。特に、米国の90年代のサービス産業の生産性向上の主因の一つであり、我が国の遅れている第3次産業の生産性を向上させる方向性を明確にお示しいただいていると思います。ただ、短期的にみると、「下火になっている」とご指摘のあったように、想定通りにいかない状況を抱えています。その一つに地味ですが重要な問題点を抱えているためであり、この点を中心に述べさせていただきます。その問題点とは、コンピュータでの情報共有のためにはハード・ソフトのコンパティビリティだけでなくデータとデータ伝送の標準化が圧倒的に重要になるにも関わらず、遅々として進んでいないことだと思います。ご指摘のあった業界のデータ伝送形式は、クレジットカード業界ではCAFIS、流通業界では受発注で比較的多いのがJCA、それ以外の業務プロセスは全く独自方式、電子マネーはこれらとは別の伝送形式です。また、伝送するデータについては、クレジット業界では購入した財・サービスの詳細は伝送せず、店番号、カード番号、購入総額、決済承認(不承認)という必要最低限の情報をレジと各カード会社との間でやりとりしているだけです(ナロウバンドであることとデータ伝送時間の圧縮による決済の迅速化が理由だと思います)。(2008/03/10)

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