• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

現場の知恵はトップダウンを超える

日産の生産現場で何が起きているのか(1)

2008年3月17日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 日本企業の「経営」は、米国型の手法を取り入れて改革を進めてきたが、期待するほど大きな効果は得られていない。経営効率を高めようとしても、案外うまくいかないケースが増えているのだ。

 ところが今、社員の力を総動員することで、経営効率化が進むケースが増えている。米国型企業統治を重視するスタイルから、日本が得意とする「現場」の価値を見直す経営手法へと回帰する流れだ。

 日本的な現場力に、実は限界はなかった。もう限界まで進んでいると思われていた現場力は、設備の進化やIT(情報技術)の導入によって触発され、一気にパワーアップを遂げている。まだまだ伸びる余地が残されていたのだ。その結果、自動車産業を筆頭に、日本の現場は“国際競争力の源泉”という高い評価を受けるに至っている。

 日産自動車の生産現場では近年、日本の工場が世界のトップを維持するための「生産革新」が進められているが、そのエンジンとなっているのが「現場力」だ。生産現場を統括する今津英敏副社長に、「限界なき現場力」を発揮するための方法を聞いた。

(聞き手は、日経ビジネス オンライン編集長 川嶋 諭)

―― 世界に通用し、日本の最も得意とするところが「現場」です。副社長自身が、あるいは会社自体が「現場力」を意識し始めているのは事実でしょうか。

今津 英敏氏

今津 英敏 (いまづ・ひでとし)氏
1949年山口県生まれ。72年九州工業大学工学部機械工学科卒業後、日産自動車に入社。98年生産技術本部車体技術部長、99年英国日産自動車製造会社出向管理職、2002年日産自動車常務、2006年常務執行役員、2007年副社長(担当は欧州事業、生産、SCM) (写真:小久保松直)

今津: 日産は係長や工長といった現場監督者が非常にしっかりしていると、外部の方に指摘されることが以前から何度かありました。実際に私が「現場力」を強く意識したのは、2004年度までの3カ年計画「日産180」で、2004年後半から2005年前半にかけて100万台を増販する話になった時です。

 当時の工場の実力で、果たしてそこまで伸ばせるかという大きな疑問がわきました。そこで2004年、保全チームと現場のチームを集め、100万台増販を達成するために工場の稼働率を向上させる策を考えました。

 かつては、設備の保全は工務課が担当する、現場は決められた仕事をする、エンジニアリングは故障しない機械設備を入れる、というように部門によって仕事のすみ分けがあったわけです。しかし、この時は現場が一体となって取り組まないと間に合わないという思いになりました。

―― これは要するに、現場の「クロスファンクショナルチーム」での取り組みというわけですね。

 そうです。その取り組みが大成功しました。設備稼働率は約7~8%もアップしたのです。それまで80%台の後半だったのが、一気に95%そして98%まで高まりました。98%という数字はつまり、1日にラインが数分しか止まらない状態です。

 今まで様々な技術的な活動をやっていたのに、なかなか成果が上がらなかった。それなのにチームで取り組むとなぜこんなに短期間でできるのだろうと振り返り、もちろん、チームのメンバーとも議論しました。すると、「自発的に取り組む」ことが大事だと分かりました。言い換えれば、「現場が主役になる」ことが、ものすごく大事だというのが分かったのです。

追浜工場の様子。部品箱は車両別に作業者の手元に届くため、作業の無駄は大幅に減少。溶接後の車両は無人搬送車でドアパネルの組みつけラインまで運ばれる

生産現場の社員のアイデアを集めて生産改革を行う追浜工場。生産ラインのレイアウトや工場内物流が根本から見直された。部品箱は車両別に作業者の手元に届くため、作業の無駄は大幅に減少(上)。溶接後の車両は無人搬送車でドアパネルの組みつけラインまで運ばれる。目標は、生産コストの3割削減 (写真:都築 雅人)

 それからは、ほかの工場と競うとか、あるいは他の車体ラインと競う、追浜工場で言えば、第1ラインと第2ラインで競うような仕組みをつくり、それが結果的に、「現場力」の大切さを非常に強く感じることにつながりました。

―― チームのメンバーが一体化することと、自発的に競うこととは、どのような関係があるのですか。

 部門を問わず、みんなが現場を主役にして支え、競争に勝とうとします。現場で明白な結果が出るわけだから、技術も保全も一体となり、良い結果が出るように動くのです。

―― 設備稼働率が95%とか98%というのは、おそらく驚異的な数字ですね。

 これは当時のベンチマークでもなかなか出ないと言われている数字です。2004年から2005年の前半にかけて、いろいろ苦労しながら、まず95%を目指しました。追浜工場では係長クラスが大いに喜びましたが、そのみんなの達成感は私にとっては宝のようなものです。現場の取り組みへの手応えを感じる印象的な出来事でした。

コメント4

「日本はやっぱり現場力」のバックナンバー

一覧

「現場の知恵はトップダウンを超える」の著者

大村 洋司

大村 洋司(おおむら・ようじ)

海外事業戦略室プロデューサー

1989年日経BP入社。95年「ナショナルジオグラフィック日本版」編集、2004年同誌副編集長。07年「日経ビジネスオンライン」副編集長。10年「日経ビジネスアソシエ」副編集長。12年1月より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

プロフェッショナルとして、勝負どころで安易に妥協するなら仕事をする意味がない。

手嶋 龍一 作家・ジャーナリスト