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企業合併に乗じて変身を遂げる

難局を逆手に取り、巨大営業組織を改革した第一三共

2008年3月31日(月)

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 新しい家を建てて、そこに双方の会社の人間が引っ越す。第一三共の庄田隆社長兼CEO(最高経営責任者)はそんな経営統合のイメージを持っていた。過去100年もある歴史や文化を持ち込むのではなく、設計して建築して新しく出来上がった新会社が新しい文化を創り出す。

 世界的な医薬再編の波を受け、第一製薬と三共が完全統合して第一三共となったのは2007年4月。この統合によって実際に医療フィールドを回っているMR(Medical Representative、医療情報担当者)は、国内の製薬会社で有数の規模となる2300人に増えた。

 合併後、この営業部隊は現場でスムーズに融合を遂げたのだろうか。2社が一緒になることで、新たな力が生み出され、付加価値や相乗効果が生まれたのだろうか。営業現場の人材開発を担当する、第一三共医薬営業本部営業人材開発部の竹屋綱英・人材育成グループ長に、合併から融合を遂げるまでの取り組み、現場力を上げる取り組みについて聞いた。

(聞き手は、日経ビジネス オンライン編集長 川嶋 諭)

── 合併会社というのは足の引っ張り合いなどが起きたりして非常に難しいところがあるかと思います。2つの企業文化がぶつかり合う営業現場のレベルで、どんなことが起きていますか。

竹屋 綱英(たけや つなひで氏

竹屋 綱英(たけや つなひで)氏
第一三共医薬営業本部営業人材開発部・人材育成グループ長(写真:小久保松直 以下同)

竹屋 第一と三共が完全統合したのは2007年4月ですが、その1年半前に持ち株会社ができてからは準備期間として、現場で緩やかな融合を進めていました。三共の血圧降下剤「オルメテック」を第一のMRがプロモーションしたり、第一の抗菌剤「クラビット」を三共のMRがプロモーションしたりしたのです。それぞれのMRが別会社の商品の知識を深めていきました。

 統合直後、1つの営業所で5~8人から成る営業チームは、必ず2社の人間が交ざるようにしました。そこへ本社のトレーナーを送り込んで駐在させ、2社の持っているノウハウを交換する機会を強制的に設けました。

── 第一側と三共側のそれぞれうまくいっていたお互いのノウハウがぶつかることで、問題はなかったのでしょうか。

 確かに、第一だけでやっていたこと、三共でやっていたことがあり、組織の風土などが果たしてうまく融合するかという危惧を持っていました。

 お互いの品目を売るというのは、やはり抵抗があるんです。ところが、今まで売るのが得意ではないと思っていた品目について、新しい同僚から、それはこんな売り方をすればいいと教わることで最初の一歩が出て、実行力が増すということが、現場で起きています。

── 合併の欠点を、むしろ利点に変えるという手法を取ったというわけですね。2つの会社が一緒になって高めていく部分とは、まさにそこだと思います。

 例えば、CT(コンピューター断層撮影装置)を撮影する時に臓器を見やすくする造影剤という薬剤があるのですが、この品目は今まで三共では取り扱いがなく、非常に壁が厚かったのです。

 第一にとっては、当たり前にプロモーションをしていたのですが、実際にあそこの得意先では私はこうやっていましたという具体例が新しい同僚からどんどん出てくると、そこへ足が向き、自分もできそうだと思わせるところがあります。両社の間でノウハウの交換を怠っていれば、造影剤について、旧三共の人はずっと苦手意識を持ったままだったかもしれません。

合併という変化が個々のチャレンジをもたらす

── 統合後、1人のMRが扱う薬品目はどのくらい増えたのですか。

 三共では実際にMRがよく口に出す品目としては10もありませんでした。第一では10くらい。それが、重点品目だけで20近くまで増えました。

 それぞれの品目についてMRの持つ知識が一気に高まるわけではないので、半年間かけて、ほぼ一通りいろいろなディスカッションをしたり、実際に得意先と話してみたりして、重点品目の理解を高めてきたという段階です。

── 1人のMRが多くの品目を売ることにつながるわけですね。

 今までは高血圧の薬や、高血圧の話しかできなかったMRが、心不全の薬など周辺領域の薬剤も担当すると、そちらからアプローチできるなど幅が持てるようになりました。そんなケースが、今回の統合で広がりました。

── 私たちはあるエリアで固定されていると、そこである程度、専門家になり、意外にチャレンジしなくなってきます。合併という変化で枠が広がったことでチャレンジせざるを得なくなり、チャレンジすると新しい結果が見えてくるわけですね。

 もちろん取り扱う品目が多くなって、覚えなくてはいけないことが増え、それをマネジメントしていくというのは大変ですが、逆に新しい手が打てるという面はかなり魅力的で、それが医療現場のニーズに応えることにつながっています。2007年度は、MR1人当たりの売り上げ生産性を、前年比で25%向上させることを目標にしています。

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「企業合併に乗じて変身を遂げる」の著者

大村 洋司

大村 洋司(おおむら・ようじ)

海外事業戦略室プロデューサー

1989年日経BP入社。95年「ナショナルジオグラフィック日本版」編集、2004年同誌副編集長。07年「日経ビジネスオンライン」副編集長。10年「日経ビジネスアソシエ」副編集長。12年1月より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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