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明確なビジョンで事業を集中させたニデック

世界1位の製品をいくつも生み出す医療機器メーカーの強さ(上)

2008年4月18日(金)

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開発中の人工視覚システム

開発中の人工視覚システム。サングラス内蔵のカメラで撮った映像情報を、手前の白い装置で電気信号に変換して眼球内に伝送するという仕組みだ

 目の見えない人が、サングラスに装着した小型ビデオカメラの前で動いた指の輪郭と動きを認識し、その指の本数を数えることができる──。

 機能の低下した網膜に埋め込んだ電極チップに電流を流し、網膜を刺激して特定の病気による失明者の視覚を回復させるそんな「人工視覚システム(人工眼)」を、大阪大学などと共同で社内の「人工視覚研究所」で開発しているのが、愛知県蒲郡市にある眼科医療機器メーカーのニデックだ。

 既に電気刺激が与えられた網膜の細胞が反応して光を感知できる段階まで研究が進み、数年後には数十人規模の臨床実験が実施される予定だ。

 人工視覚システムの開発は、ニデックが1971年の創業時から「目」にこだわり続けてきた証しである。「目に特化する」という確固たる明確な企業ビジョンを掲げ、事業を目の分野に集中させてきたニデックは、今や社員数が1500人(海外の200人を含む)、売上高358億円(2007年3月決算)で、眼科医向けの医療機器や眼鏡店向けの光学機器については世界シェア第1位の座の製品をいくつも手がける優良企業に成長した。

ニデック副社長、小澤素生氏

ニデック副社長、小澤素生氏

 ニデックが世界進出を始めた理由はユニークだ。国内市場で足場を固めてから世界に進出したわけではない。「目にかかわる事業を始めたい」と創業者の小澤秀雄社長が考え、優れた製品を作ったところ、それを売る先が世界のマーケットしかなかったという。その後も、「目の分野に集中してビジネスを広げる際、マーケットの規模を考えればおのずと世界を相手にするしかなかった」(小澤素生副社長)。

 なぜ、事業を目という一分野に特化したのか。それは、起業者である小澤秀雄社長の海外での体験が大きい。1957年、名古屋大学理学部を卒業後に興服産業(現・興和)でレンズ設計の仕事をしていた時に、コダックやゼロックス、ボシュロムといった光学メーカーの拠点のある米ニューヨーク州ロチェスターのロチェスター大学大学院光学研究所に留学。そこでレンズや目の構造を勉強して「目玉の凄さ」に心を動かされ、将来は目に関する仕事をしたいと考えた。

「見えないものを見えるようにする」という夢を37年間追い続けてきた

 そこには目で儲けようという思いではなく、目へのシンプルな感動があった。直径わずか25ミリのこの小さな器官にはいろいろなものが詰まっている。脳の7~8割は視覚情報の処理に使われ、今では目の血管を直接観察することにより、糖尿病や高血圧など生活習慣病の診断もできると言われ、製品群は多岐にわたる。再生医療の世界では、網膜を再生できれば、恐らく脳も再生できるだろうと言われているほどだ。

 1971年7月、14年間勤めていた興和の光学事業部門から独立した秀雄氏は6人の仲間と共にニデックを創業。この時に発展のうえで肝に銘じたモットーは「気概(強い意志)」「グローバル化(マーケットは世界)」「差別化(半歩先の製品)」だった。そして夢の1つが「invisible to visible(見えないものを見えるようにしたい)」。人工視覚システムの開発は、この夢の実現に一歩近づくものだ。

 ニデックが夢を追うことのできる企業に成長したのは、着実に業績を伸ばしてきたからだ。眼科向け医療用機器では既に国内でトップ。世界でも3位を獲得している。2020年に売上高1000億円、2100年に20兆円企業という長期目標もある。成長できたのは、目にかかわるマーケットで一番になるため、新製品を出し続けることに注力してきたことが大きい。

 「優れた技術があれば、本社がローカルでもグローバルに展開できる」と、秀雄社長は創業時に考えた。今では約100カ国に取引先を抱え、売上高の半分を海外市場が占める。

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「明確なビジョンで事業を集中させたニデック」の著者

大村 洋司

大村 洋司(おおむら・ようじ)

海外事業戦略室プロデューサー

1989年日経BP入社。95年「ナショナルジオグラフィック日本版」編集、2004年同誌副編集長。07年「日経ビジネスオンライン」副編集長。10年「日経ビジネスアソシエ」副編集長。12年1月より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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