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風、桶屋、そしてバタフライ
波及効果を読める組織づくりとは?

2008年5月2日(金)

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 「風が吹けば、桶屋が儲かる」という成句は、皆さんご存じだと思う。

   風が吹けば目に埃が入って目を病む人が増える、その人たちが三味線弾きになり三味線にするための猫の皮の需要が増える、猫が数多く捕えられてネズミの数が増え、その結果、ネズミにかじられる桶が増えるので、桶の需要が増えて桶屋が儲かる…という、迂遠な因果関係の起点と終点を述べたものだ。アリストテレスの三段論法ならぬ、六段、七段論法である。

 この成句は、牽強付会(理屈や道理に合わないことを、自分に都合よいように無理にこじつけること)の論理に対して皮肉るために使われたり、一見無関係なことがらのつながりを半ば冗談めいて説明したりする際に、用いられる。

 ただ最近では、これぐらい遠い波及効果まで、大真面目に考えることが大事なのではないか、と思うようなことが数多くある。

波及効果を読みきれなかった行政と企業の失策

 例えば、いわゆる「コンプライアンス不況」 をもたらしたと言われる一連の規制強化だ。建築基準法を改正し、耐震強度のチェックを厳しくする。方向性としては全く正しいことだろうが、建築確認の現場では、チェックを実行する能力が質・量ともに不十分であり、結果として、建築許可の取得が大幅に遅延し、建設着工が減少、最終的には経済成長のマイナス要因にまでなったとされている。

 金融商品取引法による投資信託販売の落ち込みや、上限金利の見直しに伴う個人事業主や零細企業の資金難といったことも同様だろう。消費者保護の観点から、リスクのある商品を販売する際の説明強化を行う。あるいは、多重債務者を発生させないように上限金利を引き下げ、貸金の総額を規制する。どちらも政策目的としては正しいが、実行されていく段階で、(少なくとも政策立案側からは)あまり予想されていなかったレベルの大きな影響が出てしまった。

   なんらかの「風」を起こそうと思うならば、三味線、猫、ネズミ、そして桶屋のところまで、「波及効果を、できる限り読みきる努力をする」ことが必要なのではなかろうか。

 行政だけではなく、企業においても同様のことが起こっている。

 最近になって、あちこちで見直しの動きが急な「成果主義」型人事制度。これも、年功給一辺倒からの脱却という意味においては、大きな方向性として決して間違ってはいなかったと思う。

 しかし「成果」を測り難い部門や、「成果そのもの」が短期間で測れない職種について、モチベーションダウンの可能性をどう考えるか、あるいは、個人ではなくチームで「成果」を上げる仕事がうまく進まなくなる副作用をどう防ぐかなど、問題は山積みだ。  

コメント3

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「風、桶屋、そしてバタフライ
波及効果を読める組織づくりとは?」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCGシニア・パートナー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経て現在に至る。事業戦略、グループ経営、M&Aなどの戦略策定・実行支援、経営人材育成、組織能力向上などのプロジェクトを手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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