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黄河崩壊~水危機が生む“環境難民”

シリーズ中国【第1回】

  • 藤田 宏之

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2008年5月2日(金)

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 「百発百中の砲一門は、百発一中の砲百門にまさる」。明治末期、日露戦勝後に東郷平八郎提督が語った有名な言葉は、日本及び日本人を良くも悪くも呪縛し続けているのではないだろうか。

 後に作家の司馬遼太郎さんが指摘しているが、日露双方の兵力を比較して費用対効果を比喩的に分析したはずの言葉が、いつのまにか金科玉条となり、現実の目標として掲げられるようになる。さらには百発百中を大前提にした荒唐無稽な軍事戦略まで生まれ出す。これが、第2次大戦での敗北の遠因と分析する史家もいる。

 どん底から復活を遂げた戦後日本も百発百中の精神とは無縁ではない。一騎当千、教育水準の高い労働者を育て、高品質・高付加価値の輸出品を作り続けてきた。ひょっとしたら我々の遺伝子には、「百発百中の砲」、言い換えれば質の高さを尊び、粗製濫造を忌み嫌う精神が刻みこまれているのかもしれない。



内蒙古自治区の化学肥料工場から垂れ流される汚水。湯気をたてて黄河上流域へ流れていく。
内蒙古自治区の化学肥料工場から垂れ流される汚水。湯気をたてて黄河上流域へ流れていく。

 これとまったく正反対とも思える思想で発展を遂げているのが、現代の中国だ。百発一中でもその砲を一万門用意すれば圧勝できる。ここ数年、世界の工場と呼ばれ、破格な安さの製品を武器にして世界市場を席巻し、急成長を遂げてきた。

 しかし、日本での“毒入り餃子事件”の例をみるまでもなく、各国で製造物責任上の問題を起こし、世界の工場にもブレーキがかかっている。北京オリンピックを目前に、チベット騒乱や聖火リレーの混乱、はたまた深刻な環境汚染などさまざまな問題が噴出している。

 ナショナル ジオグラフィック日本版の5月号では、まるごと一冊中国を特集した。今月のこのコラムでは、日本人にとって一種のアンチテーゼともいえる現代中国の素顔を紹介していく。

コメント8件コメント/レビュー

文明の根源である水資源が汚染されたり、枯渇するような国に未来があるのか?3.40年以前に日本で発生した事態が数倍数十倍の規模で中国で、いま起こっているのだろう。大気汚染と海洋汚染による日本への悪影響を最小限に防ぐような施策が必要ではないのか。このような視点を考えさせる貴重な記事であった。(2008/05/03)

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文明の根源である水資源が汚染されたり、枯渇するような国に未来があるのか?3.40年以前に日本で発生した事態が数倍数十倍の規模で中国で、いま起こっているのだろう。大気汚染と海洋汚染による日本への悪影響を最小限に防ぐような施策が必要ではないのか。このような視点を考えさせる貴重な記事であった。(2008/05/03)

とても綺麗な文章で綴られている。目的的に考えれば、世界に警鐘を鳴らし、某国の環境対策の遅れに一石を投じているのかも知れない。私も山東省のある街にある某日系企業の工場の隣のメッキ工場が、廃液を垂れ流しにし、午後になると風向きが変わり、まともに異臭が漂う姿を何度も体験している。話を違う角度から診て見ると、中国を含めたアジアの所謂開発途上国は、私の知る限り道路(空き地も含む)にゴミを捨てる。バスから、車から、バイクから、家から・・・。雨が降ると家の中から道路へ水を掃きだし、道路が洪水になる。乗客が屋根の上に載って、扉も閉めずに走る電車、バス。彼らの中では異常でも何でもない普通の生活スタイル。ベトナムを訪問した時、ベトナムの知人に、ベトナムのバスの殆どが扉を閉めている事を尋ねたら、5年位前は開いているのが普通だったと言う。スーパーのレジで並んでいると、スルスルと横入りしてくる。言い出したら切が無い。これらは、我々が過去に体験してきた事が殆どである。世代単位でしか変わらなかった今の先進国?の経験を如何にカリキュラム化し如何に迅速に、しかも、彼らに受入安くノウハウを提供するかが、鍵を握っている気がしてならない。(2008/05/02)

中国の悪化する水事情はフォローしていた。しかし、今回の記事であらためて、「環境問題のデパート」といわれる中国の様子を映像で拝見でき、世界の支援を受ける前に、当事国中国がなすべきことは多いように思われる。オリンピック開催に浮かれている場合ではないのではないかとね。かの国の国民の意識改革のためにも、映像メディアの報道を通じた警鐘は貴重なシグナル。今後とも、多くの映像で中国水事情を世界に発信して頂きたい。期待しています。(2008/05/02)

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