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広がる世代間ギャップ、中国で台頭する新・中流層

シリーズ中国【第2回】

  • 藤田 宏之

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2008年5月9日(金)

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 豪華な庭付き一戸建て住宅が建ち並ぶ新興住宅街。米国だか、欧州だかのニュータウンかと思いきや、実はこれ、中国の風景なのだ。

 共産党独裁の政治体制を維持しながら、市場経済を大胆に導入して急成長する大国の「いま」を端的に示すワンカットだろう。ナショナル ジオグラフィック日本版5月号の中国大特集でも取り上げたが、一部の成功者に向けては、こうした高級な住宅や消費財が続々と開発され、都市には贅沢品があふれる一方で、地方には、その日の食事にも困るような貧しい農民がたくさんいる。“突貫工事”の歪みは大きく、社会的なアンバランスさや危うさを感じずにはいられない。



増える私有財産。瀋陽市郊外の新興住宅地。デッキチェアとパラボラアンテナが住人の裕福さを示している。中国では毎年、床面積にして約5億平方メートルの住宅や商業施設が新築されている。
増える私有財産。瀋陽市郊外の新興住宅地。デッキチェアとパラボラアンテナが住人の裕福さを示している。中国では毎年、床面積にして約5億平方メートルの住宅や商業施設が新築されている。

 経済発展の効率だけを考えれば、独裁的な中央集権制は有効だし、成長の過渡期に生まれる格差は致し方ないのかもしれない。それは歴史が証明している。戦後からバブル期直前までは、日本も同じような状況だった。?小平の改革開放政策が始まった頃には、中国人の取材相手に「(日本の投資家が)一党独裁による不安をあれこれ言うなら、自民党政権が続いて、政財界の金持ちたちによる疑獄事件が引きも切らない戦後日本だって似たようなものでしょう」と言われて、しばし言葉に詰まった記憶がある。

 ただ、いまの中国に起きているあまりにも急激な変化が及ぼす大きな歪みは看過できないだろう。日進月歩の社会についていけない中高年と、資本主義、競争社会の申し子と化し、“勝ち組”となる将来を夢見る若年層とのギャップは広がる一方で、大きな歪みを生み出している。

 「親の言うとおり勉強し、エリート中学校にも合格した。でも、もう言いなりにはならない」。15歳の少女ベラからは、そんな世代間ギャップの中で苦悩する新・中流層の姿が浮き彫りになる。

 上海に住む周佳穎(チョウ・ジャアイン)は4歳のとき、英会話を習いはじめ、ベラという英語名ももらった。将来は海外の大学に進んでほしいというのが両親の希望だ。5歳で演劇を、8歳からは行儀作法を教わり、情操教育に良いというのでピアノも習いはじめた。夏には水泳教室に通った。弁護士になるというベラの夢をかなえるには、背が高くないとだめだと両親が考えたからだ。

 10歳、つまり小学5年生になるころには、将来の可能性は無限に広がっていたが、生活は軍隊顔負けの厳しいものになっていた。学校を終えて帰宅すると、ひとりで宿題をしながら両親の帰りを待つ。夕食と入浴の後はピアノの練習。たまにテレビも見るが、許されるのはニュースだけ。土曜日には作文教室と算数塾、日曜日はピアノ教室と進学塾。学校が早く終わる金曜日の午後だけは、ほっとひと息つける。ベラにとっては、独房の窓から見えるつかの間の青空といったところだろう。

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