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食糧危機への備えはあるか

サブプライムや原油高よりも深刻

  • J・W・チャイ

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2008年5月14日(水)

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 英エコノミスト誌は、2008年4月19日号の特集で世界に広がる食糧危機を取り上げた。タイトルは「The Silent Tsunami ~ The food crisis and how to solve it」。日本語に訳すと「静かな津波~食糧危機とその解決策」となるだろう。これは米国発の金融不安や原油高騰と比べても、看過できない問題だ。

 というより、もっと深刻な問題だと言った方が正しいだろう。「信用不安によって投資家が損失を被った」「住宅価格の下落で消費が減速した」と言っても、クーデターによって政府が潰れたり、何万人もの人々が死傷するわけではない。原油の高騰もしかりである。

 しかし、食糧危機は社会不安を起こす。食糧難と言うと、先進国や中東など一部の金持ち国ではインフレ問題の1つとして語られることが多い。そのため、先進国に住んでいる人々には、この問題の深刻さが正確に伝わらない。しかし、食糧危機は、発展途上国では餓死、反乱、クーデターを連想する言葉だ。つまり人々の生死に直結する問題である。

 なぜ、その食糧難がここへきて深刻さを増したのか。理由はいくつかある。

中国の中流層が菜食から肉食に

 第1が人口の増加だ。地球の資源が人口増に追いついていない。現在、世界の総人口は66億人を超えており、発展途上国ほど幾何級数的に増えている。この人口増の犠牲になっているのが農地面積だ。世界の農業収穫面積は1950年に比べて、半分以下に減った。人口が増えているのに、農地が減っているのだから、食糧不足になるのは当然である。

 第2が人々の食生活の変化である。人口が13億人を超える中国では、肉を食べる中産階級が急増している。肉牛を育てるには、餌としての穀物が必要になる。100カロリーの牛肉を生産するためには、約700カロリーの穀物が必要と言われる。つまり、人々の食生活が菜食から肉食に変化するほど、食糧不足が進む。世界人口の5分の1を占める中国で食生活の変化が起きているのだから、その影響は大きい。

 第3が農業の“工業化”だ。農地面積の減少を補うには、農業の生産性を向上させる必要がある。そのため、農業は急速に工業化された。これはすなわち、農業が燃料を必要とする産業に転じたことを意味する。

 トラクターや運搬車両には燃料が必要であり、肥料を作るのにも石油がいる。いつの間にか農業は石油無しにはやっていけない産業となった。そこを原油高が襲った。米国では標準的な肥料の値段が1年前には1トン当たり約450ドルだったが、現在はおよそ3倍の約1200ドルに高騰している。1バレルが110ドルを超えるような現在の石油の値段では、今の農業はもたない。
 
 第4が地球温暖化である。世界的な天候不順が農業の生産性を低下させている。例えば、世界で2番目の穀物輸出国であるオーストラリアが、10年来の天候不順で急速に砂漠化している。

コメント25件コメント/レビュー

温暖化で耕作可能地域が広がるという意見もあることは認めるが、耕作可能地域と耕作地域は異なるのです。農業用水など灌漑も必要ですし、土地改良も必要になります。工作可能地域になってから、実際に生産できるまで良くて10年くらいは見たほうがいいです。その間、どうするのでしょうか?(2008/05/15)

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いただいたコメント

温暖化で耕作可能地域が広がるという意見もあることは認めるが、耕作可能地域と耕作地域は異なるのです。農業用水など灌漑も必要ですし、土地改良も必要になります。工作可能地域になってから、実際に生産できるまで良くて10年くらいは見たほうがいいです。その間、どうするのでしょうか?(2008/05/15)

人間、最後は食べ物ですよね。紙幣も金も石油も大事ですが、水や食料なしで生きていけるわけもありません。以前から不可思議なことがあります。たった60数年前、育ち盛りの頃に食べ物がなくて苦しい思いをしたはずのご年配の方々が、社会の中心になっていくとなぜ食料自給率を低くする政策をとり続けてきたのでしょうか?70代以上の方々に尋ねても、答えが返ってきたことはありません。とりあえず1年分の米だけでも買い込んでいます。(杞)(2008/05/15)

食料危機に賛成です。食料とは、もともと危機感を持って確保しなければならないものです。それが日本では大量に廃棄されています。また農業が成り立たない程に農作物の値段も低いです。これを機会に少しは正常になればと期待しています。バイオアルコールも賛成です。燃料を消費するのに罪悪感を持たないから、温暖化が発生した。食料を使って車を動かしていると思えば、節約する気が起きるのでは?(2008/05/15)

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