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諸富徹・京都大学大学院経済学研究科准教授に聞く

欧州の外交力に圧倒されるな
途上国にも参加してもらえる仕組みを作れ

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2008年5月19日(月)

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2008年7月7日、北海道洞爺湖町で主要国首脳会議が開催される。いわゆる「洞爺湖サミット」だ。日本はサミットの議長国として、海外に向けてどのようなメッセージを発すべきか。このコラムでは、日経エコロジー記者が、各界の識者にお聞きする。

―― 温暖化防止の国際的な枠組み交渉で、日本は欧州の後塵を拝しています。

 国際的な温暖化対策の枠組み交渉においては、欧州の外交力の“凄さ”が浮き彫りになっています。すさまじい執念で、次々と先手を打ち主導権を握っています。既に、欧州が勝者になりつつあると言ってもいいでしょう。

京都大学大学院経済学研究科准教授の諸富徹さん

京都大学大学院経済学研究科准教授の諸富徹さん(写真:吉田 竜司)

 温暖化対策の国際枠組みは、1992年にリオデジャネイロで開催した「地球サミット」で、温暖化防止を目標にする「気候変動に関する国際連合枠組条約」に155カ国が署名し、94年に発効したことから動き出しました。その後、先進国に対して、2008~2012年の温暖化ガス排出量を、1990年比で日本が6%、米国が7%、欧州が8%削減する数値目標を盛り込んだ「京都議定書」が採択されたのです。

 ですが米国は、経済への悪影響や発展途上国への義務づけがないことを理由に、2001年に京都議定書を離脱してしまいました。ブッシュ米大統領は当時、「米国が参加しないスキームは動かない」と踏んでいた節があります。ところが、欧州が巧みに日本やロシアを引き込み、京都議定書の発効にこぎ着けたのです。ブッシュ政権はこの時点で、温暖化外交で欧州に敗北を喫したわけです。

 来る洞爺湖サミットで、日本は議長国を務めます。難しい議論をまとめ、いかに成果を導き出すかが議長の力量の見せ所。日本のリーダーシップを国際社会に示せる大チャンスです。いつまでも欧州を追うのではなく、自ら一歩先を行く提案をしてもらいたいものです。

―― 洞爺湖サミットの主要テーマは、2013年以降の温暖化防止の国際枠組み「ポスト京都」です。ポスト京都は、どんな枠組みにすべきでしょうか。

 まず大前提として、先進国が国ごとに温暖化ガスの削減目標を負う必要があります。世界各国の科学者が集まって温暖化を議論しているIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は第4次評価報告書で、世界の排出量の大幅な削減が急務と指摘しています。先進国がトップダウンで削減目標を掲げないことには、温暖化を止めることはできません。

 そのうえで、途上国にも温暖化対策の実施をコミットしてもらいます。京都議定書の枠組みでは、途上国は「クリーン開発メカニズム(CDM)」など、ごくわずかしか温暖化防止に寄与していません。中国やインドなど、温暖化ガスの排出量が増えつつある国々の協力を得なければ、世界規模の温暖化を止めることはできないからです。

―― 日本の産業界は、国別の削減目標に強く反対しています。

 京都議定書のトラウマでしょう。日本は先進国の中でも省エネを進めてきた自負があり、削減目標にも努力が反映されるべきだと主張していました。ところが、議論が紛糾した時に、当時のアル・ゴア米副大統領が会場へ乗り込んできて、あれよあれよという間に日本6%、米国7%、欧州8%の削減目標が決まってしまった。「日本の省エネ努力が評価されなかった」という産業界の不信感が、国別の削減目標に反対する根源にあるのだと思います。ポスト京都では、京都議定書よりも産業界が納得できる手法で削減目標を決めるべきです。

 政府は、1月のダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)まで、国別の削減目標には言及しませんでした。産業界の意向を受けてのことだったでしょうか。しかし、国際的な世論の高まりを受け、ダボスで方針転換しました。福田首相はポスト京都で国別の削減目標を掲げる方針を打ち出し、目標の設定には「セクター別アプローチ」と発言したのです。セクター別アプローチには様々な解釈がありますが、目標策定手法として有効なものだと考えています。

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