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四川大地震~災い転じて、意識改革につながるか?

シリーズ中国【第4回】

  • 藤田 宏之

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2008年5月23日(金)

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 四川省を襲った大地震は大きな被害をもたらしている。地震大国に住む身としては他人事ではまったくなく、心からお見舞いを申し上げたく思う。これからの復興に関しても苦難の道が待ち受けていることは、想像に難くない。対応によっては、同国全体の未来を左右しかねない問題を秘めているだろう。

 決して大げさな話ではない、と思うのは、関東大震災後の日本の例があるからだ。大正から昭和にかけて日本が悲劇的な戦争への道を歩み始める大きな原因となったのが、昭和恐慌と、それに続く世界恐慌による財政、国民経済の破綻だが、その引き金となったのが関東大震災の後に大量に不良債権化した「震災手形」だと言われている。

 当時、復興政策の一環として、政府は被災地域で営業不能に陥った企業が発行した手形の決済を一定期間猶予し、最終的には政府が補償するという制度を設けた。しかし、現実にはこの仕組みが方便として使われ、震災とは直接関係のなく決済不能の不良手形が数多く紛れ込みだす。結果として、大量の不良債権を抱え込んだ金融機関、ひいては日銀、国家財政を決定的に痛めつけていくことになる。

 一方、震災にからんで、経済至上主義の政策が問題になったケースが1995年の阪神・淡路大震災の時の神戸市だ。この時、大きな被害を受けた神戸市は、震災の直前までは「株式会社神戸市」との異名を持つほど地域事業の経営に熱心で、多くの新聞、雑誌、テレビなどに模範例として取り上げられていた。だが、一方で防災対策などの整備が遅れており、被災後には厳しい批判の対象となった。ことほどさように、大地震は被災地の政治や経済のレベルや方向性、そこで暮らす人々の“民度”を浮き彫りにする。

 翻って中国はどうだろうか?。大胆に市場経済を取り入れて世界一の経済大国へと成長の一途をたどり、北京オリンピック、上海万博にむけて、疾駆する同国にとって、防災対策などは優先順位が低いことは容易に想像がつく。実際、5月初頭のこのコラム「黄河崩壊」で紹介したように、経済成長一辺倒の政策が大きな歪みを生み出している。



広東省のクリスマスツリー工場。撮影のために2000人あまりの従業員が工場と出荷棟の前に集まった。250万本のツリーを輸出した年もあったという。
広東省のクリスマスツリー工場。撮影のために2000人あまりの従業員が工場と出荷棟の前に集まった。250万本のツリーを輸出した年もあったという。

 四川大地震でも、被災地の調査が進めば、急普請の建物が被害を拡大したことが判明する可能性は高い。ただ、中国政府が今回の地震の被害を、社会基盤の脆さに対する警告ととらえることができれば、この災いも転じて福となる可能性はある。さらに言えば、政府だけでなく、国民の意識改革も避けては通れない。いや、むしろそちらが今後の大きな課題となってくるのかもしれない。

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