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タテと同時にヨコ連携、組織に横串を入れる

キリンビール三宅社長流の現場第一主義(2)

2008年5月22日(木)

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 「一枚岩ではない現場が部門の垣根を取り払って連携する」──。この課題を達成するためには、様々な“道具”が必要になる。キリングループの顔である事業会社キリンビールは現在進行中の中期計画で、組織に横串を入れるためのプログラムをいくつか立ち上げることにした。

 前回に続き、独自の現場第一主義を掲げて全国の工場や事業所を回る、キリンビール社長の三宅占二氏に話を聞いた。

(聞き手は、日経ビジネス オンライン編集長 廣松 隆志)

(前編「“腑に落ちない仕事”を“腑に落ちる仕事”にせよ」から読む)

── 会社の方針や上司の指示に対して「腹に落ちる」「腑に落ちる」というのは、経営トップと現場とのコミュニケーションで、なかなか基本的なところだと思います。現場主義的な発想であり、現場を活性化していくには欠かせない。

キリンビール代表取締役社長 三宅 占二氏

三宅 占二 (みやけ・せんじ)氏
キリンビール代表取締役社長

1948年東京都生まれ。70年慶應義塾大学経済学部卒業後、キリンビール入社。1993年ハイネケン・ジャパン取締役副社長。1997年キリンビールに復帰、マーケティング本部営業推進第1部長。2002年キリンビール取締役東海地区本部長。2004年常務執行役員首都圏地区本部長。2006年常務執行役員国内酒類カンパニー社長。2007年キリンビール代表取締役社長に就任 (写真:小久保松直 以下同)

三宅 腹に落ちないまま方針を大きく変えると、やっぱり間違えるんです。昔のラガーを生にするとかね。何で生にするのかって最後まで腑に落ちないで、そっちにかじを切ったり何かすると、ああいうふうにお客様が離れていく。腹に落ちていれば「なぜ?」とご指摘を受けた時にお客様に自信を持って言えますが、そうでないと自信を持って言えなくなる。

── 「とにかくやれ。会社の方針でこう決まったから」という指示だけだと、現場の人間はいい仕事はできないし、会社の勢いも出ない、ということですね。

 これは私も営業の時や地区本部長をやっている時に経験があります。もう絶対にこっち方面を攻めるべきだと思い、こっちに行けと言っているんだけど、なかなか成果が上がらない。それはどうしてかなと思うと、上が言ったからこっちに行っただけで、実は腑に落ちていなくてぶつぶつ言っているわけです。前の方が良かったんじゃないか、と。

 でも、関係している人間を集めて、わいわいと話し合い、最後はそういうことだよなと腑に落ちてくれると組織は回り出すんです。腑に落ちないうちに強権を発動すると絶対にうまくいかない。これはもう私の体験です。

グループ会社内の人事交流で連携を強化

── 現場力を発揮させるパイプは、最後はコミュニケーションしかないのかなとお話を伺いながら思いました、これを人間と人間のコミュニケーションではなく、何か仕組みのようなもので形作っていくということは可能なんでしょうか。

 1つのテーマでディスカッションをしている中で分かり合うということがプロセスとしてありますよね。

 それからもう1つは、営業の話になりますが、キリンビール(KB)のほかに、キリンマーチャンダイジング(KMD)という会社があって、そこでは量販店の店頭や、生ビールを扱っている料飲店の店頭を回りながら、量販店なら本部の商談を個店できちっと実現をし、料飲店でいえば工場できちっと作ったものが、きちんとおいしくお客さんに提供できるようにお手伝いしています。これは本当にお手伝いをすると、飲む杯数も上がるんですよ。15%から30%ぐらい売り上げが上がるんです。

── そんなに違うものなんですか。

 ええ。すっと入りますからね。このKMDに当然、うちから何人か出向しています。うちの会社でまだマネジャーになれないような年代の人も、こっちへ行ってマネジメントをするわけです。それでKBとKMDの会社の橋渡し役をやるわけですね。この人材を、まず相当優秀な人をこっちから出すわけです。それでしばらくKMDで経験を積んだ後に、彼らをもう1回こっちへ戻してきて、例えば量販店の担当であれば、本部の担当にするわけですね。そうすると商談の連絡のどういうところが悪いから動きにくかったというのがよく分かるから、非常にいい商談の指示をします。商談自体は相手先のあることですから、そうすべてが100%、思う通りにはいきませんけど、その商談の結果を店頭で活動をして実現するKMDのメンバーたちにとって、非常に分かりやすく、働きやすい連絡を彼はするようになりますよね。

 それから今度、本部担当をやっていた人間を送り込み、それでマネジャーをさせる。そうすると自分は本部担当をしていて、いろいろやっていますから、こういうところを手を抜いているんじゃないかとか、もっとこういう報告書をよこせと、それじゃないと俺たちは動けないぞ、と。これは両方で、ある意味いい牽制効果が働くわけですよ。そういう点では人事交流は大切です。工場でも例えば、工場の技術の人でも醸造一本やりとか言うんじゃなくて、醸造の人がパッケージに行ってみたり、パッケージの人がこっちに行ってみたりというような、横の連携が絶対に必要になってくるでしょう。

 2006年11月に提携したメルシャンからは今、100人以上キリンビールに来ているし、うちからも十数名が向こうに行っています。それからキリンビバレッジとも非常にそういう交流をしています。そうすると、そこの会社の文化に触れたり、風土に触れたり、あるいはそこの会社の独特のやり方があって、そのいいところを取って、悪いところを直していくというようなお互いのこともできます。

 メルシャンから来た人に対して、「あなたたちはキリン風に染まろうと思わないでください。おかしいと思ったことがあったら何でも言ってほしい」と私は言いましたけど、向こうに行った人間も逆のことを言えば同じですよね。そういう意味では、直接のコミュニケーションと、さらに人事交流というのは必要でしょうね。

社内イントラ上の成功事例報告を読んで自らコメントする

── 部門内や部門を超えたコミュニケーションはなかなかヒューマンなものですが、それ以外に、IT(情報技術)を使ったコミュニケーションの仕組みはありますか。

 社内のインフラを使い、店頭でこういうことをやったらこんな成果があったとか、生ビールの品質を良くしてもらってその売り上げが上がり、お店も喜んでいますといったリポートを出す仕組みがあります。みんなが見られると同時にそのリポート記事へアクセスできるんですよ。私もね。

コメント1件コメント/レビュー

消費者の目から見ても、キリンの製品は少し変わってきたかなと思います。今までは伝統のラガーからなかなか離れられず、魅力が乏しかったのが、商品開発がより柔軟になったのではないかと感じます。会社の体質が柔らかくなったのでしょうね。古い組織を変えていくというのは、よほど本腰を入れないと難しいことですからね。(2008/05/22)

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「タテと同時にヨコ連携、組織に横串を入れる」の著者

大村 洋司

大村 洋司(おおむら・ようじ)

海外事業戦略室プロデューサー

1989年日経BP入社。95年「ナショナルジオグラフィック日本版」編集、2004年同誌副編集長。07年「日経ビジネスオンライン」副編集長。10年「日経ビジネスアソシエ」副編集長。12年1月より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

消費者の目から見ても、キリンの製品は少し変わってきたかなと思います。今までは伝統のラガーからなかなか離れられず、魅力が乏しかったのが、商品開発がより柔軟になったのではないかと感じます。会社の体質が柔らかくなったのでしょうね。古い組織を変えていくというのは、よほど本腰を入れないと難しいことですからね。(2008/05/22)

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