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飯田哲也・環境エネルギー政策研究所所長に聞く

「アリバイ作り」の政策論議では世界に負ける
日本に必要なのは真のエネルギー改革

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2008年5月26日(月)

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2008年7月7日、北海道洞爺湖町で主要国首脳会議「洞爺湖サミット」が開催される。1997年採択の「京都議定書」の第1約束期間(2008~2012年)終了後の温暖化防止についての国際枠組みが主要テーマになり、「ポスト京都」とも呼ばれる。日本はサミット議長国として、どのようなメッセージを発すべきか。日経エコロジー記者が、環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也さんにお聞きした。

―― 洞爺湖サミットの「ポスト京都」を巡る国内外の議論の中で、日本の政策立案能力がかつてないほど厳しく問われています。

環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也さん

環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也さん(写真:山田 愼二、以下同)

 温暖化を食い止めるために、いかに合理的で実効性がある制度を作れるか、ポスト京都を巡る主導権争いは、まさに各国の知恵比べです。ところが、日本は技術力は優れていても、政策を作る力が弱すぎます。これは環境の分野に限りません。

 多くの場合、国の制度は様々な分野の専門家が集まる各省庁の審議会での議論を経て作られます。しかし、多角的で真剣な議論を通じて政策を深めていくという本来の目的とは裏腹に、審議会は「一通りの議論は尽くした」と言うためだけに使われているのが現実。実際には各省庁の官僚は、財務省や内閣法制局または他省庁と折衝して、裏で議論の落としどころを決めます。だから、審議会には「アリバイ作り」に都合のいい学者を持ってくる。

 そうすると、しょせんアリバイに使われるだけだと、まじめな研究者ほど役所の政策形成に関わりたがらなくなります。新しいナレッジを生み出すという文化が、日本の政策形成プロセスの中にはほとんどないんですね。

 ところが少なくとも欧州なら、政策形成をしようとすると、博士号取得者のリポートがどっと集まるんですね。日本のようなコンサルタントの「やっつけリポート」じゃない。政策側も、こうしたすごく分厚いリポートを読みこなして、政策にちゃんと生かしていこうという力量がある。もちろん、政策形成の過程では政治的な駆け引きもありますが、そうした議論を支える知的な厚みというのは、日本とは全然レベルが違いますね。

―― そうした知的な厚みのせいか、EU(欧州連合)などは排出量取引や環境税、再生可能エネルギーの大量導入など、新政策をダイナミックに取り入れていますね。

 そうですね。EUは経済の仕組み自体を変えてしまおうという野心的な試みをしています。こうした経済的手法についての研究と経験の蓄積では、日本は大きく水をあけられています。

 世界的に環境政策の機運が盛り上がったのは1970年代でした。日本でも水俣病やイタイイタイ病などが社会問題化したのと同様に、世界が公害問題に直面していた。そうした状況では、「環境政策=環境規制」だったわけです。

 ところが、欧米では80年代に入ると「エコロジー的近代化」という流れが起きてきました。レーガンとサッチャーに象徴される市場原理主義が環境政策にも影響を及ぼしたんです。つまり、環境政策に市場メカニズムを利用する。取って返す刀で、市場の中に環境の原則を入れていくという発想です。「持続可能な発展」「環境と経済の統合」などという言葉もこの頃から使われだしました。

 90年代に入ると、欧州で実際の制度が動き出します。その代表例が91年のスウェーデンの「エコロジカル税制改革」です。工場で化石燃料などを燃やすと、二酸化炭素(CO2)のほかにも硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)などの有害物質が排出されます。そこでスウェーデンでは、CO2とSOxについては排出量に応じて税金を取る環境税を導入したのです。

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