「環境トレンドリポート」

パタゴニアがアウトドア衣料のリサイクル

帝人、東レと連携し回収から再生まで

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2008年5月27日(火)

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左が帝人のリサイクル・ポリエステルを使用した「メンズ・ストーム・ジャケット」、右が東レのナイロン6を使用した「ウィメンズ・シェルター・ストーン・ジャケット」

左が帝人のリサイクル・ポリエステルを使用した「メンズ・ストーム・ジャケット」、右が東レのナイロン6を使用した「ウィメンズ・シェルター・ストーン・ジャケット」

 回収が難しくリサイクルが進まない衣料に動きが出てきた。パタゴニアと帝人、東レの3社が、ポリエステルとナイロンを対象に使用済み品を回収し、繊維製品に再生する循環システムを確立したのだ。

 米アウトドア衣料メーカーのパタゴニアは、環境対策やCSR(企業の社会的責任)に力を入れていることで知られる。同社は「2010年までに全製品をリサイクル素材、もしくはリサイクル可能な素材に代替する」という目標を打ち出し、リサイクルに取り組んできた。

 繊維製品のリサイクルは、回収の難しさから、企業が一括して回収できるユニフォームやカーテンなどに限られきた。また、1枚の衣料に複数の素材が使われていることも、リサイクルを難しくしている。2004年の調査によれば、繊維の総消費量約206万トンに対して、廃棄せず、リユースもしくはリサイクルされたのはわずか13%の3万トン弱。年間100万トン以上が焼却処分されているという。

パタゴニア直営店の店内には使用済み製品の回収ボックスが設置されている。写真は横浜店

パタゴニア直営店の店内には使用済み製品の回収ボックスが設置されている

 そこでパタゴニアは、使用済みの衣料を店舗で回収し、提携企業の工場で繊維に再生、新たな原料にする「つなげる糸リサイクルプログラム」を2005年に始めた。数ある素材のなかでも、アウトドア衣料に欠かせないポリエステルやナイロンといった合成繊維の環境負荷には早くから着目していた。

 同社は1990年代前半に繊維の環境アセスメント(影響評価)を実施。このときに「綿花生産に大量の農薬が使われることを知り、オーガニックコットン(有機栽培綿)への全面切り替えを決めた。同時に、合成繊維はケミカルリサイクルすべきだと考えた」(パタゴニア日本支社でマーケティングを担当する柿原貴行氏)という。

 ケミカルリサイクルとは、石油から製造した合成繊維を、分子構造の基本となる低分子(モノマー)に分解し、再度合成することで再生する手法。分解過程で異物を完全に除去できるため、石油から生産するバージン繊維と同品質が得られる。これに対しマテリアルリサイクルは、廃繊維を溶かして再成型する手法を指す。異物を完全に除去できないため、バージン繊維に比べて品質が劣り、用途が限られてしまう。

 つなげる糸リサイクルプログラムは、業界に先駆けてポリエステルのケミカルリサイクルを展開していた帝人と共同でアウトドア用インナーを対象に開始。パタゴニアは、帝人のリサイクル繊維「エコペットプラス」にインナーの素材を変更。2007年春には、フリースにも拡大した。

 そして2008年春夏シーズン向けの新商品からは、高い透湿防水機能を持つアウトドア用ジャケットにも拡大した。ジャケットは、表面に防水用のラミネートなどが施されており、ケミカルリサイクルに手間やコストがかかるため、リサイクルを始めるのに時間を要した。さらに、帝人に加えて東レも、ナイロン6の再生で、このプログラムに加わった。一般衣料でのナイロン6のケミカルリサイクルは世界初だ。

<<用語解説>>
ナイロン6 
ナイロンは炭素原子の結合状態で名前が異なる。衣料用は、カプロラクタムを重合させたナイロン6と、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンを重縮合させたナイロン66が大半だ

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