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スピード経営は「不自然」なもの

科学万能、数値化、効率優先でいろいろな価値が消えていく

  • 常盤 文克

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2008年5月28日(水)

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 先月、ある生命文明研究家のお誘いを受けて、インドネシアのバリ島に行ってきました。訪れたのは、市街地から1時間半ほど奥に入った内陸部にある、ウブド村という集落です。

 私たちは日々の仕事の忙しさにまぎれ、本来持つ人間らしい生き方を忘れ、失っているように思います。ウブド村を訪ねたのは、こうした人間らしい生き方をバリの豊かな自然の中から、また地元の人たちの生活文化の中からすくい上げ、それを仕事に生かそうと思ったからです。

 滞在中、打楽器による合奏音楽のガムランや、ケチャ(男声合唱・舞踏劇)、バロンダンス(野外劇)などの伝統音楽・舞踊を間近でじっくりと鑑賞する機会にも恵まれました。鐘のような独特の音色を奏でるガムランは、人間の耳で聞き取れる可聴音域を超えた高い周波数の音を多量に発することで知られています。この超音波は人間の耳には音として聞こえませんが、人間の健・快・美などを司る脳の基幹部を活性化させる働きがあるというのです。

 実際にこの音を身体全体に浴び、脳に働きかける感覚を体験してみようというのが、今回のバリ島訪問の目的の1つでもありました。地元の人たちが演奏するライブのガムランは、正直に言って最初の15~20分くらいは、何だか騒々しい音だなぁと感じました。ところが、しばらくするとガムランの音色が徐々に身体の中に浸透していくような、ある種の心地よさを感じるようになってきたのです。何とも言えない不思議な感覚です。

 私たち人間が音としては認識できない超音波の領域の音には、やはり何か特別な効果があると感じました。そして、このように人間の知覚を超えたところに生命(物事)の本質があることを、現地の人たちは昔からよく知っていたのでしょう。

 ちなみに、人類のふるさとと言われる熱帯雨林の中には、この超音波音が満ちあふれているのだそうです。森林浴といって、人が森林を散策すると癒されるのは、この聞こえない音を浴びるからでしょうか。

「科学万能主義」では無形の価値が失われる

 我々はどうしても、数値や見えるもの、聞こえるものだけで物事を判断しがちです。企業活動においても同様で、よく「見える化」とか「測る化」とか言います。しかし、本来は目に見えなかったり耳に聞こえなかったりする部分が大事なのです。五感をとぎすませて、それを感じ取らないと、いい仕事ができないのではないでしょうか。

 残念ながら我々の社会は、科学が万能であるという発想のもとに成り立っています。結果的に科学では説明できない物事を切り捨てることになり、日々の暮らしや職場での仕事の中身が“劣化”してきているように思えてなりません。また、カネやモノに価値の重点を置くことで、見えない聞こえない、そして触れない無形のものに潜む価値を、いつのまにか疎かにしているのではないでしょうか。

 我々の生活はいつも、数字と時計に追い回されています。また、触れるものといえばほとんどが人工物です。

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