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今や恒例、オリンピックのゲリラ広告(上)

アディダス、コカ・コーラに対抗しナイキ、ペプシコ仕掛ける

2008年6月5日(木)

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 2008年8月8日から開幕する北京オリンピックまであと3カ月を切りました。そして、4年に1度の祭典であるオリンピックは、スポーツ選手にとってだけでなく、中国市場を狙う企業にとっても、世紀の大舞台となります。

 米アパレル大手のナイキは、2004年のアテネ五輪の110メートルハードルで金メダルを獲得した劉翔(りゅう・しょう)選手を起用した巨大なポスターを中国の街中に掲示しています。劉翔選手は、「アジアの昇り竜」と呼ばれる中国の人気選手で、北京オリンピックでも金メダルが期待されています。

 もし、劉翔選手が期待通りの結果を残せば、中国国民は熱狂するに違いないでしょう。その時ナイキは、中国国民に大きなアピールをすることができるはずです。世界のスポーツ用品ブランドがしのぎを削る中国で、一気に認知度を高める可能性を秘めているわけです。

赤色になるペプシコ

 米飲料大手のペプシコも、オリンピックに合わせて消費者から缶のパッケージデザインを募集するオンラインコンテストを実施し、中国全土から1億6000万件にも上る応募を得ました。その中から最優秀賞に輝いたデザインは、店頭に並ぶことになります。

 そこには、中国チームへの応援メッセージも記載されるのです。さらには、青いデザインで有名なペプシコーラのパッケージが、この時ばかりは「中国に敬意を払う」ために、コカ・コーラと似た赤を基調としたデザインになるのです。

 このオリンピック期間限定パッケージのCMは、YouTubeでも見ることができます。ちなみに、2006年の中国における炭酸飲料市場は、米コカ・コーラが51%を占めており、ペプシコは30%と後塵を拝しています。

協賛企業でも公式スポンサーでもない

 こうした広告を目にしたら、多くの人が、ナイキやペプシコをオリンピックの協賛企業だと思うでしょう。ところが、ナイキもペプシコも北京オリンピックの公式スポンサーではありません。実は、アパレルのオフィシャルスポンサーは独アディダスで、炭酸飲料はコカ・コーラなのです。

 北京オリンピックの国際スポンサーである「ワールドワイド・オリンピック・パートナー」になるためには1億ドル(約100億円)の協賛費が必要です。また、中国国内だけの地域スポンサー「北京2008パートナー」になるためにも5000万ドル(約50億円)がかかります。それなのに、ナイキやペプシコはこうしたカネを1銭も払っていないのです。

 ナイキやペプシコのケースのように、あたかもイベントの公式スポンサーのような“錯覚”を起こさせるゲリラ的マーケティング手法を、「アンブッシュマーケティング」と呼びます。ちなみに、「アンブッシュ(Ambush)」とは、「待ち伏せする」「奇襲する」といった意味を持つ単語で、まさに「ゲリラ戦」を展開することを指しています。

2種類ある手法

 米国で「アンブッシュマーケティング」というと、一般的には2つの手法になります。特定のライバル企業を狙い撃ちにするかどうか、という違いはありますが、いずれの手法も大金を払ったオフィシャルスポンサーの広告効果を弱めることを目論んでいます。

 その1つは、「オフィシャルスポンサーとなったライバル企業に対して、そのスポンサー料の対価として得られるはずの効果を弱めるための活動」であり、もう1つは、「管轄団体からの許可なくスポーツやイベントとの関連性をほのめかすことで、ブランド価値を流用する活動」です。

 ペプシコは、コカ・コーラを狙い撃ちにしていると見られるので前者に当てはまります。ナイキは、特定のライバル企業を念頭に置いていないと考えられることから後者に分類されるでしょう。

 こうしたアンブッシュマーケティングは、公正な競争を是とする現代社会で、異端の経営手法に見えます。なぜ、そうした事態が、先進国でまかり通るのでしょうか?

1社独占の慣行に風穴を開ける

 その背景には、スポーツ組織が重視しているスポンサーシップ制度が、経営学上は悪と見られる「独占」という思想に基づいていることがあります。世界最先端のスポーツ組織では、スポンサーシップは、「1業種1社」に限って認められます。つまり、「1社独占」の世界を形成するわけです。

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「今や恒例、オリンピックのゲリラ広告(上)」の著者

鈴木 友也

鈴木 友也(すずき・ともや)

トランスインサイト代表

ニューヨークに拠点を置くスポーツマーケティング会社、「トランスインサイト」代表。一橋大学法学部卒、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)出身。スポーツ経営学修士。中央大学非常勤講師

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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