• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「うまい、やすい、はやい」の先も利益率追求

逆境から這い上がった吉野家の進化(1)

2008年5月29日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 1980年の会社更正法申請、さらにBSE(牛海綿状脳症、狂牛病)発生による米国産牛肉の輸入停止に伴う2004年から約2年半の牛丼販売中止という2度の逆境から這い上がった吉野家。牛丼に依存しない利益構造を確立すると、さらに客層の拡大を図るべく新たな挑戦が始まった。

 2007年10月に持ち株会社制に移行した吉野家グループの中核を担うのが、新たに発足した「株式会社吉野家」。中期4カ年計画では、女性やファミリーなどの新しい顧客層のニーズに対応した「新フォーマット店」、運営効率の高い「牛丼専売店」などの業態分類を確立し、立地や客層に応じた業態の棲み分けを図ることで、出店ポテンシャルを拡大している。

 2008年2月期決算では国内牛丼関連事業は増収増益を達成。現場のオペレーションの強みを生かして店舗展開を進める、吉野家社長の出射孝次郎氏に話を聞いた。

(聞き手は、日経ビジネス オンライン編集長 廣松 隆志)

── 出射さんが昨年10月に吉野家の社長になられて半年。ずっと吉野家の顔だった安部修仁さんがホールディングカンパニーの社長になり、出射さんが吉野家の社長という話が昨年出た時、最初どんなふうに受け止めたのですか。

吉野家代表取締役社長 出射 孝次郎氏

出射 孝次郎 (いでい・こうじろう)氏
吉野家代表取締役社長

1956年神奈川県生まれ。78年日本大学農獣医学部卒業後、吉野家入社。81年東京営業課長。87年商品部食肉担当(88年吉野家は「吉野家ディー・アンド・シー」に社名変更)。93年商品仕入部長。96年南関東営業部長。2000年3月商品事業部商品部長、同年5月取締役商品事業部商品部長。2002年9月常務取締役商品事業部長、2007年常務取締役(2007年10月吉野家ディー・アンド・シーは純粋持株会社「吉野家ホールディングス」に移行し、新設分割設立会社「吉野家」が発足)、同年10月吉野家代表取締役執行役員社長(現任)、同年10月吉野家ホールディングス取締役(現任)。(写真:小久保松直 以下同)

 ホールディングカンパニー体制への移行は、もともと我々の役員合宿の中で決めたものです。その中で誰がどこをやるかは決めなかったのですが、ホールディング会社や事業会社の中で人が動いたということです。それで僕の方にお話をいただきました。結構迷っていたんですけどね。

── 迷ったというのは。

 やっぱり大変ですからね。結局、各事業会社が中期4カ年でグループとしてどうするかをきちんと決めていましたので、社長になっていきなり自分の方針で、こうして、ああしてということはありませんでした。もう4年間の目標がきちんと数字も含めてありますので、それをいかに着実に、むしろ前倒しで早くできるかというのが経営課題です。単純に社長を引き継いで、さあ、じゃあ、どうするのという話とは違ったものですから、その分少しは気が楽でした。

 ただ、今となっては、中期計画が非常に高い目標になっていますので、その厳しさは出てきましたね。

── 体制が変わって吉野家グループ全体が大きくステップアップしていくところですが、その中でもこの牛丼中心の吉野家は、本当に主力中の主力ですから、次の成長がどうなるかはグループ全体にとっても大切ですね。

 そうです。2004年2月に牛丼を販売中止にしてからは結果的に全店で壮大な実験をしているような形になりましたが(2008年3月に牛丼の24時間販売が復活)、まだまだ全部が完成しているという段階ではありません。

 今のところ、郊外型の店を増やす方向にあります。郊外型の店は駐車場もあって、都心の店とは、入客パターンや客層も大きく違います。郊外には週末を含めて非常にグループ客というのが多くなります。女性や高齢者、子供さんといった新しいお客さんも来ます。

 これまで壮大な実験をやったというのは、牛丼が販売できないという危機的な状況下で、牛丼を食べに来てくれていたお客様に対するメニュー開発をいっぱいやってきたということなんです。いくら鮭丼とか何でもやりました。

 ただ結論としては、牛丼を食べに来てくれていたお客様というのは、吉野家には肉を求めて来ていると分かったので、牛肉、豚肉、鶏肉のメニューにシフトしていきました。

 僕らが業態をちょっと進化させて乗り換えていこうとするのは、客層も広がっていくというのが前提です。少し年配の方とか、女性の方に対する牛丼以外のメニューも提案して、それも一定の支持をいただけるようにならないと、まだまだ本物じゃないし、完成じゃないと思っています。

── 郊外店で新たな客層に来てもらうための工夫は?

 サービス形態をテーブルサービスに変えています。これは現場にとっては大きな変化で、これまでとは使い勝手が全然違います。郊外型もこれまでは馬蹄形のカウンターのスタイルでしたが、そのままでは8割以上、店によると9割くらいが1人客の男性なんです。これをテーブル席にすることで、週末には半数以上が1人客以外となっている店もあります。

 これまでは馬蹄形カウンターの中から単品の牛丼を素早く出すという吉野家モデルが磨き上げられていたのですが、形態を変えただけでもオペレーションが変わってきています。

── 十数パーセントという外食業界きっての営業利益を生み出したこれまでの牛丼の「うまい、やすい、はやい」のオペレーションは吉野家の強みでしたが、逆に言うと馬蹄形ではなくなり、テーブルの間を店員の方が回りながらサービスするというのは、なかなか難しいんじゃないのかなと思います。客層の広がりというところはあっても、これをかつてのように本当に秒単位でオペレーションできるのでしょうか。

 むしろそのあたりはサービスというよりも、メニューの数が大切だと思っています。当初、馬蹄形のカウンターでピーク集中型の店は、牛丼だけの専門店にしたり、もしくは2品ぐらいのクイックメニューにすることも有効だろうとも思っていましたから。

コメント0

「日本はやっぱり現場力」のバックナンバー

一覧

「「うまい、やすい、はやい」の先も利益率追求」の著者

大村 洋司

大村 洋司(おおむら・ようじ)

海外事業戦略室プロデューサー

1989年日経BP入社。95年「ナショナルジオグラフィック日本版」編集、2004年同誌副編集長。07年「日経ビジネスオンライン」副編集長。10年「日経ビジネスアソシエ」副編集長。12年1月より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

企業や官公庁の幹部のメールボックスの内容が、まるごと数十万〜数百万円で売られている事例もある。

名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官