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もう1度、世界で輝きたい

ソニー・中鉢良治社長に聞く「脱日本のイノベーション」戦略

2008年6月2日(月)

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 ソニーがハワード・ストリンガー会長兼CEO(最高経営責任者)と中鉢良治社長の新体制に移行してから3年。長らく低迷していたソニーを立て直す改革は、次第に成果を生みつつある。2008年3月期の連結業績は売上高が8兆8714億円、純利益が3694億円で、いずれも過去最高だった。営業利益率の4.2%についても、ストリンガーCEOは「目標の5%に極めて近い、恥ずかしくない数字」と自信を深めているが、昨今のソニーには革新的な商品が少なくなったと批判されている。ものづくりの革新力を取り戻すための条件など、ソニーのエレクトロニクス部門の競争力強化策について、中鉢良治社長に聞いた。

(聞き手は、山崎良兵)

日経ビジネスは、6月2日号で特集「ソニーの壁、ストリンガー改革の真実」を掲載しています。

中鉢社長のインタビュー記事は、オンラインオリジナルです。


――2008年3月期のソニーの業績は好調でした。とりわけ復調が著しかったのは、営業利益率が5.4%と目標の4%を大きく上回ったエレクトロニクス部門です。

中鉢良治社長

ソニーの中鉢社長は「基礎体力はついてきた」と語る (写真:村田和聡)

 結論から言うと、まあまあの結果を残せたという感じはあります。厳しい競争環境にもかかわらず、エレキはソニー・グループの利益に大きく貢献できました。ただし山登りに例えると6合目だと思っています。ある種の安堵感みたいなものもありますが、まだ4合が残されています。

 山を登るには、体力が必要です。経営基盤の強化で基礎体力はそれなりについてきました。(製造から販売までの)サプライチェーンや現場のオペレーション力の改善が代表例です。なかなか表に出ませんが、皆さんの見ていないところでウサギ飛びのようなことをして、鍛えています。

 ソニーには「技術がない」と言われましたが、要素技術の力もついてきました。その上で液晶テレビの「ブラビア」や、デジタルカメラの「サイバーショット」などの商品が出てきます。

 このプロセスをきちんと繰り返すことが、ソニーの復活につながると思っています。私は社長に就任した最初の頃に、「現場力」と「技術力」と「商品力」が復活の条件であると言いました。3年間、それ以外のことには手をつけずに、愚直にそれをやってきました。

 ――しかし、中鉢良治社長が「テレビの復活なくしてエレキの復活なし」と宣言し、力を入れてきたテレビ事業には課題が残ります。液晶テレビが世界シェアトップであるにもかかわらず、730億円もの営業赤字に沈みました。

 液晶テレビでは数量的にも金額的にもシェアの1~2位を争うぐらいのレベルになりました。何もないところから「よくここまで来ることができた」という思いはあります。しかし収益面では、(巨額の赤字という)課題を残しました。問題を分析して、対策を進めています。テレビはソニーの様々な事業のラインナップの中で4番を張る商品です。4番バッターが赤字というのは良くない。

 まず「カスタマー・ビューポイント(顧客の視点)」の徹底が足りませんでした。「お客様が望んでいるものは一体何か」というところで、ソニーの商品に対して、それだけの(価値を認めて)お金をちゃんと払ってもらえなかった。ですから、もっと価格決定力のある商品を出さないと収益は改善できません。

 量的な拡大だけを単純に進めても、収益はますます悪化します。では価格決定力を持つために何をやるべきかと言うと、やはりお客様にもう一度耳を傾けて聞かないといけない。お客様の声を聞いて、速やかにそれを設計して、製造して、お客様のところに届ける。このプロセスを実現できるような組織形態が必要です。そしてサプライチェーンを含めて、すべての仕事のやり方を見直してみたいと思っています。

――テレビ事業が抱える最も本質的な課題は、「トリニトロン」や平面ブラウン管の「ベガ」に代表される「垂直統合型」から、液晶パネルを含めた主要な部品を社外から調達する「水平分業型」への転換です。液晶テレビでは、独自仕様を重視した結果、部品の種類が増え、コスト競争力は十分ではありません。

 ブラウン管から撤退してからまだ時間が経っておらず、過去のやり方が残っている部分があります。今、液晶テレビのつくり方というのは、ブラウン管時代とは比べ物にならないぐらい水平分業化が進んでいます。パネルの大半は東アジアで生産される一方で、販売はグローバルになっています。商品のつくり方、設計、サプライチェーン、販売プラットフォームを含めて、全部変化しています。

 にもかかわらず、(当社のテレビ事業では)様々な部分で現実にやはり合わないところが散見されます。そういう部分を水平分業のビジネスモデルに合わせなければいけません。例えば、秋モデルと比べて春モデルの商品構成に課題があるなど、かつての(ブラウン管時代の)やり方から抜け出せていない部分がありました。

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「もう1度、世界で輝きたい」の著者

山崎 良兵

山崎 良兵(やまざき・りょうへい)

日経ビジネス副編集長

日経ビジネス編集部、ニューヨーク支局、日本経済新聞証券部などを経て、2017年1月から日経ビジネス副編集長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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