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再生紙偽装で振り回された
“エコペーパーの見本帳”

  • 奈良 貴子

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2008年6月12日(木)

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 本、広告、コピー用紙、ノート、トイレットペーパー…と、毎日大量に使われる紙。食べ物と違い、健康に直接影響を与えたりしないので、紙がどうやって作られているのか、これまで調べたことはなかった。しかも今年1月に古紙配合率の偽装が発覚し、「再生紙」の表示も信用できなくなった。「環境にやさしい紙」は本当にあるのか? …疑問は膨らむばかりである。

『フェア・トレードを探しに』(三浦史子著)の表紙

『フェア・トレードを探しに』(三浦史子著)の表紙(写真:山田 愼二、以下同)

 そんな中、紙にこだわって作られた1冊の本がある。今年3月に発行した『フェア・トレードを探しに』(スリーエーネットワーク)だ。著者の三浦史子さんが「フェア・トレードとは何か」という問いの答えを探しに、インド、ガーナ、英国などを訪ねたルポである。

 フェアトレードとは「アジアやアフリカ、中南米などの農作物や手工芸品を、買いたたくのではなく『公正』な価格で、生産者から直接買付けてくるビジネスのあり方」(本文より引用)。環境問題とも密接に関係し、例えば農作物のプランテーションのために原生林が伐採されていないか、といった観点も含まれる。※著者の三浦さんは著書の中で「フェア・トレード」と「フェアトレード」を使い分けているが、この記事内では「フェアトレード」と表記する。

環境にやさしい紙とは、どんな紙か?

 貿易と貧困、環境をテーマにした本である以上、「本作りの際も、環境負荷を抑えたい」と三浦さんが考えたのも自然の流れだ。とはいえ紙、インク、ノリ、印刷方法、印刷所や製本所で働く人の労働環境と、本作りの全行程にこだわることは不可能なので、三浦さんはまず「紙」にフォーカスした。

 「環境に配慮した紙」とは、どんなものなのか? 調べると、製紙会社が「エコペーパー」として販売している商品は、古紙利用率が高いもの、製造過程でのCO2(二酸化炭素)排出量が少ないもの、紙の漂白などの過程で有害物質や化学物質が少ないもの、と基準はバラバラ。三浦さんは「新たに開発した紙でないと、考えられるすべての要素を満たすことは無理」と、今回は「流通している既存の紙から、コストとのバランスを見て適切なものを選ぶ」と決めた。

 紙を選ぶにあたり、三浦さんは編集者や装丁デザイナーと協議し、独自の基準を設けた。最終的に決定した基準は次の通りだ。

1) 「絶対条件」として、原生林を、破壊的に伐ったパルプは全く使わない。
2) 「なるべく」と条件づけて、下記の3項目を決めた。
  • 使っている化学薬品に有害なものがないか検証する(漂白は、より危険度が低い無塩素漂白を選ぶ)。
  • 生産地や加工工程が追跡できるものを選ぶ(FSC認証紙:後述が該当。ただし、紙の銘柄ごとにどの森林の原料チップを何%配合しているかまで追跡することは不可能だった)。
  • 普段は捨てるもの(間伐材、廃材など)を使う。

 なお、ケナフなどの非木材は「生態系を壊すという説もある」とのことから、選択肢から外した。

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