「日本はやっぱり現場力」

日本はやっぱり現場力

2008年6月12日(木)

ノルマがなければ食の偽装は起こり得ない

最強外食を支える運営システム(1)

1/2ページ

印刷ページ

 「最強の外食チェーン」の異名を持つ日本レストランシステム。スパゲティチェーン「洋麺屋 五右衛門」など約30種類の業態を擁し、経常利益率21%という外食業界で抜きんでた収益力を誇る。

 外食業らしからぬ一風変わった社名に象徴されるように、店舗運営から資材配送、メニュー開発まで独自のシステムを社内に作り上げているのが特徴であり、強さの源泉だ。

 創業者である大林豁史会長は、そのシステムの上では「食品偽装など起こり得ない」と言い切る。大林会長にそのシステムの秘密を聞いた。

(聞き手は、日経ビジネスオンライン編集長 廣松 隆志)

―― 大林さんが創業された日本レストランシステムは、本部が構築したシステムを現場運営の軸としています。現場はその仕組みに従って動きます。一般には、現場に権限委譲した方が、やる気が高まると言われますが、システムを重視するようになったきっかけは何だったのですか。

日本レストランシステム会長 大林 豁史氏

大林 豁史(おおばやし・ひろふみ)氏
日本レストランシステム会長

1944年東京都生まれ。69年東京大学経済学部卒業後、日興証券入社。73年、知人から出資を受けてショウサンレストラン企画を設立(78年に日本レストランシステムに社名変更)、79年に社長、2005年会長。2007年にドトールコーヒーと経営統合し、ドトール・日レスホールディングス会長に就任、2008年ドトール・日レスホールディングス取締役(子会社の日本レストランシステム会長を兼任)(写真:小久保松直 以下同)

 創業からしばらくの間は、私も現場の創意工夫に任せるのが当然のことだと思っていました。ただ、ある事件があって考えを改めました。当社のグループ会社のケーキ工場で起きた出来事です。

 菓子職人を使っていたのですが、原材料費が高いので抑えるようにと指示したら、彼らはある行動に出ました。何をやったと思いますか?

 彼らは原材料を変えてしまったのです。生クリームを安い低品質のものに変え、揚げ句にバターをマーガリンに切り替えてしまった。ケーキの味はすっかり落ちました。もともとは証券会社に勤めていた私は数字には強かったけれど、計数をしっかり管理した結果、現場でそんなことが起きるとは思いもよらなかった。

―― それはどのようにして発覚したのですか。

 たまたま工場に出かけたスタッフがその様子に気がついて報告してくれたのです。そうでなければ、なかなか分からなかったかもしれません。

 現場は、怒られないために、一番安易な方法で解決したがるんです。これは、残念ながらそういうものなのです。相次いでいる食の偽装や、料理の使い回しなども、大本はそういうところにあります。この事件を転機に、当社では原材料の発注をすべて本社経由にし、店での使用量・原材料費に異常値が出ないかチェックする体制を敷きました。

―― 現場が誤った方向に進まないような仕組みを作ったわけですね。

 その通りです。これは人件費の問題も同じです。人件費を減らせと指示すれば、いかに簡単に、手間をかけずに作るかを考えてしまう。当然、そのままでは品質低下を招きます。だから、当社は原材料から調理方法まで含めたレシピ主義にしたのです。このレシピは本社にある戦略本部という部門で一括して作っています。厨房の調理方法では職人には手を触れさせません。すべてスタッフに、レシピ通りにやらせるのです。そのシステムを徹底させているからこそ、当社では食品偽装は起こり得ない、と自信を持って言い切れます。

次ページ以降は「日経ビジネスオンライン会員」(無料)の方および「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみお読みいただけます。ご登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。






Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
この記事を…
内容は…
コメント9 件(コメントを読む)
トラックバック

ページトップへNBOトップページへ

記事を探す

  • 全文検索
  • コラム名で探す
  • 記事タイトルで探す

編集部よりお知らせ

日経ビジネスからのご案内