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不二家のクライシスマネジメント崩壊の原因

危機的事態に一層極端に表れる「法令遵守」の弊害

  • 郷原 信郎

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2008年6月11日(水)

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 前回述べたように、消費期限切れ牛乳の原料使用の事実を把握した際に、「期限遵守の徹底」という「法令遵守」の指示だけを行い、問題の背景も含めて原因を分析し再発防止を図るという姿勢に欠けていた不二家2211は、その後、問題が表面化した際の危機管理対応で大混乱に陥り、社長辞任、長期にわたる生産・販売の停止という企業存亡の危機を迎えることになる。

 それは、コンプライアンスの考え方の誤り、そして、クライシスマネジメント対応の誤りが、企業にとっていかに恐ろしい事態を招くかを、まざまざと見せつけるものとなった。

「雪印の二の舞」文書の社外流出

 2006年11月13日の社内会議で、消費期限切れ牛乳の使用が「発覚したら雪印の二の舞」などという悪意に満ちた表現を用いた外部コンサルタント会社作成の報告書が配布されてから1カ月半余り経った12月29日、不二家に危機の予兆が訪れた。

 それらの報告書が不二家の有力なフランチャイズチェーン宛にファクス送付されたのである。系列販売店とはいえ「社外」である。そこに送付されたということは「外部流出」であり、それがいつマスコミ等に送付されるか分からない。

 しかも、その内容は、食品企業にとって社会から重大な誤解を受けかねない内容だ(同報告書には「埼玉工場でネズミが捕獲されている」として「ネズミの死骸」の写真を張り付けた部分もあった)。

 それがマスコミの手に渡ることを想定して対策を講じること、「敵機来襲」に備え、どの方向から攻撃を受けても耐えられる緊急の防空体制を取ることが必要であった。ところが、年末年始の休業中だったこともあり、何の対策も取らなかった。

 翌年1月9日、共同通信埼玉支局の記者から不二家本社に電話で問い合わせがあり、「怪文書が出回っていないか」と聞いてきた。内容から、不二家経営陣への嫌がらせのための誹謗中傷文書だろうと判断し、念のために聞いてきたというところであろう。

 これに対して不二家側は電話で「当該資料は怪文書ではなく不二家の社内資料である可能性が高い。意識改革プロジェクトで聞き取り調査を行い、工場の問題点を洗い出した資料だ」と答えたのである。怪文書だと思っていたものが社内資料だと言われれば記者の側が色めき立つのは当然である。その記者は、翌日不二家本社を訪れ、不二家側からの説明を受け、「不二家、消費期限切れ牛乳を原料に使用」という最初の記事が配信されることになった。

 最初の電話で、文書の内容を聞いて、そのまま「社内資料」と回答したのが最悪の対応だった。質問の内容から、社内会議で配布された社外コンサルタント会社作成の資料がマスコミに渡ったものと判断したのであろうが、まずは「持ってきて見せてもらわなければ分からない」と言って回答を保留し、会社としての十分な検討を行ったうえで直接会って説明すべきであった。

問題表面化時のマスコミ対応の大失敗

 この段階のマスコミ対応において重要な点が2つあった。第1に、原料に使用された消費期限切れの牛乳は食品衛生上も品質保持上も全く問題ないこと、第2に、文書は社外コンサルタント会社のスタッフが作成したもので不二家の社内で事実を隠蔽しようして作成した文書ではないこと、を何としても記者側に理解させることだった。

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