一時ほど、Web 2.0という言葉を耳にしなくなった気がする。

図1 fad(一時的な爆発的ブーム)

図2 plateau(高原状態)
来る日も来る日も聞かされていた言葉が、さほど目立たなくなってくるという場合には、2つのケースがある。
1つは、いわゆるfad(一時的な爆発的ブーム)だった場合。切り立った山のような形で盛り上がりを見せたものが、これまた急カーブを描いてしぼんでいく。図にしてみると、このような感じだろうか(図1)。
もう1つは、plateau(高原状態)である場合だ。図2のようなイメージで、実際には、従来と違うレベルで新しい状態が定着したケースである。この場合、変化率が大きい時期には報道などで触れられることが多いものの、世間が新しい状態に慣れるにつれ、実態の変化やそのインパクトの大きさにかかわらず、あまり取り上げられなくなる。
Web 2.0というのは、明らかに後者だろう。その言葉の定義の曖昧さや、「世界を変える」といったやや大仰な取り上げ方、といった問題点はあるものの、Web 2.0は、様々な形で定着してきており、ひっそりと、しかし着実に活用する個人や企業が増えてきているように思える。
R&DへのWeb 2.0型「場」の活用
こういった着実な活用の例として、R&D(研究開発)に社外のネットワークを活用する動きが出てきており、なかなか興味深いものがある。
例えばInnoCentiveという「場」がある。ここでは、R&D上の難問を解決したい企業から「こういう条件で、この時期までに、この問題を解決してくれれば、賞金を出す」という掲示がなされる。これに対して、登録した科学者や研究者が解決策を提供し、その中で、最も優れた解を出した個人が賞金を獲得する、というものだ。
具体的な例を挙げてみよう。ある時、
―ある匿名の企業からの課題#3109
―15カ月後がデッドライン
―R4 butanic acidという化合物を、2ステップ以下のプロセスで、80%以上の歩留まり、95%以上の純度、1キロ100ドル以下のコストで、合成する手法を求む
といった掲示がなされた。
この課題#3109の場合、実際に7カ国10人のメンバーから、解とサンプル化合物が提供され、ある製薬企業を引退した科学者が賞金2万5000ドルを得た。
InnoCentiveの場合、課題を掲示した企業とは別の領域で研究をしていた科学者・研究者から、異分野ならではのユニークな解決策が提供されることが多いという。
もう1つ、The MathWorks社のユーザー・コミュニティーであるMATLAB Centralという「場」を紹介しよう。ここでは、個々人が解決策のアイデアを提示すると、他の人がそれに自分のアイデアを付け加えたり、別のより良い解決策を出したりする形で、複数の参加者による擬似プロジェクトが進行する。この場合には、個人の知恵にとどまらず、アイデア間の相互作用が生まれてくることで、当初思いもしなかったユニークな解決策がもたらされることが期待されているのだ。
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