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カタカナ英語で仕組みだけ輸入していないか

「論理」より、もっと「倫理」をぶつけよう

  • 常盤 文克

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2008年6月26日(木)

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 最近の企業経営で気になるのが、物事を何でも論理で扱おうとしていることです。合理化を進めて効率を高め、コストを下げ、生産性を高めて利益を最大化しようとします。また「見える化」「測る化」などと言って物事を数値化しようとするのも同じです。確かに利益なしでは企業は存続できませんから、こうした考えは当然のことでしょう。その一方で、私はこうも思います。利益だけを求めていて、企業は存続できるのか――と。

 「科学的」と称して論理を先行させている企業の動きを見ていると、そもそも企業がどうあるべきか、といった根幹をなす倫理の議論が後回しになっているきらいがあります。精神的な拠り所である倫理よりも、こうすれば「もっと合理化できる」「もっと利益を出せる」といった論理ばかりが先に立っているのです。

 ここでいう「論理」とは議論の筋道、つまり思考の形式・方法といった物事を進めるときの経路を指します。一方、「倫理」とは人の生き方、つまり道徳や品格に近いもので、経営で言えば企業が踏み行うべき道、企業のあるべき姿を指します。以前も企業の「品格」について話しましたが、品格ある企業はこうしたあるべき姿を意識して経営に取り組んでいます。ところが、多くの企業は論理が先に立って、倫理が後回しになっているように思えてなりません。

お仕着せのCSRでは後ろ向きな発想しか生まれない

 企業倫理を語る際によく使われるのが、コーポレートガバナンス(企業統治)やコンプライアンス(法令遵守)、CSR(企業の社会的責任)といった言葉です。こういった倫理に関わる重要な言葉が英語なのは、どうしたことでしょうか。企業がどう生きるべきか、自らの行動倫理を真剣に考えるというよりも、仕組みだけ外国製のものを持ってきて体裁を整えている、ということでしょうか。外国かぶれの印象が強いことは否めません。

 倫理は企業活動における精神的な基盤として、非常に重要なものです。その重要なものを外国のお仕着せのシステムに頼ってばかりでは、企業の精神的な基盤とは何かという本質的な議論ができません。すると形式的な制度、規則、手法といったルールばかりが残り、あれをしてはいけない、これもしてはいけない、といった規制でがんじがらめになってしまいます。

 このような後ろ向きで受け身な発想ばかりでは、ルールに違反しなければ何をやっても構わない、という考えにもなりかねません。それでは本末転倒です。一方、自らの倫理観に基づいて、しっかりとした企業文化があれば、おのずと世の中の倫理や道徳に反することはしないような生き方になっていきます。問題を起こさせないのではなく、問題が起こらないようにする能動的な姿勢こそ意味があるのです。

 米国のある著名な経営学者が、このように説いています。CSRと企業活動を一体化して事業戦略を立てることで、より効率よく利益を生み出せる。日本企業にはその戦略が欠けている――。つまり、彼が説いているのは利益ありきのCSRなのです。

 「企業の社会的責任」では、企業はどうあるべきか、どう生きるべきかという土台の倫理的な議論が重要で、利益の議論はその次にあるものです。利益を先行させながらCSRを考えるという発想はいかにも米国的ですし、CSRをビジネスの道具に使っているように思えてなりません。

 社会的責任(倫理)と利益とは、必ずしも両立しません。時には対立します。そのときは、間違いなく社会的責任が優先されねばなりません。これが逆になって、利益が先に出てしまったら大変です。

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