• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

米国人は生活水準を落とすしかない

原油高が世界中の人々の行動を変える

  • J・W・チャイ

バックナンバー

2008年7月17日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 原油高、食糧難、金融不安、天候不順、宗教や資源をめぐる地域紛争――。世の中が騒然としてきた。誰も遭遇したことがない凄まじい大嵐「パーフェクトストーム」が吹いている。

これまでの生活は「偏在」の下に成り立っていた

 こうなると、世界の人々、とりわけ先進国の人たちは将来に向けて覚悟が必要だろう。もともと先進国の生活水準は様々な「偏在」の下に成り立っていた。石油、天然ガス、食糧、水などあらゆる資源は、世界中にあまねく存在するわけではない。それでも、これまでやってこれたのは、一部の人たちだけが、それを享受できる社会だったからだ。

 大雑把に言えば、60億人を超える世界人口のうち、先進国に住む約10億人が裕福に暮らし、残りの50億以上が惨めな生活をしていた。これなら、資源が不足することはなかった。ところが、1990年代後半くらいから、先進国と発展途上国との間の情報格差が縮まり、約30億人が「先進国の生活を真似したい」と言い出した。

 その結果、これまで偏在していたあらゆるモノの配分が、先進国一辺倒というわけにはいかなくなった。現在、原油高や食糧難、それに伴う暴動が起きているのは、当然の帰結だろう。ちなみに、偏在という意味では、マネーも偏在している。そのお金の流れも先進国から資源国へと配分が変わりつつある。

 この問題をどう解決するか。詰まるところ、世界の人々が生活水準を変えるしかない。

 とりわけ、覚悟を求められるのが、米国だろう。肥沃で広大な土地を持つ米国は、20世紀に入って、主に石油と自動車産業でのし上がった。その豊かさを象徴しているものの1つが、ガソリンをがぶ飲みするピックアップトラックや大型SUV(スポーツ用多目的車)である。

 80年代に大統領になったロナルド・レーガン氏が、2期目の選挙の際に作った「It's morning in America again」というテレビCMは、選挙用のCMとしては最も効果的だったと語り草になっている。そこに登場するのは、緑あふれる郊外の住宅地と大型のクルマ、幸せそうな家族の姿である。ピックアップトラックは、西部劇のヒーロー、ジョン・ウェインと並んで、古き良き時代の開拓者精神の象徴だ。だからこそ、米国人は欧州人や日本人が小型車を好んでも、頑なに大型車に乗り続けてきた。

大型車2台のガソリン代で可処分所得を使い果たす

 米ビッグスリーの全盛期には、フォード・モーターのピックアップ「F-15」は年間100万台以上、ゼネラル・モータース(GM)の「T800」は約90万台、クライスラーの「ダッヂ・ラム」は約40万台も売れていた。しかも1台当たりの営業利益が1万ドルを超えていた。

 当時と比べれば、現在の米国は最悪の状況にある。住宅価格の下落が止まらないうえ、ガソリン代はわずか2年余りで2倍に跳ね上がった。ガソリンは全米中で1ガロン当たり4ドル台が定着し、カリフォルニアやニューヨーク州の一部では5ドルを突破した。

 夫婦共稼ぎで2人の子供を持つ米国の平均的家庭の可処分所得、つまり税金や社会保険料、ローンの支払いなどを差し引いた後に残る自由に使えるお金は、月間約800ドルと言われる。ところが夫婦がそれぞれピックアップトラックなどの大型車を所有すれば、ガソリン代の支払いだけで、月に800ドル近くに達してしまう。

 それでも、住宅価格が上昇しているうちは、住宅を担保にして借りたお金で生活できた。今はそれも難しい。それどころか、住宅ローンの支払いが増え、可処分所得は減る一方だ。今の平均的な米国人は、大型車を2台所有するのは、もはや無理なのである。

コメント0

「J・W・チャイ「コスモポリタンの眼」」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の未来は、男性と同じ程度、女性のリーダーが作っていくものだと確信している。

ビル・エモット 英エコノミスト誌元編集長