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節度を失った借金と浪費の果て

  • 神谷 秀樹

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2008年8月4日(月)

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 その昔、米国で持ち家制度の普及が図られた時、その根底にあった国民の行動体系は以下のようなものだった。

 まず家を持ちたい人は、頭金となるものを2割から3割貯蓄する。その貯蓄ができたら、住宅ローンを借り、30年間働いて返済する。退職時には住宅ローンは完済され、一方住宅価格は健全なインフレ率で何倍かになり、老後の支えとなる。このような持ち家制度はアメリカンドリームの重要な一部だった。

 こうした貯蓄と住宅購入、返済というパターンは制度化され、全国に「セイビング&ローンズ・アソシエーション」(S&L、住宅貯蓄組合)ができ、その資金供給機関として、ファニーメイ(米連邦住宅抵当公社)やフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)という実質的に政府が債務を保証する住宅金融専門会社が設立された。

過小資本でも貸し続けた末の自壊

 ところが、この制度はすっかり破綻することとなった。

 第1にこの制度を破壊したのは、S&Lの経営者だった。S&Lを設立した多くの人物は、同時に住宅開発会社を所有していた。自分が開発する家を売るために、S&Lを通じて購入者に金融をつけることというのは自然な発想であるが、それ以上にS&Lに集まった資金をよりリスクの高い、住宅開発事業そのものに投資したのである。

 小さな業者が、紙のように薄い資本金しか準備せずとも、「預金保険」というAAA格の政府保証を小額の保険料で取りつけ、身分不相応な超低金利で「預金」という名の資金調達をすることを可能にしたのだった。こうしたS&Lは住宅開発バブルを起こし、やがてバブルが爆発し、多くのS&Lは潰れ、税金でもって処理された。

 しかし、すべてが処理されたわけではない。生き残りの中で、今回カリフォルニアのインディ・マック・バンコープというS&Lが破綻し、預金保険機構により処理されたが、負債総額はかつて破綻したコンチネンタル・イリノイ銀行に次ぐ規模であり、今後も同様な破綻が、90から300行で起こりそうだと見られている。

 第2の問題は日本でも大きく報道されているが、ファニーメイ、フレディマックで起こった。2つの金融機関合わせて総資産が5兆ドルを超える。それに対する資本金は810億ドル。なぜこんなに巨大な借り入れをし、資産を膨らませることができたのか。

 「政府が実質的に保証する」ことがこれを可能にしてきたのだ。本質的に上記のS&Lの問題と同様である。5兆ドルの資産が仮に1割腐れば、5000億ドルの損失だ。4000億ドル強の資本が不足する。そこまではいってはいないようであるが、民間のアナリストが760億ドルの資本が棄損されるというリポートを出したことから、2社の株価が暴落し、結局政府が丸抱えで救済すると発表するに至った。

85年以降、急速に負債を膨らました米国の家庭

 第3の問題は、米国の国民自身の借金に対する意識変化の問題である。7月20日付のニューヨーク・タイムズ紙が、米国民の貯蓄と借金の1920年代からの変化に関する興味深いリポートを発表した。

コメント6件コメント/レビュー

神谷氏の一連の記事を読み、同感する所が多くあったが、今回の記事で、アメリカと言う国を経済の面から、新たに見直すよい機会になった。アメリカは様々な面で開かれた国であり、まさに自由の国とう言う印象とは別に、アメリカ人は本質的には、よそ者を歓迎しないある意味閉鎖的な性格(他人を信用しないと言うことではないとう思うが)であると言う指摘がある。人を信用することができない輩が作った「信用」が言わば商品化されて出回った結果が今回の騒動ではないだろうか?健全な心とは無縁な猜疑心から来る競争主義、あるいは競馬馬のような小心な競争心(馬が走るのは後から聞こえる他の馬の蹄の音が怖くて必死で逃げるのだと言う)からか?そんな印象を持ってしまう。政治・経済のみならず、科学、音楽、芸術等々、様々な面で影響を及ぼして来たアメリカ。花はどこへではないが、古き良きアメリカはどこへ行った?!(2008/10/13)

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神谷氏の一連の記事を読み、同感する所が多くあったが、今回の記事で、アメリカと言う国を経済の面から、新たに見直すよい機会になった。アメリカは様々な面で開かれた国であり、まさに自由の国とう言う印象とは別に、アメリカ人は本質的には、よそ者を歓迎しないある意味閉鎖的な性格(他人を信用しないと言うことではないとう思うが)であると言う指摘がある。人を信用することができない輩が作った「信用」が言わば商品化されて出回った結果が今回の騒動ではないだろうか?健全な心とは無縁な猜疑心から来る競争主義、あるいは競馬馬のような小心な競争心(馬が走るのは後から聞こえる他の馬の蹄の音が怖くて必死で逃げるのだと言う)からか?そんな印象を持ってしまう。政治・経済のみならず、科学、音楽、芸術等々、様々な面で影響を及ぼして来たアメリカ。花はどこへではないが、古き良きアメリカはどこへ行った?!(2008/10/13)

米国金融システムの崩壊は自業自得と確かに言える。借りる側も貸す側も、そして証券化された債務を取引する側も、リスクを過小評価し住宅市場の成長性を過大評価した。だが、「古き良き」金融モデルのほうが良いと考えるのは短絡的ではないかと思う。資金を効率的に動かすことは健全的経済成長にとても重要であり、過剰に資金を溜め込むことはむしろ経済成長の停滞やさらには金融機関によるリスク高の投資を促進するおそれがある。「身の相応の暮らし」や「稼いでから使う」ことの方が正しいモデルではなく、リスクの正確な管理が重要なのではないかと思う。米国金融システムの崩壊は借りすぎたことにその本質があるのではなくリスクの管理の甘さであるかと思う。節度を失い借金と浪費をしたのは、リスク認識の欠如による二次的効果であり、「借りる」と言う金融手段自体には問題はないかと思うし消費を促進することも一概に悪いとはいえないと思うのだがどうだろう。(2008/08/06)

記事に対するコメントではありません。私は、見事に破たんしました。負債は、必ず自分の努力で返済できると思っていました。金融機関からは、もし代表者だったら融資しなかった、と言われました。事業の成長が果たせず、やみくもに借入を重ねた結果の破たんで、個人資産は消えました。自己責任=自己の欲望に対する負債の責任を取るは正しい。しかし、自己の欲望は、リスクの大小にかかわらず、止めてはならないと考える。子供達の、自己の無限の可能性を信じた夢。みんなドリームを持つものです。浮かれている訳ではありません。無謀=無知をとがめるシステムが欲しいです。リスクを考えた上での、応援システムが欲しい。家を持つ事は、ある人にとって「夢=dream=生きがい」かもしれない。損得=冷静夢=無謀だからと言って、夢はリスクで片付けられない。個人個人、固有の働く=仕事をするエネルギー失敗した時の、リスクを教えるべきです。(2008/08/04)

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