• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

「工学部を解体せよ」~さらば工学部(1)

東レ・前田勝之助名誉会長に聞く

  • 星 良孝

バックナンバー

2008年8月18日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 「工学離れ」に早く手を打たなければならない。

 日本では、大学入学試験における工学部への志願者は、ピークの1992年度に延べ人数で62万人に達したが、その後急速に減少し、2007年度は6割減の27万人に落ちた。企業の人員削減の悪影響があるとされる。1990年代の不況の中で、大学の教育現場は荒廃。学生が集まらない旧来の学科の多くが消滅して、カタカナと漢字交じりの新しい学科へと再編された。

 若者がモノ作りの現場に入ってこず、教育現場も力を削がれている。日本の製造業の担い手不足は、日本メーカーの国際競争力の減退に直結する問題と言える。

 日経ビジネス誌8月18日号特集「さらば工学部 6・3・3・4年制を突き破れ」の連動インタビューシリーズの第1回では、2001年から始まった第2期科学技術基本計画の策定に携わった、東レの前田勝之助名誉会長に、危機意識と課題解決のためになすべきことを聞いた。

東レの前田勝之助名誉会長

前田勝之助(まえだ・かつのすけ)氏
東レ名誉会長

1931年2月福岡県生まれ、77歳。56年京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、東洋レーヨン(現東レ)に入社。主に技術畑を歩み、愛媛工場長などを務めた。85年に取締役、86年から常務を経て、87年に社長に就任。97年から会長。2002年に最高経営責任者(CEO)復帰。2004年から名誉会長。総合科学技術会議の発足時に議員となり、第2期科学技術基本計画の策定に深くかかわった

写真:長谷亨

 第2次科学技術基本計画を策定した2001年に私は、「ナノ、バイオ、情報、環境」といった先端研究の強化を進めるべきだと提言しました。従来、日本には重点領域さえなかったのですから、先進国に太刀打ちするには重点領域を設定することが先決だったのです。

 日本は人口に対して耕地面積が少なく、原油などの天然資源に恵まれません。2007年を見てみると、食料や原料、燃料を年間32兆円も輸入しています。日本はこうした原料を加工し輸出することで、貿易収支を約10兆円もの黒字にしてきたのです。

 日本が貿易立国として国際競争力を保っていくためには、新たな産業を生み出していくことが大切であり、そのための優秀な人材を確保し続けることが欠かせません。かつては繊維産業が中心でしたが、今は電気製品や機械、自動車が中心になっています。これからも新たな製品を生み出していかねばなりません。

 日本では生産拠点の海外移転が進みましたが、2000年以降、揺り戻しがありました。国内の製造業を強化していこうと、国全体が動き始めたのです。2001年度から2005年度の第2期科学技術基本計画では、重点分野を設けて、研究開発を促進しようと決めました。第3期でも引き続き、重点分野の強化が推し進められています。

 競争的な資金の争奪戦が激しくなって、一部の研究機関に資金が集中したという批判はあるでしょう。資金はあればあるほど望ましいですから、足りないと不満が出ることは仕方がない面もあります。そうはいっても、国家プロジェクトで資金を投入したことで、日本が遅れている分野が伸びたことも事実です。日本は海外の先端研究に追いつけ追い越せでやってこられた。間違っていなかったと思います。

「先端研究強化」の次は、技術者の育成を

 第2期科学技術基本計画の策定から8年が経って、状況は変わりました。最近、公的機関のトップが私のところに来て、こう言いました。「2年半後に、第4期科学技術基本計画が策定されます。次はどうすべきか」と。

コメント16件コメント/レビュー

井の中の蛙ではないですが、狭い日本で技術だ、研究だ、と言っても仕方ないです。もっとグローバルに物事をみないと。日本の理系学生の英語力が一番の問題と思います。中国やインドなどの優秀な研究者、技術者は押しなべて英語が堪能です。先ずは、英語ができて、世界を相手に議論や研究、技術を磨くことのできる学生を育てるべきだと思います。日本が技術立国で食えた時代とは違うのです。(2008/08/20)

「日経ビジネス リポート」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

井の中の蛙ではないですが、狭い日本で技術だ、研究だ、と言っても仕方ないです。もっとグローバルに物事をみないと。日本の理系学生の英語力が一番の問題と思います。中国やインドなどの優秀な研究者、技術者は押しなべて英語が堪能です。先ずは、英語ができて、世界を相手に議論や研究、技術を磨くことのできる学生を育てるべきだと思います。日本が技術立国で食えた時代とは違うのです。(2008/08/20)

いくら個人の研究を頑張っても、「理系的計算で上手く自分の手柄にする」という教授・助教授クラスがあまりにも多く、場所が企業でないだけに労働基準法も適応されないため、多くの貴重な人材が潰されています。文系の情緒性があればそういう非道に大学という組織が目を瞑ることは無いと思うのですが。私の世代でも文系でも理系知識は必須でした。しかし理系で文系知識が必要だったという話は聞いたことがないです。どこかで何かを間違えて、そこで人離れを起こしたのが現状の理系と呼ばれる諸学部の現状ではないでしょうか。数式のように明示的な答えが人心に存在し、完璧な制御が可能であるのなら、それはもはや人間ではありません。昨今の理系衰退は必然で、人材が欲しいというその方面の年長の皆さんには「まず自らを省みよ」と言いたいところです。痛みを知る者ほど求心力を発揮するのが普通なところ、何故かこの分野の上級職は「痛みの仕返しを後進に」をスタンダードに考えているように見えます。大局的に見て「人間が少ない」のが最大の問題かも知れません。育てる人間から育てるのであれば、20年程度では無理です。50年はかかるのでは。ここでふと「ああ、人間味のある理系教育を失わせたのはかの戦争か」と思ったのは思い過ごしでしょうか。(2008/08/20)

今から技術者の給与を上げ始めて、結果が社会に広く認知されるまでになるには、10年かかるでしょう。それを見て、技術で食っていけそうだと思った子供が社会に出るまで、さらに10年かかるでしょう。今から始めて、20年後にやっと結果が出ると思います。バブル以後の有名経営者たちと、彼らを誉めそやしたマスコミの責任は大きいです。(2008/08/19)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授